作品名:成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
出版社:新潮社
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成瀬の奇想天外な行動に心を奪われる人、続出!
主人公の成瀬は中学2年生の女の子。その成瀬の「わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」から物語がスタートするんです。
西武?ライオンズ?デパート?と頭の中には「どの西武だ」という疑問が浮かびますよね。
安心してください。どちらも関係しますよ。
西武デパートの閉店まで毎日テレビ中継することが決まると、映り込みに通うんです。
北海道でいうところの、どさんこワイドですね。
それが終わると、今度は〝M-1〟にチャレンジする成瀬。
そう、あの漫才のM-1です。
ちなみに、小学校の文章に書いた将来の夢は「200歳まで生きる」
もうね、成瀬から目が離せなくなるんです。
もちろんまだまだあるのですが、ネタバレになるのでこの辺で。
そんな成瀬の笑劇ストーリーは、エンタメ小説のエースで4番を任せられる1冊です。
本屋大賞2024にもノミネートされたみたいですね!
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成瀬と島崎の友情からも目が離せない
成瀬には、同じマンションに住んでいる幼馴染の島崎という友達がいるんです。その島崎は成瀬の行動に、ことあるごとに巻き込まれるんです。そして当の島崎も〝見守る〟と決め、成瀬に付き合うのですが徐々に島崎本人も楽しくなっていく。
その気持ち、すごくわかります。
もちのろん、学校で浮いている成瀬なので、仲良くするにも葛藤はあるんです。
だけど、この二人の友情は砂漠よりも熱く、マンゴーよりも水々しいんです。
最高でしょ?
高校からは別々な学校に進むものの、それでもスタンスは変わらない二人。そしてその後の進路はどうなるのか。そこも気になりますよね。
こんな風に島崎視点で見るのと、成瀬視点で見るのでは、また違った感想をもつことができ、楽しさも増すかもしれません。
誰かにとっては、浮いていて疎ましい存在なのだけれども、自分にとっては魅力的な存在。
自分にとってはそれが誰なのか、気がついたらそれを考えながら読んでいました。
はい。あなたのことです。
最終話の成瀬にも胸を打たれます。
![](https://sumahiro.com/wp-content/uploads/2024/03/S__22028592-1024x768.jpg)
本屋大賞ノミネートの実力派作品
この本の凄いところは、中高生の成瀬の青春ストーリーなのに、全然甘酸っぱい恋愛もなく、情緒を揺さぶられるエモさもないんです。
なのに!です。
なのにこんなに続きが気になって、なのにこんなにストーリーにのめり込むなんて実力作品としか言いようがありません。難しい言葉もなく、主人公がキャラ立ちしていて面白い。
本って読んだことがない、活字って苦手、読書って堅苦しい。そんなイメージを持っている読書未経験者の人にお勧めしたい作品です。
読書の面白さ、物語の面白さをしっかりと体験できること間違いありません。
騙されたと思って読んでみてください。
読書に苦手意識がある人にとってはどんなところが読みやすいですか?
かつてない強烈キャラが主人公のストーリー。あなたも成瀬史の証人になりませんか?
Profile
小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当
楽しく生きるためのヒントが詰まったこの1冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。
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