帯広で映画を観た！シネマ de 十勝 映画『ババンババンバンバンパイア』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.68

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『ババンババンバンバンパイア』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ

懐かしさを感じる映画

帯広の上映予定が未定のため、釧路まで行ってきました。

吉沢亮主演『ババンババンバンバンパイア』！

奥嶋ひろまさ原作、同タイトルマンガの実写映画化作品です。

タイトルは文字数が多くて読みにくいようでいて、ドリフを知る昭和生まれには頭に入りやすかったです。

主題歌も、勿論『いい湯だな』の替え歌（？）でした。

他にも、随所に散りばめられているあれやこれやが懐かしいものが多く。

・マイケル・ジャクソンを彷彿とさせる「ポゥ！」
・タライ！（昨今、仕掛けていいのか心配になる）
・それっぽい音楽＆マトリックス避け！
・兄さん脱いだら某レボリューション！

一部抜粋だけでもこの有様で。

「原作者さんは同世代の方なんだろうな」と思うシーン多数でした。
（調べたら本当に同じくらいでした）

「私、狙い撃ちにされてます？」というくらい私に刺さった！！

原作を忠実に再現されたドタバタコメディ

原作未読ですが、他にも数々のオマージュが仕込まれているあたり、かなり忠実な実写化なのではないかと思います。

ちなみに、この作品のジャンルはBLです！

BLはBLでも、本作のBLは「Boys Love」ならぬ「ブラッディ・ラブコメ」。

銭湯に住み込みで働く森蘭丸（450歳・バンバイア）が、至高の味わい「18歳童貞」の血を求め、銭湯の一人息子・李仁（15歳）の初恋成就阻止に奮闘するドタバタコメディです。

突拍子も無い設定のようで、役者さん達の演技力と勢いで押し切ってもらえる1時間45分でした。

安心して観れるラブコメ

有名な吸血鬼のモデルの一人・バートリー・エルゼベートの「美容のために処女の生き血を求めた」伝説（諸説あり）を考えると、男女逆転で「童貞の血」を求める吸血鬼がいても、趣味嗜好の多様性かな、と思えますし。

そういう条件設定下でのお話のため、不純同性交遊には発展しえないという安心感。

男女のシリアス恋愛作品だと「あざと」すぎて痒くなりそうなくらい、ピュア。

昨今珍しいと感じるくらい、吸血鬼における太陽光のようにピュアさが眩しい、片思い暴走コメディでした。

同じ「狙った相手への執着力＆グルメの追求」でもTVドラマ版『ハンニバル』とは真逆！

じっとりねっとりとした湿度の高さとエログロがないため、『ババンババンバンバンパイア』たいへん人に勧めやすい作品だと思いました。

むしろ銭湯が舞台のお話のためか、裸は出てきても、あっけらかんとしていて清々しいくらいで。

主要人物が登場する時、ミュージカル調に自己紹介の歌が始まるくらい陽気なお話で、エンタメ作品として気負わずに楽しめました。

吉沢亮の演技力に圧巻

諸般の事情で上映が延期になっていた作品ですが、結果として『国宝』のヒットで温まっているところに、吉沢亮の交互浴びが実現しました。

吉沢亮の『国宝』と『ババンババンバンバンパイア』の演技の温度差に風邪ひきそう！

というか、水風呂＆サウナ効果で整いそうですわ！！

今なら「熱い／冷たい」の交互浴か、「甘い／しょっぱい」の無限ループが可能です。

個人的には、『国宝』を見てしんみりしたのが（歌舞伎部分は素晴らしくても話としてはしんみりする）、『ババンババンバンバンパイア』で気分が上がった気がします。

共感できる『推し』への思い

登場人物達の「ときめき」と「執着」の熱量がまた「推し活」に近い上、推しを持つことの大切さ（生活の潤い）について作中でも語られれていれ、「分かる！」と頷きました。

ただし、この作品の人物達は自分の理想で「推し」に干渉しようとする、かなり強火でこじれた厄介なオタクではあります。

「推し活」だとか「萌ゆる心」「キュン！」に理解のある人なら、共感できるところがありそうな作品です。

オタクといっても多種多様

「自分が推しとどうこうなりたいと妄想する」タイプもいれば
「自分が推しとどうこうなりたいわけではなく、推しを讃えて見守りたい」タイプもいるわけで。

私は後者なのですが。

『ババンババンバンバンパイア』は、グルメなこだわりで「18歳まで李仁の童貞死守！」という目的と制約があるため、上記のどちらのタイプの人でも旨味が感じられるのではないでしょうか。

耽美系愛憎劇『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア※』よりも敷居が低く、汎用性の高いコメディだと思います。

※端正な吸血鬼を演じたトム・クルーズとブラッド・ピットが、約30年たっても未だ若々しく「どうしてこんなこと（『マーヴェリック』『M:I/ファイナル・レコニング』、『F1』）にーーーー――！！！？？？」と混乱中。

振り切った演技が魅力

この作品の最大の見所は、『国宝』級の演技力を惜しげも無く発揮し、奇矯な（というか変態というか言動がおかしい）キャラクターを演じている吉沢亮だと思います。

他のキャストさん達もみんな、どうかしていて良いんですが。

吉沢亮のどうかしている人の振り切った演技、シリアスよりも好きだと思った。

そんな作品でした。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。