TIPの最大の特長は「チームで事業構想案をつくり、発表すること」ですが、チームを作る前に、各自で事業テーマとアイデアを考え、自分と相手を知るためのセッションがあります。
事業テーマを探すなかで、自己理解を深め、相手に伝える練習も重ねていく、TIP前半戦をレポートします!
TIPレポート①▼
<TIP9レポート連載・全5回>
② TIP体験レポート前篇(チームをつくるまで) <<<今回はこちら。
③ TIP体験レポート中編(チームで動き)
④ TIP体験レポート後編(スパーリングとプレゼン資料制作)
⑤ TIP9メンバー座談会(前回の参加者のリアルな声)
セッション1 キックオフミーティング/23年7月10日・セッション2 「やりたいこと」のエピソードから事業テーマを考える/7月19日
TIPの第1回目は「キックオフミーティング」から始まります。
参加者と事務局が勢ぞろいし、TIPの設計者である野村総合研究所の齊藤さんから、TIPの概要とTIP9のプログラム内容について説明がありました。
その後、TIP修了生で参加時の事業構想案を事業化した、TIP5参加の三ツ山 朋美さん(やさいくる)、TIP8参加の宮澤 嘉裕さん(十勝平野蒸留所)から、TIPでの苦労や楽しさ、TIPが終わった後の活動について話を聞き、参加者と事務局の自己紹介をして終わりました。
2回目のセッションは「テーマ探索セッション」
セッションの初めには必ず「今日のゴール」が提示されます。
今回のゴールは「人生をかけて取り組みたいことを見つけて、言語化すること」でした。
TIPで創造する事業は、誰かに言われたことや、社会課題、地域課題の解決といった必要とされること(Needs)ではなく、「自分が生涯をかけてやってみたい、やりたいと思うこと(Wants)」を軸にするため、このセッションでは3つのワークに取り組みました。
・Wants探し
・価値観の把握
・Canの確認
まず、「死ぬまでにやりたいこと」を制限時間内にできるだけ多く書き出していく「Wants探し」のワーク。お金も時間も自由、何でもできるという前提ですが100個は埋まらず、意外にも早く手が止まります……。野村総合研究所の齊藤さんが、見計らったように。いろんなヒントを投げかけてくれますが、私が書けたのは43個。
絞り出したものも含めた「やりたいこと」から、次は「本当にやりたいこと」を5つ選びますが、絞り込めなければ、気になる「キーワード」や「共通点」を探し出します。選びだしたものについて、なぜやりたいのか、選んだことにまつわる体験などを思い出しながら、なぜ?を繰り返し、気持ちが動くことを探すことで、自分が大切にしたいものや喜びを感じるものなど、自分の価値観を知ります。
事業テーマの最後の種は「Canの確認」。資格やスキルという肩書きだけでなく、能力やリソースとして「できること(Can)」を書き出します。
料理や掃除、服のコーディネート、絵を描くことなど、自分が経験してきたことや、魅力を伝えられるもの、持っている・使えるものが「Can」になります。
最後に、Wants・価値観・Canを掛け合わせて、事業テーマを作り、本日のもう1つのゴールである「言語化」として、グループ内で発表をします。
発表時、聞く人は「深め役」となり、聞いた話について「自分なら…」と考えを伝えたり、質問をすることで、話し手の考えをさらに深める手伝いをするという役目があります。
私が発表した時には「どんな場所でやるの?」などの投げかけがあり、それを考えることで、事業テーマがより具体的なイメージに変わる楽しさがありました。
セッション3 自分を知って伝え、相手のことも知る。/23年7月26日
セッション3回目の「相互理解セッション」は、帯広信金セミナールームから飛び出し、音更町にある「昭和商学校 Palette」で半合宿形式の課外授業。
今回のゴールは「メンバーをとことん理解する。相手を知り、自分を伝える」
アイスブレイクとして、4人で1組で共通点探しゲームをしたり、チームワークを体感するゲームとして、12人1グループで、フラフープを降ろしゲームをしました。
ゲームを攻略していく楽しい気持ちのなか、「参加者全員の名前を覚える」ワークが始まりました。当時の参加者は44人。まずは参加者全員が、縦横無尽に、ひとりひとりと挨拶を交わして名乗りあい、名前を憶えていきます。成果発表として、数名が全員の名前を当てて、前半は終了。
後半は「自己理解」と「自分を伝える」ワーク。
事前課題で、質問に答えて自分の資質がわかる「ストレングスファインダー」という資質診断を受け、結果を事務局に提出していました。
ストレングスファインダーは、思考や考え方・行動の癖など自然にやってることのパターンを資質として表したもので、34タイプの資質があります。野村総合研究所の齊藤さんから「資質は得意な”もの” ではなく、”どのようなやり方が”得意なのかを表すもの」として診断結果の読み解き方と、チーム作りのヒントを話しがありました。
自分の資質を知った後は、セッション恒例の発表として「自己紹介図の展覧会」を開催。
床に模造紙を広げ、共用のペンを借り合い、ストレングスファインダーの結果を含めて、自分を知ってもらうための情報を書いて展示します。
貼り出された模造紙を見ては、手元の付箋にコメントを書き、模造紙に貼っていきます。
最後は、4グループほどに分かれて円になり、今日の振り返りをして半合宿のグループワークが終了!
課外授業の締めは、毎年恒例のバーベキューで、さらに親睦が深まります。
セッション4 事業テーマを具体化する/23年8月1日
4回目のセッションは「アイデア創出・相互評価セッション」
課外授業後のセッションで、参加者同士のぎこちなさがなくなり、笑い声や会話が弾む雰囲気になりました。
2回目で見えた「事業テーマ」を「事業アイデア」として具体化させ、他のメンバーに端的かつ明解に説明できる状態にすることが、このセッションのゴールです。
事業は「価値のある何かを提供して対価を得ること」です。5W1Hを意識して、事業の概要・商品、サービスの内容・顧客、利用者・背景にあるWants・Crazyポイントをワークシートに埋めていきます。
記入したワークシートをセミナールームの壁一面に貼り、ひとり1分間で発表。
このとき出ていた事業アイデアは、cafeやセラピーなどの「居場所を作る事業」が多く、「同じ業種であれば、十勝の特性を利用し、他との差別化を図ることがポイントになる」と野村総合研究所の齊藤さんからフィードバックがありました。
同時に「TIPで考える事業は、ひとりでできることではなく、TIPの最強の強みである「人」という資源を最大限に使ってできる事業を考えてみてください」と、事業アイデアをブラッシュアップするヒントを出して、終わりました。
まとめ/自分の価値観を形にする
TIP前半戦の「事業テーマを考える」だけで、しっくりきていなかった、私の「やりたいこと」が形を変えて、自分でも納得できる形で、浮き上がってきました。
地方創生や地域の活性化として考えるなら、地域の課題解決が歓迎されやすいと思っていましたが、自分の価値観が軸にあることで、楽しそう!と、自分の事業アイデアにわくわく……。
次は、いよいよ「チーム形成」。どんな風にチームを形成していき、どう事業内容を深めていくのか、まだまだ緊張の回です!
今年度の参加者募集は、既に始まっており、7月5日までの申し込みが必要です。申し込みフォームや、過去のプログラムの様子などがわかるFacebookべージはこちらです。
とかち・イノベーション・プログラム Facebookページ▼
https://www.facebook.com/tokachiinnovationprogram/