作品名:百年の藍
著 者:増山実
出版社:小学館
熱い男と、そのバトンを繋いだ熱い人たちの情熱リレー
今となっては、〝あたり前田のクラッカー〟よりも当たり前のファッションアイテムの〝ジーパン〟。
そのジーパンを日本で広めるために尽力したひとりのヤケドするほどの熱い男と、その思いを繋いだ人たちの情熱のバトンの物語。
震災を乗り越え、戦争を乗り越え、羽賀研二の人生よりも紆余曲折あり、それでも諦めることなく情熱を注ぐ姿は、感動と勇気を与えてくれます。
そして、この物語は史実に基づいて創作されたフィクションのため、歴史的背景は実際の出来事を参考にしています。
と、なると、物語を楽しみながら先人たちの軌跡を知ることもできる、リンスインシャンプーのような一度で二度美味しい素敵な本なんです。
まずは何も考えずに、騙されたと思って読んでみてください!
でも、騙したらごめんなさい。
考えさせられる言葉が散りばめられた名言集
私は、〝激アツ〟な言葉や文章に出合う度に、付箋をつけながら読み進めていくんですが、この本はハリネズミのようにトゲトゲになって読了を迎えました。
そんな中でも特に……。
経験を積めば積むほど、情報を集めれば集めるほど、思考が迷宮入りし、一歩を踏み出せなくなった経験がたくさんあるからです。
みなさんもわかりますよね?
その他にも、〝私らの力で、国って変わるのかな〟と綴った数ページ後に、〝国を変えるよりも、自分たちの生活を変えることが革命〟と綴っており、ここでも私の心はレフトスタンドへ運ばれてしまいました。
野球ネタばかりですいません。
あなたの〝買い物〟の価値観を〝激変〟させる1冊
この本を読んですぐ高嶋政伸さんもびっくりするほどの事件が起きたのです。
それは「今日からは、商品の機能やデザインだけでなく、企業の想いやストーリーを知ったうえで買い物をしよう」と小川の中のナポレオンが革命を起こしたのです。
ね?大事件でしょ?
普段、何気なくしている買い物、今のあなたはどんな基準で商品を選んでいますか?
この作品を読む前の私は、機能と値段がおなじであれば、なにもこだわらずに選んでいました。髪型で一世を風靡したデイビッド・ベッカムのノールックパスのように何も見ずに。
はい。今度はサッカーネタです。
そんな私の価値観を一変させたこの本は、人生を変えた1冊にランクインするほどの実力者です。
あなたの人生も深めることになることは、間違いありません。
Profile
小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当