【書評】本の虫 小川の本棚 「:エッセイストのように生きる」presented by Book cafe & bar Sen 058

作品名：エッセイストのように生きる
著者：松浦弥太郎
出版社：光文社

不思議と「一緒に帰りたい」と思い購入

タイトルを見て「おいおい。ついに人じゃなく本と同棲するようになったか」なんて誰かに言われそうな気がするが、本当にそう思った。書店でふと目にしたこの本を購入しようかと手に取り、急に気が変わり、小説にしようと棚に戻したのです。

はい。優柔不断です。

しかしその瞬間、心の中の鈴木雅之が「違う、そうじゃない」と声を響かせ、購入を決めたのです。

なぜそう思ったのかと言われたら明確に説明することは難しい。

難しいけれど、たぶんシンプル。言うなれば「直感」

いいや、「直感」と言うよりは「心の声」と言った方が適切かもしてない。何かを決断する時、迷いが生じることは誰にだってあると思う。その迷った時、理屈でなく、損得でもなく、あなた自身の「心」と向き合ってみてはどうでしょうか？

私自身、この本を選んで良かったと心から思っている。

エッセイストのように生き始めた「おがわ」に乞うご期待です。

書く人だけじゃなく、誰にだって必要なエッセンスが詰まっている

エッセイを書きたい人、すでに書いている人はもちろん、そうでない人もこの本を読んでほしい。なぜなら、心に響くコトバがたくさんあるから。

例えば、インド料理屋さんでスパイスカレーを食べて、「おいしい」と感動したとしても、それだけではエッセイは書けない。そこに自分らしい「視点」を加えることで書けるのだと。

これはエッセイを書く時だけに限らず、何かを経験した時〝楽しかった〟〝美味しかった〟〝感動した〟に「自分らしい視点」、いわば「個性」をプラスすることで自分らしさを深めることができる。

そう。自分と向き合うことができるのです。

もちろんこれ以外にもおがわのハートを掴むコトバが多く、読み終える頃には、本がハリネズミのようになっていました。

自分ではなかなかわからない〝自分らしさ〟

それを見つけられたらもっと素敵な人生になるのではないでしょうか？

これから人生を深めていく世代に届けたい本
かく言う私も、人生の折り返し地点にたどり着くほど年齢を重ねた。今までの経験と、まだ残っている元気を振り絞って、もう少し社会で活躍するつもりですが、前を向くだけじゃなく、足元をしっかりと見て、人生も深めていきたい年齢でもある。

では、どうやったら人生が深まるのか？
その問いに、今なら迷わずにこう答える。「エッセイストのように生きること」だと。

エッセイを書かなくても、「エッセイを書くとしたら」という視点で生きることはできる。仮に
書くとしたら、何を書きますか？間違いなく言えることは、未来のことは書けない。そうなると自ずと今、過去の２つがネタになるわけです。

この視点が人生を深めるのだと、この本から学んだ私の今後の人生は、コクがあり、深みのあるコーヒーのような人生になること間違いありません。

はい。ほろ苦い人生確定です。

これからの生き方のヒントになるこの本は、あなたの人生に深みをもたらしてくれる一冊です。

 

Profile

小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen（せん）」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー！』（みらいパブリッシング）か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当

楽しく生きるためのヒントが詰まったこの１冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。