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【書評】本の虫 小川の本棚 「ぼくは刑事です」presented by Book cafe & bar Sen 098

作品名:ぼくは刑事です
著者:小野寺史宜
出版社:ポプラ社

装丁から伝わる温かさは、安定の心温まるストーリー

いつものごとく、地元の本屋さんを定期巡回しながら、新刊パトロールをしていたときのこと。

ふと目に飛び込んできたのが、この本の装丁だった。見覚えのあるあたたかいタッチ。その瞬間、「あ、小野寺さんの新刊だ」と直感がはたらいた。

胸が躍った。いや、正確には跳ねた。

気づけば手に取り、有無を言わさずレジへ直行。

山のように積み上げられた未読本の優先順位をごぼう抜きして、すぐに読むことを決めた。

いつも言っていることだが、本というのは「必要なときに、必要な一冊が手元にやってくる」と思っている。

そして、それを開くタイミングも、きっと自分にとってのに必要な瞬間として訪れる。

そういう意味では、今回もまさにその通りだった。

この本には、やわらかくて、でも核心を突いてくるような言葉が静かに並んでいた。

読みながら、自分の今の生活や、心の使い方、時間の流れ方を見直す機会にもなった。

もしかしたら、この一冊は、今の自分のライフバランスを立て直す小さなヒントをくれる存在なのかもしれない。

そう思える本に出会えたことに、感謝している。

読書体験を通じて自分を見つめ直してもらえると嬉しいです。
「令和型」解釈は自由なので読む人の自由ですが、ボクは読書を生活に活かしていきたいです。

 

刑事が主人公、だけど刑事が主役ではない

この物語の主人公は刑事である。

だが、この作品が描いているのは、事件や捜査のスリルではなく、「刑事」という職業の裏にある、ひとりの男の人生そのものだ。

松川律、三十一歳。現役の刑事でありながら、シングルマザーの竹本澄音と交際している。

澄音の五歳の娘・海音とも少しずつ距離が縮まり、ようやく結婚を意識し始めた矢先、澄音から「実は父に前科がある」と打ち明けられる。

その一言から、律の心にさざ波が立ち始める。

舞台はスカイツリーを望む東京・下町。

ラーメン店を営む姉一家とのあたたかな交流、刑事としての現場での日常、同期との気さくなやりとり……そうした日々の積み重ねのなかで、律という人物がじわじわと立ち上がってくる。

事件が起きなくても、人は揺れる。

人生の選択に迷い、過去を知り、未来を思う。

この物語は、職業では語りきれない人となりを丁寧に描き出している。

刑事にも、教師にも、福祉職にも、どんな職業の人にも、それぞれの暮らしがあり、物語がある。

この作品が心に響くのは、そんな当たり前を、あらためて思い出させてくれるからかもしれない。

職業人としてではなく、ひとりの人間としての時間と向き合う

ふと、自分の趣味や趣向について考えてみた。

刑事ドラマに始まり、ビジネス系のドラマ、そしてノンフィクションやビジネス小説へと関心が広がってきたことに気づいた。

要するに、自分は「仕事」に携わる人たちを描いたエンタメが好きらしい。

しかし、この作品を読み終えた今、心に浮かぶのは少し違う想いだ。

自分の「仕事をしていない時間」、つまりプライベートの時間をもっと大切にしたいと思った。

だからこそ、ここで宣言する。これからの自分は、プライベートな時間を意識して充実させていく。

松川律という男は、刑事としての人生と、松川律という個人としての人生の間で揺れながらも、どちらかを切り捨てることはしなかった。

もちろん、彼にとって「刑事」であることは自分の人生の一部だが、それだけでは人生は完結しない。

うまくいかないことも、ぶつかる壁もある。

それでも彼は、「刑事」という肩書きを言い訳にせず、自分の人生にちゃんと向き合っていた。

だからこそ、ボクも決めた。
「仕事だから仕方ない」とか「忙しいから無理」と、自分の時間を諦めるのはやめにする。

大切なのは、どんな時間をどう過ごしたいのかを、自分で選び取ることなのだと思う。

「言い訳」はいくらでもできるからこそ決意が大事ですね!
決意が薄れてきたら再読し、また気持ちを整えます。

 

ひとりの人間にフォーカスした、心に沁みる人情物語。

ぶつかりながらも信念を貫き、自分の人生と丁寧に向き合うその姿に、きっと多くの人の心が温まり、励まされるはず。

読む人の胸にそっと寄り添い、揺るがない思いを届けてくれる、間違いのない1冊です。

Profile#

小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当

楽しく生きるためのヒントが詰まったこの1冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。

































































































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