
十勝で新たなビジネスを生み出す起業塾が10周年
TIPは2014年にスタートし、今回で節目の10年を迎えます。これまでに392人が参加し、70件を超える事業構想が生まれ、うち24件が法人化を果たすなど、十勝から全国へと広がる数々の成功事例を輩出してきました。
TIPの魅力と特長
TIPは、参加者の「やりたいこと(Wants)」を出発点に事業アイデアを育てるプログラムです。帯広の観光資源を活かした「馬車BAR」、本別町のグランピング施設「KOYA.lab」、上士幌町の複合施設「Fant」など、地域に根ざした事業が次々と誕生してきました。
大きな特長は、チーム制で構想を進める点にあります。多様な視点が融合することで成功率が高まり、さらにプログラム終了後も仲間同士のネットワークが続くことが大きな魅力です。

第10期で示された新たな挑戦
今期は52人が参加し、全12回のワークショップを通じて事業計画を構築。地域内外の専門家やイノベーターと交流しながら磨き上げられた9つのプランが発表されました。
森林資源を活用する「十勝きこり不動産」
池田町の川瀬千尋代表のチームは、管内に約3万ヘクタールあるとされる30年以上放置された育成林を対象に、作業道の整備や空間利用を進め、森林を資産として売買できる仕組みを提案。「幕別町にモデルフォレストを確保し、来春には開拓ツアーを実施したい」と語りました。

シェア型ブルワリー「TOKACHI BEER BASE」
広尾町地域おこし協力隊の関本凱斗さんのチームは、小ロット醸造に対応し、OEM受注や体験型サービスを提供するシェア型ブルワリーを計画。「独自ビールを生み出す場所を作りたい」と熱意を示しました。

多彩なアイデアが続々
このほか、太陽光調理を取り入れた「非電化カフェ」、24時間利用可能な「ソーシャルダイニング(レンタルキッチン)」、宿泊断食も可能なフェムケアサロンなど、多様な事業構想が披露。9チームの発表は、TIPならではの地域密着型かつ先進的なビジネスアイデアの幅広さを示しました。

主催者・行政からの期待の声

帯広信用金庫の高橋常夫理事長は「10期目を迎え、参加者同士の横のつながりも深まり、十勝経済の活性化に貢献している。来年度以降も継続したい」と述べ、米沢則寿帯広市長は「これまでに発表された74件の事業構想のうち24件が事業化している。農業や食、自然、文化など十勝独自の強みを生かしたユニークな事業が次々と誕生している」と評価。「十勝で起業を目指す方は、ぜひTIPに挑戦してほしい」と呼びかけました。

10年の歩みとこれから
TIPはこれまでに多くの起業家を輩出し、全国のスタートアップメディアにも取り上げられる事業を数多く生み出してきました。プログラム開発者の野村総合研究所の齋藤義明氏は「小さくてもリスクを取り、一歩を踏み出す人が地域を変える」と語ります。

10年の節目を迎えたTIPは、次の10年に向けて、さらに多くの人材とアイデアを地域から育てていくことが期待されます。
過去のTIP最終発表
とかち・イノベーション・プログラム2023(TIP9)「事業化支援セッション」レポート






