十勝民で、創業1950年の帯広の老舗パン屋さん「ますやパン(満寿屋商店)」を知らないひとは少ないでしょう。誰しもが、ますやパンの「白スパサンド」を食べて育ちました。すべてのパンを十勝産小麦100%使用で作り、「2030年、十勝がパン王国になる」を掲げる、ますやパンの進化は留まることを知りません。今回は新作パンのコンテスト「ますやカップ」と「移動パン屋」を取材しました。
ますやパンが、店舗外で買える!「ますやのバス」
2023年2月22日、帯広市内の介護老人保健施設に一台のバスが到着します。ロゴを見れば一目瞭然。「ますやのバス」です。到着早々に、施設関係者に挨拶を済ませ、すばやく看板を設置するのは自ら運転手兼販売員としてやってきた「ますやパン(満寿屋商店)」の杉山雅則社長です。
ますやパンについては以下の記事もご覧ください。
ますやのバスは、2022年に新型コロナウイルスで来店できない人たちに「おいしいパンを届けたい」との思いから導入されました(現在は試用期間)。車内を店内に見立て、買い物がしやすいようパンを並べる棚の配置やレジなどレイアウトにも気をつけたデザイン。白スパサンドやねじりドーナツといった「ますやパン」の人気商品が所狭しに陳列され、車内に一歩、足を踏み入れれば、おいしいパンの香りが漂い、ついつい、いつもよりも多く買っちゃいます。
この施設では約40分ほどの販売で、30人ほどが買い物を楽しみました。施設に入居する人からは「ますやのパンを自分で選んで買えるなんて久しぶり」「ますやパンに足を運べるなんて」など、パン屋さんで買い物できたことを喜ぶ声が聞こえてきました。
杉山社長も「予想以上の売れ行きで嬉しかったです。パンのおいしさだけじゃなく、買い物を楽しんでもらえてよかったです。定期的に訪れたいですね」と移動パン屋に手応え。
近い将来、皆さんの近所にも「ますやパン」があらわれるかもしれませんね。
ますやパンの新作パンが勢揃い!「ますやカップ」5年ぶり開催
2月23日、前日に移動パン屋さんの運転手兼販売員だった杉山社長は、ベテランパン職人の風貌で、とあるイベントに参加していました。
この日は、「道の駅おとふけ(愛称:なつぞらのふる里)」で、ますやパン(満寿屋商店)の職人たちが開発した新商品を競う「ますやカップ(決勝戦)」が開催されていました。
ますやパン全7店舗から選抜された各チームが、勝てば、商品化される創作パン2種類を出品。審査員である、満寿屋商店の幹部とイベントに参加する300人以上の一般客を前に、創作秘話やおいしさをアピール。試食した一般客からは「全部、商品化してほしい」「ますやパンは、子どもの頃から食べてきて、いまは自分の子どもも大好きです。この日を楽しみにしてきました」と喜びの声があちらこちらから聞こえていました。
主催した満寿屋商店の杉山社長は「5年ぶりの開催が本当に嬉しい。たくさんのお客様が喜んでくれて嬉しい。若い職人たちのパワーをもらい元気になりました」と嬉しさを語ります。
会場には、中札内産の鶏肉を使ったチキンカレーバーガーや帯広の市花「クロユリ」をイメージしたあんパンや、音更町産の豆を使った豆パンなど、十勝の食材を使った多彩なパンが並びました。
ますやカップは、パン職人の技術や商品開発力を養うことを目的に2009年からはじまり、これまで3年ごとに開催されてきましたが、コロナの影響もあり5年ぶりの開催となりました。決勝戦となったこの日は、予選、準決勝を勝ち抜いた、3人一組の4チームが挑みました。審査結果は、3月3日に公表される予定だそう。