帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。
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「邦画」より「アニメ」な私
やっぱり邦画はまだまだ苦手だけれど、アニメは好きだなぁ。
そんなふうにしみじみ思いました。
『ゴジラ -1.0』や『カラオケ行こ!』『帰ってきた あぶない刑事』という良作が続いていたために、油断してすっかり忘れていました。
私、小説も純文学よりエンターテインメントを嗜好する俗人。
「映画館で上映するだけの醍醐味が出せないならドラマで放送してくれません?」
「脚本も原作改変も酷くて時間とお金の無駄だった――」という話や、グダグダしていたら哲学的とか高尚とでも言わんばかりの邦画が得手ではないことに……。
『ウマ娘 プリティダービー 新時代の扉』は面白いだろうことは分かっているものの、入場者プレゼントが配布されている間は、よく分かっていないゲームもしていない人間は遠慮した方がいいのでは――そんなふうに考えていた時期が私にもありました。
すみません! 「名前出すのも無理……! 口直しを!!」という邦画を見てしまい、「助けてください!」という緊急避難目的で見に行ってしまいました!!
製作側もすごく上手なので、入場者プレゼントも間断なく第5弾まで予定してるし、仕方のないことです……。
『ウマ娘 プリティダービー 新時代の扉』
映画冒頭に説明されますが。ストレートな転生設定や擬人(?)化ではなく
『ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継いで走る。』
という世界観が、いい!
ウマ娘たちを可愛く見せたいシーンと、緊迫感あるレースシーンの表現・演出の差のメリハリが格好良かったです!
私、ウマ娘も競馬のこともあまりよく知らない方なので、大丈夫かなという不安はあったのですが。
全然問題なかったです!
事前予習の必要なし!
むしろ知らなくてよかったです!!!
「世紀末覇王」テイエムオペラオーが立ちはだかる時期だけあって、『別世界』での世紀末2000年〜2001年頃のお話。2001年の皐月賞とかダービーとか「どの馬が勝っていたか」逆に知らないので、手に汗握ってハラハラしました。
ほぼ何も知らない初めてさんでも『ウマ娘』世界への導入となりえる、とても親切なつくりだったと思います。
それでいて、分かる人にはもっと楽しめるだろう仕込みが、要所要所に散りばめられていた模様。
知っておいた方がいい情報は、レース後は1位の子がセンターでウイニングライブをやるという文化・風習があることくらいではないでしょうか。
レースとそれ以外(学校生活など)の緩急のバランスもよく、映画を見た後で元になった馬達の生涯を検索して、ちょっとしんみりしちゃいました。
本作の主人公はジャングルポケット(ヤンキー)
憧れの先輩フジキセキ(いい人)
ライバル、アグネスタキオン(マッドサイエンティスト)
などなど、キャラクター属性がはっきりしているので、人の顔と名前の見分けがつかない人間でも、安心!
「札幌競馬場が出てくるとか、萌える!」という萌え要素以上に、スポ根でした!!
そんな『ウマ娘』はレースシーンの演出が大胆で躍動感があるので、とても4D(※)向きの作品だと思います。
(※残念ながら帯広にはないものの、映画のシーンに合わせて座席が前後に動いたり、香りや水しぶき、振動などの特殊効果がつくMX4D・4DX……)
私でも4Dで見たいと思ったくらいなので、『ウマ娘』好きで4Dシアターに行く機会のある人には、4Dでの鑑賞をオススメしたいです!(ただし、妊婦さんや乗り物酔いしやすい人を除く)
個人的にここが良かった、映画『ウマ娘』ベスト3
・勝負服が可愛い。
それでいてレースの最中は、本能むき出しで見目とかかなぐり捨てて、一番を追い求めているのがとてもよい。
・『椅子ドン』よかったよ!
いいぞ! もっとやれ!!
随所随所に、ほんのり(古くは)『マリア様がみてる』のような旨味が感じられました。
・フジキセキ、大人しい子なのに勝負服は結構大胆。
ギャップが素晴らしい!! マンハッタンカフェとかフジキセキ、もう少し掘り下げてくれてもよくってよ!!
欄外:靴!
人間でいう中指だけで立っているという本来のウマの体に準拠しているのか、ウマ娘たちが走る時に履いている靴の大半が平底ではなく踵の高い靴だったのも、時速70キロで走るだけあって蹄鉄が入っているのか、靴からカツカツ金属音がするのも、なんだか「いいな〜」と思いました。(本当のところは分かりませんが)
『別世界』での引退までの軌跡を見るとしんみりしてしまう子でも、『別世界』は『別世界』。
脚の怪我をしても、ウマ娘としては別の未来に発展しうるのが、とてもフィクション作品としての希望が感じられました!!
主人公がヤンキーな熱血スポ根映画なので(?)、挫折があってものとにかく前進していくのが見ていて心地よい。
世界で唯一の帯広競馬場
「走るために生まれてきた」ウマ娘たちは、競走馬(軽種馬)の魂を受け継いだ存在。
開拓を支えた農耕馬としての起源を持ち、重いソリを引いて二つの障害(坂)を越える「パワー!」重視のばんえい競馬(ばんば)の馬(重種馬)とは、趣が異なります。
とはいえ『ウマ娘 新時代の扉』に登場するウマ達が走っていた『別世界』では、まだ岩見沢・旭川・北見・帯広の4市で開催されていました。
今は、草ばんばなどの単発イベント・祭典は北海道から東北の一部地域に残るものの、公営競技としては帯広市のみの単独開催。世界でも他にない「ばんば」。
日本唯一の開催地・帯広市の人間としては、いつか『ウマ娘』の世界にスポットでも「ばんば」のウマ娘も登場してくれないか、と勝手に願っています。
映画の中でも、主人公たちが激しく筋トレをしたり、とても大きなタイヤを引いているシーンがあったので。
そんなことを言っている一方で「肝心のばんばの写真が見当たらないとは、どういうことですか!?」と自分を問い詰めたくなりましたが。
今回は『別世界』フィクションの話なので、本物の馬はいなくてもいいのかな……と勝手に結論づけて終わりにしたいと思います。(強気で「その件は皐月賞で決着がついたはずだ」と言っておけば勝ち逃げできるという学びを得た)