帯広で映画を観た！シネマ de 十勝 映画『おいしい給食　炎の修学旅行』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.79

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『おいしい給食　炎の修学旅行』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ

私と親和性が高い作品！

私は世間的に顔がいいとされている人が、奇矯な言動を取る作品が好きなのかもしれない。

『おいしい給食　炎の修学旅行』を見て、そう改めて認識しました。

基本的に洋画好きでも、これ以上の変態が登場するし、映画としてド派手なアクションシーンがある『ワン・バトル・アフター・アナザー』より起こる出来事や世界が狭くても、個人的には『おいしい給食』の方が刺さりました。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は思っていた以上にアブノーマルな人物達が登場する映画で、正直、部分部分で面白い会話もあったし、ディカプリオのダメな父親ぶりは良かったんですけれども！
変態が変態でも、紋切り型というのか非常にアメリカ映画的というのか、はたまたツボが違うとでもいうのか、どこかノリ切れないものを感じたのです……。

一方『おいしい給食』は、給食を愛しすぎている主役の甘利田先生（市原隼人）が、異常は異常でも親和性が高く、すごく良かったです。

好きなもの（人、キャラクター）に相対しているときの脳内世界、まさにあんな感じなのです！！！！

（『孤独のグルメ』くらいの独白なら、まだ常識的範囲内のイメージ）

好きなものを前にしたときの感情表現

「椅子から転げ落ちそうになった」とか、オタクの誇大表現と思われているかもしれませんが。

人目さえなければ、全然あの甘利田先生くらい、その辺のたうちまわって悶絶していることでしょう。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の冒頭３分を初めて見た時の、製作陣に「クソッ！！　やられたっ！！！」と脳を焼かれた私の脳内、粒来君の才能に圧倒される甘利田先生の挙動とほとんど変わりなかったですし。

当「映画感想文」も、一応「人様に読んでいただく」ということを意識し、抑え気味・一部抜粋・自主規制なわけですが。

私、本気出したら、こんなもんじゃないんで！！

「何この顔の良さ！　こんな人が街を歩いてて、目立たずにジロジロ見られないなんてことある！？　いや見るだろう、マジマジと見るよ！？　むしろ失礼でしょうが！　通行人どんな自制心を発揮してるの！！？？」と、口に出して言ったら終始うるさくできる自信があります。

素晴らしいエンターテインメント映画

『おいしい給食』シリーズは、主役が大真面目に突飛な変人という面白さもありながら、そんな甘利田の非常にオタク的奇行と独白をメインとしながら、エンターテインメントに昇華しているのが、たいへん素晴らしいと思っています。

オタク万歳！！

今回の方が、甘利田先生が自分の欲望と興味に忠実すぎるのもあり、映画としての盛り上がりと事後の後味は前作の方が良かったと思いますが。

改めて日常の幸せに気づいた

特別な何かを目指したり手に入れたりしなくても、日常の中にある好きなもの／ことの中に、幸せを見いだすことができる。

私の目指すところです。

好きを謳歌し、満ち足りている甘利田先生の世界に触れ、初心に返ることができました。

生活が立ち行かなくなるほど高い買い物をしたり、身の丈に合わない高望みなんてしなくてもいい「美味しいものを食べたり映画を見たり、自分にできる心の栄養補給をして、また明日からお仕事頑張ろう」と思えた作品でした。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。