【書評】本の虫 小川の本棚 「ユダヤ人大富豪の教え　幸せな金持ちになる１７の秘訣」presented by Book cafe & bar Sen 113

作品名：ユダヤ人大富豪の教え　幸せな金持ちになる１７の秘訣
著者：本田　健
出版社：大和書房

ふと、思い出し、急に読み返したくなった１冊

この本との出会いは、ある友人がきっかけだった。
読書仲間で集まり、お気に入りの本を持ち寄って紹介し合う「読書会」でのことだった。

それまでタイトルは何度も耳にしていた。「ユダヤ人大富豪の教え」。

なんともビジネスの匂いがプンプンしていて、「きっと難しい内容で、読みにくいに決まっている」と勝手に妄想して避けていた。

ところがどっこい。読書会で紹介されたときに「これは小説なんだよ」と聞いて、すぐに手に取った。

読み進めると驚くほどスラスラと読めてしまい、気がつけば一気に読了していた。
それ以来、定期的に読み返すほどのお気に入りになった。

人生をどう生きるか、その本質に触れさせてくれる王道の自己啓発小説である。
読み終えたあとには、きっと「どうしてもっと早く読まなかったんだろう」と後悔するはずである。

お金の話なのに泣ける――そんな一冊に出会った

正直に言うと、ボクは「お金の本」と聞くとちょっと身構えてしまうタイプだ。

数字や投資の話を延々と読まされるのかな、と腰が引ける。

それだけじゃなく、「お金お金」と言うのもどこか後ろめたい気がしていた。

ところが、この本はまったく違った。

アメリカ人の老富豪と日本人の青年との出会いから始まる物語。

お金をどう扱うか、どう稼ぐかというテクニックの話にとどまらず、
「人生をどう豊かに生きるか」というテーマに真正面から迫っている。

読み進めるうちに「お金の話なのに泣けた」という声があるのも納得できた。

本の中では、

• お金の法則を学ぶ
• 失敗とうまくつき合う
• スピーチの天才になる
• 人脈を使いこなす
• 自分のビジネスを持つ

といった、具体的で実践的な知恵が惜しみなく語られている。

けれど、それ以上に心に残るのは、青年が少しずつ成長していく姿。
そして、彼を支える老富豪の言葉の温かさだ。気がつけば、自分自身の人生に重ねて読んでいた。

この本を読んだ日から、「お金」と「人生」の見え方が変わった。
そんな読者が多いのも当然である。

内容は学びに繋がるのに、感動小説となっている一冊。
お金のことに苦手意識がある人ほど、ぜひ手に取ってほしい。

読み返すたびに「今、この言葉が欲しかった」と出会える

はじめてこの本を手にしてから、もう10年以上が経つ。
その間に、何度か読み返してきた。起業する前、起業してすぐ、そして今。

不思議なことに、同じ本なのに、読む時期によって心に響く言葉がまったく違う。
起業前は未来への希望とモチベーション。
起業してすぐの頃には、基本に立ち返るための軌道修正。
そして今は、心のモヤモヤを晴らしてくれる救い。

まるで本の中の言葉たちが、こちらの状況を見透かして、必要なタイミングで声をかけてくれるようだ。
そう考えると、この本――いや、読書のチカラって本当に無限だと感じる。

さあ、あなたはこの本からどんなメッセージを受け取るのか。
きっと今のあなたにぴったりの言葉と出会えるはずだ。

今の自分を、より輝かせるために必要なエッセンスが詰まったこの本は、たくさんの人に届けたい１冊です。

Profile#

小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen（せん）」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー！』（みらいパブリッシング）か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当

楽しく生きるためのヒントが詰まったこの１冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。