帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。
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映画『九十歳。何がめでたい』を見ました。
作家・佐藤愛子のベストセラー・エッセイ集『九十歳。何がめでたい』『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』が原作。
アラウンド100でバリバリ現役というのがすごい!
主演は草笛光子・90歳。日本映画では最高齢主役とのことですが。
今年で芸能生活75周年になろうという松竹歌劇団出身者が、松竹映画で主演を務めるのも、すごい!
芸能界に入るような人というのは一般人より若く見えるとはいえ(あるいは『かくあれかし』という諸々の努力の賜物にしても) 、肌(特に頰)のハリツヤが90歳離れしていて、見入ってしまいました。背筋も通って動きも矍鑠としていて、着物姿がまた良い!
どうやったら、そうなれますか!?オリーブオイル塗ったらいいですか!?(by 宇野千代)
しかしながら超高齢化社会の先人として参考にするにも、そんなレベルでは追いつけなさそうな格の違いしか分かりませんでした。
最初は「90歳にもなったら体がままならない」と示すため、動きの緩慢な演技をされていましたが。
それ以外のシーンは「めくっていた新聞で気になる記事を発見したとき」など、なかなかの俊敏さが出ていました。
「動ける本人の所作が随所で出てしまっている」とも取れますが、家の高齢者など自分に都合のいい時だけ遠いはずの耳がよく聞こえるようになったり動きが素速かったりするので、どちらであろうと、そこにあるのは「老い」。
だからといって辛気臭いわけではないです。自伝とかでもなくエッセイ集の映画化とか、どうするの!?と心配になるくらい派手なイベントもないけれど。
キャッチコピーの「笑いと共感の痛快エンターテイメント!」とまで言われると、「ハードル上げすぎじゃないですか……? 大丈夫ですか?」と不安になります。実際に見にいってそれほどでもなかったら、幻滅してしまいますし。
そんなこと言わなくても全然、佐藤愛子を草笛光子が演じている特別感と滋味だけで、課金するのにー。
キャストはいいのに、製作陣とは今後どうお付き合い方をしていくべきか(レンタル落ちになってからで十分なのではないか?)考えさせられました。
記憶に残った!『九十歳。何がめでたい』3つのポイント
・パワフルな母と、ストレートに物を言える娘(真矢ミキ)との関係性
・背中で語る犬のいじましさ
・うるさ型の役でも角が取れてすら見える草笛光子の気品
欄外:どうしてこんなにも不幸・不遇な役が似合うのか!?な木村多江
帯広といえば『百年記念館』
90歳・100歳の節目がこの映画にかかってきますが、帯広市で百年といえば『百年記念館』でしょう!(異論は認めます)
帯広市の開拓の祖・依田勉三(よだ・べんぞう)率いる晩成社(ばんせいしゃ)が帯広に入ったのが1883年。
百年記念館は1982年の開館で、他の市町村でいう郷土資料館でもあり、陶芸などの活動の場でもある、博物館機能を持った複合施設です。
その百年記念館の、南側(池側)入り口にあるモニュメント。これが中島公園に建つ像と関連があります。
中島公園といっても、札幌のそれとは大きさがかなり異なります。
帯広の中島公園は、帯広神社の南に位置し、恐らく帯広最小の公園(1,873平方m)です。
碑や依田勉三の銅像はあっても、遊具等はありません。
歌手・中島みゆきの祖父・中島武市がその銅像と土地を寄贈したため、その名が公園名に残っています。
その依田勉三の像を見てください。開拓の鍬を支えに立っている構図です。
これを簡略化したものが、百年記念館のモニュメントなのだそう。
私も最初に聞いたときは「嘘おん!?」と思いましたが。
百年記念館のイベントの「緑ヶ丘公園周辺の歴史散歩」の回か「野草園散策」の回か、あるいはそのお隣(?)の「緑と花のセンター」の「自然観察会」で聞いた話なので、確度は高いです。
といっても、年齢の高まりとともに老人力が上がっているのではなく、元々「そういう人間だ」と。
そう言い張りたいお年頃です。