作品名:花は咲けども 噺せども 神様がくれた高座
著者:立川談慶
出版社:PHP研究所
2024.02.16作品名:ママがおばけになっちゃった!
著者:のぶみ
出版社:講談社こんな絵本いままでなかった!!
市原悦子なら間違いなく「あら...
「立川談志」の落語に魅了されたひとりの男の物語
主人公の杉崎修二は、安定した職業を辞め、落語家の道を選ぶことになる。7年という異例の長さも修行を経験し、ようやく二つ目(前座のあとで真打の前に演ずる位置)となり、師匠である山水亭錦生より〝山水亭錦之助〟を命名してもらいます。
はい。師匠に名前をいただくって憧れます。
そんな錦之助(通称:錦ちゃん)は、不器用の塊のような男で、仕事もなかなかうまくいかないんです。誰も聞いていない屋外でやる落語。ライバルの代役で出演する屈辱の舞台。
さらに同級生には人生の選択を間違ったと揶揄され、落研の先輩に軽蔑されてしまう。
はい。地獄絵図です。
「本当に、落語家になるべきだったのか?」
「今からでも、違う道に進んだ方が家族のためになるのではないか?」
自分が同じ状況ならばそう思ったかもしれません。
しかし、錦之助は腐らずに、どんな仕事でも2つ返事で引き受けていくのです。
そんな錦之助を神様は見捨てなかったのでしょうか。高座を通してたくさんの出会い、ご縁をいただき、人生は好転していくのです。
真打を目指す落語家の笑いあり涙ありの人情物語は、あなたの心をホカホカにするでしょう。
それこそ、立川談志さんのお弟子さんみたいですね。この本からは師匠愛がひしひしと伝わってきます。
悔しさの積み重ねが至高のひとときのスパイスとなる
この本を読み終えての感想を「ひと言」しか言えないのだとしたら、〝出会いが人生を支える〟と言い切るでしょう。それだけ錦之助は人生を左右する出会いを積み重ねていくのです。まずは、人生の伴侶の文子さん。この方抜きには語れません。
「苦労を経験に置き換えればいいだけじゃない」
錦之助に舞い込む、渋柿のような渋みとエグ味のハーモニーを奏でる仕事。そんな仕事を受けるか迷った時にはいつも背中を押してくれるのです。
はい。良妻賢母ってやつです。
そんな文子を筆頭に、入院中の男の子や老人ホームのオーナーの白石さんと出会いを重ねていくのです。
数珠繋ぎの出会いが、錦之助の辛かった過去を、ハッピーなものへと変換していくのです。
今、辛い日々の渦中にいる人は、この本に救われるひとも多いのではないでしょうか?
不器用さとあたたかさは繋がっているのかもしれない
上手にいきていけなくても、上手に世の中を渡れなくても、人柄や真意っていうものはしっかりと伝わるのだと思います。不器用の代名詞の高倉健さんを冷たい人間って思う人は少なく、むしろ人情味のある人だと思う人の方が多いですよね?
この作品は著者の実体験をベースにして書かれた作品であるそうです。それを頭の片隅に置きながら読むことで、錦之助が本当に実在するかのようにも感じられるでしょう。
不器用だけど、芯があり、真っ直ぐに生きている。
そんな人柄だからこそ、今までの苦労が報われるようなあたたかな出会いを積み重ねることができたのかもしれませんね。
なんだか著者の立川談慶さんの落語が気になってきました。
落語家さんを入り口に落語を聞いてみるのもいいかもしれませんね!
落語を題材としたこの物語は、人のぬくもりがたくさん詰まった、心地いい温かさの1冊です。
Profile
小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当
楽しく生きるためのヒントが詰まったこの1冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。
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出版社:光文社誰もが共感できる悩みに寄り添う温かい物語
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2023.07.28Book cafe&barなんだけど、ちょっとスナックっぽい賑やかさ
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