帯広信用金庫などが主催する「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」が、今年も参加者の募集を開始しました。2025年で11回目を迎えるこのプログラムは、地域に根差しながらも全国水準の支援体制を誇る“起業家育成のエコシステム”。過去10年間では80件超の新規事業構想が生まれ、うち28件が実際に事業化。帯広名物となった「馬車BAR」やグランピング施設「KOYA.lab」、十勝発のクラフトジンを製造・販売する十勝平野蒸留所など、地方発イノベーションの“リアル”が、この北の地にあるんです!
2024年のキックオフセッションの様子
地方の限界ではなく、地方だからこその可能性。
北海道東部にある十勝地方は、域内人口約33万人ながら、食料自給率は驚異の1,200%超。2024年の農畜産物取扱高は3,770億円、域内経済効果は3兆円超!。豊かな自然と経済基盤を備えたこの地域で、新たな産業の芽が次々と育っています。
起業数はこの10年で約1.5倍に伸長し、帯広市では税収・地価ともに上昇基調。北海道全体が人口減少に直面する中、十勝は安定的な経済成長を維持し、むしろ慢性的な労働力不足に悩むほど。
TIP8期生の十勝平野蒸留所(宮澤嘉裕社長)
その根底にあるのが、TIPに代表される起業・創業支援体制の充実でしょう。東京商工リサーチ帯広支店の新田孝久支店長も「揺るがない農業という基幹産業がある限り、日本経済全体が逆風下でも、安定成長を維持できる」と太鼓判を押す。
十勝から24法人が誕生!
TIPは、地域に根ざした独自のビジネスアイデアを生み出すことを目指し、参加者の「やりたいこと(Wants)」を出発点にしています。これまでに延べ約700人(300人超)が参加し、80件の事業構想が発表され、そのうち24法人が誕生しました。
TIPから新事業が次々に誕生
過去の参加者の中には、成功を収めて地域に貢献している例が数多くあり、1期目に誕生した帯広の「馬車BAR」はいまや、帯広まちなかの観光資源に成長。ほかにも、本別町のグランピング事業「KOYA.lab」、上士幌町の「Fant」、7期を経て誕生した株式会社スマヒロが運営する十勝に特化した求人マッチングWebメディア『TCRU(ティクル)』は、十勝の求人サイトのなかで最も閲覧される求人サービスとなるなど、地域に根付いた多様な事業がTIPをきっかけに次々に誕生しています。

TIPとは「やりたいこと」を事業に変える共創の場
TIPの最大の特徴は、「やりたいこと(Wants)」を出発点にした、参加者主導の事業構想。
プログラム開発者である野村総合研究所の斉藤義明氏はこう語る。
「TIPは、地域の未来を本気で考える人たちが、ゼロから価値を生み出すための装置です。規模は小さくても、一歩踏み出す覚悟が地域を変える力になるのです」
過去の参加者たちは、プログラム修了後もコミュニティは持続し、互いに応援し合い、時に新たな共創へと発展することも……。
2025年度スケジュールと概要
TIP2025は以下のスケジュールで開催されます(原則各回13時開始、4時間程度)
7月25日(金):相互理解セッション
8月18日(月):アイデア創出セッション
8月25日(月):チーム形成セッション
9月8日(月):ビジネスデザインセッション
9月24日(水):中間発表セッション
10月8日(水):スパーリングセッション 1
10月21日(火):スパーリングセッション 2
11月4日(火):スパーリングセッション 3
11月18日(火):リハーサルセッション
11月28日(金):事業構想発表セッション
TIPの概要
会場:帯広信用金庫セミナールーム(帯広市西3条南14丁目1-1 中央支店ビル3階)ほか十勝管内
参加費:無料
主催:帯広信用金庫
共催:十勝19市町村
協力:日本政策金融公庫/帯広商工会議所/野村総合研究所ほか
TIPで得られる3つの価値
①仲間との出会い
異なるバックグラウンドを持つメンバーとチームを組み、事業構想を進める中で、強い絆とネットワークが生まれます。
②本気の支援体制
自治体、金融機関、研究機関が一体となって、新規事業を実現に導く強固な後押しを受けられます。
③ビジネススキルの獲得
斉藤氏ら野村総研の企画するセッションを通じて、新規事業開発・組織づくりの実践的スキルが身に付きます。
募集概要・応募方法
対象者
・地域貢献や起業に意欲があり、チームでの事業構想に前向きな方
応募締切:2025年7月4日(金)
※応募多数の場合、書類審査あり
申込・問い合わせ先
TEL:0155-21-5353
Email:tokachiip@gmail.com
「地方だから無理」ではなく「地方だから挑戦できる」
TIPは、地域経済の根幹を支える起業家を一人でも多く輩出する仕組みです。「いつか何かをやりたい」と思っていたあなたが、次の一歩を踏み出す時。それが、2025年の夏かもしれません。
とかち・イノベーション・プログラム 2025、始動。その最初の一歩に、あなたが加わる未来を、私たちは待っています。
過去のTIP事業構想発表レポート
過去のTIP最終発表の様子は、以下の記事からご覧になれます。
歴代の最終発表者の多くが発表後に起業あるいは事業化しています。
とかち・イノベーション・プログラム2023(TIP9)「事業化支援セッション」レポート
