北海道十勝で、次世代農業の扉が静かに開かれようとしています。創業から70年余、穀物のプロフェッショナルとして知られる株式会社山本忠信商店(本社:音更町、代表取締役:山本英明)が、ドローン画像とAI解析を融合させた「小麦の穂数カウント技術」の実証公開を開催。まさに、知恵と技術の融合による新たな十勝の地平ですね。
一穂一粒を正確に捉えるAI技術
今回披露されるのは、上空から撮影したドローン画像をAIが解析し、1平方メートルあたりの小麦穂数を正確かつ自動的にカウントするという革新的な技術。
AIによる画像解析には、機械学習によるパターン認識に加え、マッピング技術や画像合成手法が活用されており、これまで農家の目視や経験に頼っていた「穂数カウント」の世界に精度と効率の飛躍をもたらします。
この技術が実用化されれば、穂数を基準とする反収予測(=1穂あたりの粒数 × 粒重量 × 10aあたりの穂数)の精度が格段に向上し、農作物の収量見通しや生育管理において経営判断の新たな武器となることが期待されています。農業がもつ「勘と経験の世界」に、AIという新たな羅針盤が登場した格好なんだそう。
携帯電話による簡易型システムも開発中
さらに、注目すべきは、専門機器を必要とせずスマートフォン1台で簡便に穂数をカウントできる新技術の開発が進んでいる点。
現場での手間を減らし、誰もがデジタル技術の恩恵を受けられるこの試みは、まさに現場主義と先端技術の融合。多忙な営農者にとっては朗報となることでしょう。
一期一会の実証公開へ
新技術の真価を体感できるのが、2025年7月3日(木)に実施される公開実証試験。会場は、十勝・芽室町にある山川農園。午前・午後合わせて3回に分けて圃場実演が行われ、雨天時には音更町の本社にて室内説明会とビデオ上映が用意されています。
百聞は一見に如かず。
農業従事者、研究者、そしてアグリテックに関心をもつすべての人々にとって、本技術の現場を目撃できるこの機会は貴重です。興味のある方は、所定の申込用紙をFAXにて提出することで参加可能です。
【公開実証試験 概要と日時】
日時:2025年7月3日(木)
- 第1回:10:00〜11:15
- 第2回:13:00〜14:15
- 第3回:15:00〜16:15
※雨天時は本社にて室内説明会
会場:
【圃場実演】山川農園(芽室町祥栄北8線49)
【雨天時】山本忠信商店 2階会議室(音更町木野西通7丁目3)
公開参加申込・お問い合わせ方法
- お申し込みフォームから送信
- お問い合わせはお問い合わせフォームからお願いします。
株式会社 山本忠信商店
担当:山本マサヒコ(株式会社ほっかいどう穀物研究所 主任研究員)
「農業×AI」は次のステージへ
技術革新は、常に現場から生まれ、現場に根を下ろすものです。
山本忠信商店が描く未来の農業は、単なる省力化にとどまらず、智農融合による新しい農業経営の姿を提示するものです。AIによる精密な観察が農家の目を補完し、「作物の声」を聞き取る力を与える。その先にあるのは、百年先を見据えた食の安定供給かもしれません。
この一歩が、十勝から世界へと続く大きな道となることを期待したいと思います。