作品名:夜明けのすべて
著者:瀬尾まいこ
出版社:水鈴社
それぞれの苦しみを理解し互いに支えあう二人の心優しい物語
PMS(月経前症候群)に苦しむ藤沢美沙とパニック障害の発作に苦しむ山添孝俊は同じ会社の同僚。
それぞれが相手のことを〝やる気がない〟、〝急に怒り出す人〟と決めつけていたが、その誤解に気がつくのです。その誤解に気がついてからはお互いがカツオくんに対する花沢さんのような〝おせっかい〟を通して支え合うのです。
その展開からは目が離せずワクワク。誰かを支えることで自分が一番救われている。
そんな風にも感じられました。
二人の支え合いだけじゃなく、自分への向き合い方に注目です。
ラブ・ストーリーは突然に現れるのですが、二人の友情や恋の予感はどうなのか?
何から伝えればいいのか、分からないまま時が流れてしまいました。
なぜなら読む人によって感想が違ってくる展開。だからこそ読了後にこの物語を誰かと共有すると、もう一度楽しめるかもしれませんよ。
男性諸君に次ぐ!今すぐこの本を読みなさい!!
PMS(月経前症候群)に苦しむ女性は少なくないはず。そしてそれを理解できている男性は多くないと思います。
ここで多くはお伝えしませんが、いわゆる〝生理痛〟とは違い、痛みだけでははく情緒や精神的な症状が見られる場合もあるようです。それを理解しているかどうかでパートナーに寄り添えるのか、傷つけてしまうのか全然違ってきます。
昔、寝込んでいるパートナーに「ご飯は?」と声かけした小川が言うのだから間違いありません。
知っていると知らないでは雲泥の差。知るだけで身に付く〝優しさ〟ってこの世の中にたくさんあると私は思います。
私はこの本をきっかけに、もっともっと知りたい!学びたい!と知識欲が増えた気がします。
以前、この本を友人に紹介したのですが、それをきっかけにPMSの対処法を知り、つらさが解消した事例もあるので、たくさんの女性にも読んでほしいと思っています。
そんな情報満載なこの本は、彦麿呂さんなら〝情報の宝石箱やー〟
と、言うこと間違いありません。
知らんけど。
映画化決定!!注目されている作品です
実はこの作品は、2024年2月に映画化が決定しているのです。
私自信、主演に選ばれずに悔しい思いはしましたが、書籍だけでは届かない人にこに物語を届けられると思うと嬉しくて嬉しくてたまりません。
知っているとは思いますが、もちろん届ける側にもなっていないのです。
小説が映画化された際に、原作と比べてしまうこともありますが、私自身は別な作品として捉えています。だからこの作品ももちろん映画館に足を運び、それぞれの良さを堪能したいと思っています。
優しさに溢れたこの作品は、温かくぬくもりを感じるお母さんのような1冊です。
Profile
小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当