2023年1月末で閉店する北海道唯一の地元資本の百貨店「藤丸」への応援の輪が広がりつつあります。
12月24日、藤丸再建に向けて、いち早く支援に名乗りをあげた地方創生企業「株式会社そら(米田健史社長)」は、運営する「十勝エアポートスパ そら(2022年7月オープン)」の入浴券3,000万円分を無償提供。売上のすべては藤丸の利益となります。
25日は、同社の米田健史社長をはじめ経営陣らも売り子として販売ブースに立ち、藤丸を応援しようと訪れた購入者から「藤丸が復活するのを待っています」「寂しいけど、最後なので何度も閉店セールに足を運びます」と声をかけられていました。
「藤丸応援キャンペーン」バナーを貼って応援しよう
入浴券の購入者らは「子どもの頃、家族で買い物して、7階レストラン街で食事をするのが楽しみでした。レストランがなくなってから足が遠退いていましたが、また家族でこれる場所になってほしい」「藤丸閉店の知らせを受けて、子どもが冬休みに入ったのできました。懐かしさと寂しさを感じつつ、セール品をいっぱい買いました」と口々に、思い出を語っていました。
一方、藤丸応援の輪は、帯広の経済界として商工会議所が「藤丸応援キャンペーン」と題して、閉店セール(ファイナル・セール)の利用促進を図るべく、企業単位でのお歳暮の発注や従業員等へのXケーキ/おせち予約のほか、会員各社に対してホームページ内に「藤丸応援キャンペーン」のバナーの貼り付けなどを呼びかけています。他にも、市民グループ「藤丸を応援する会」が、藤丸への思いと感謝の気持ちを寄せ書きとして集めて応援するなど、輪は広がっています。
「藤丸応援キャンペーン」のバナーは、大手百貨店「大丸」「帯広信用金庫」「川田工業株式会社」、観光客に人気の「北の屋台」など多くの企業や団体ホームページに貼られています。
藤丸百貨店
株式会社藤丸(ふじまる)は創業122年。明治33年、呉服店としてはじまり、昭和5年にデパートとして開業した北海道帯広市にある百貨店です。十勝では「藤丸さん」の愛称で親しまれてきました。報道によると売上のピークは平成4年の145億円。2023年1月末で閉店が決まり、現在は閉店セール中。再建については帯広に本社がある地方創生企業の「株式会社そら」と帯広日産自動車の持ち株会社「村松HD(帯広市、村松一樹社長)」の2社による新会社設立後に事業継承を予定。
閉店まで約1ヶ月。閉店セールと入浴券の売上は藤丸のためになります
藤丸百貨店については、2022年12月5日、帯広日産自動車の持ち株会社「村松HD(帯広市、村松一樹社長)」と株式会社そらの2社による新会社設立を発表。同時に藤丸再建のスポンサーを受託したことも正式に表明していました。
株式会社そらの米田社長は、スマヒロのインタビューの中でも、「再建も大事ですが、まずは、現藤丸の従業員の雇用や閉店セールなど、来年1月末の閉店にむけて、やるべきことは山積しています。情報が錯綜し、現藤丸の着地に足枷とならないよう、みなさんには応援してほしいと思っています」と目の前の課題解決が、未来の新藤丸に繋がることを強調していました。
今回の無償提供もその思いの表れのひとつなのでしょう。
今回の入浴回数券(10回分/3,000円)は、全部で1万セット(3,000万円分)。無償提供を受けた藤丸は、12月24日から3,000円で販売。売上はすべて利益となり、従業員の退職金などの資金源につながります。入浴回数券(10枚綴り3,000円 有効期限2032年6月30日まで)は、藤丸1階のエレベータ横で購入できます。
今年7月に営業開始した「十勝エアポートスパ そら」の入浴券は、通常1回1,000円でしたが、オープン記念として10枚綴りの回数券を購入した場合、年内限定で3,000円(10回分/実質1回300円)という価格で提供してきたそう。ただし、2023年1月からは8,000円に引き上げる予定でした。
ところが、今回の藤丸協賛に併せて2023年1月31日までに延長。2月1日から8,000円で販売するそうです。割引入浴券の購入は、藤丸のほか、ふく井ホテル、エアポートスパ、フェーリエンドルフ、オンラインでも可能です。
藤丸閉店まで残すところ37日(12月25日現在)です。米田社長によれば「藤丸の屋号は残したい」とのこと、いまの応援が新たな「藤丸」につながる糧になることは間違いありません。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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