2026年3月8日、池田町の田園ホールで、星槎国際高校アイドル部の単独ライブ「あい♡どり〜む☆めもり〜」が開かれました。この日は、高校3年生のまいまいさんにとって、アイドル部としてのラストステージ。舞台に立つまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
部員が昨年の10人から3人に減るなか、開催するかどうかをめぐってメンバー間で話し合いが重ねられたといいます。
スマヒロ編集部は本番2日前、メンバーのまいまいさんとかななんさんにインタビューしました。これまでの活動の歩みと、単独ライブに踏み切るまでの迷い、そのときの心境をたどり、後半ではライブ当日の模様もお届けします。
学園祭の「いちにちアイドル」から始まったアイドル部

一番手前がまいまいさん。すぐ後ろが創設者の近藤生望(こんどう・いくみ)さん。
星槎国際高校アイドル部の始まりは、2023年10月7日の学園祭にさかのぼります。きっかけは「いちにちアイドル」という企画でした。部の創設者であり星槎国際高校の卒業生である近藤生望さんから声をかけられたまいまいさんは「アイドルを夢見るメンバーと共に」一日限りのグループ「スターターリボン」としてステージに立ちます。
ところが、そのステージ上で先輩から告げられたのは、「まいにちアイドル」として活動を続けていくという話でした。
「えっ!? 今日だけじゃないの?って、びっくりしました」と、まいまいさんは笑います。その日限りのつもりだったまいまいさんのアイドル活動は、「星槎国際高校アイドル部」として今日まで続くことになったのです。
2024年7月には、現メンバーであるかななんさんとなるちゃんさんが加入。

今回ステージに立つ3名のショット。左からなるちゃんさん、まいまいさん、かななんさん。
活動は少しずつ形を変えながら、次のステージへと進んでいきました。2025年3月には初の主催ライブ「IDOL ROAD」を開催。

その後も数多くのイベント出演を重ね、歩みは2度目の主催ライブ「あい♡どり〜む☆めもり〜」へとつながっていきました。
「アイドル部って何?」の言葉から逃げずに向き合った3年間

アイドル部はこの3年間、地域イベントの舞台を中心に活動を続けてきました。けれど、始めから順風満帆だったわけではありません。活動初期は、周囲の反応も決して大きなものではなかったといいます。
「そもそもアイドル部って何?」
そんな、どこか距離のある空気のなかでも、イベント出演やコラボレーションを重ねるうちに、「最近頑張っているよね」と声をかけられることが多くなりました。少しずつ周囲の見方が変わっていくのを感じたそうです。

アイドル部を卒業するまいまいさん
創設メンバーであるまいまいさんが、3年間の活動を振り返って「印象的だった」と語るのが、メンバー一人ひとりの変化です。
「歌やダンスが全然できなかった子や、緊張してうまくパフォーマンスできなかった子が、どんどん変わっていく姿には驚かされました」
言葉を選びながら話すまいまいさんの表情には、仲間の成長を見守ってきた時間が、そのまま刻まれているようでした。
10人から3人へ。それでも続けた理由
実は、2025年の単独ライブ「IDOL ROAD」以降、アイドル部の活動は順調なことばかりではありませんでした。10人いた部員のうち4人が卒業を機に引退し、その後もメンバーの入れ替わりがあり、現在は3人で活動しています。人数が減るなかで、悩みや迷いがなかったわけではありません。
それでも残ったメンバーには、簡単にはアイドル部を手放せない思いがありました。メンバーの一人、かななんさんはこう話します。
「人数が減ったからこそ、逆に続ける気持ちは強くなったと思います」

ライブが楽しいと語るかななんさん
「続ける選択」が、ただの意地ではないことを実感した場面もあります。3人体制になってから臨んだ2026年の氷まつりでのステージは、「過去一」と感じるほど盛り上がったそうです。

その日、会場の空気をさらに熱くしたのが、ダンスチーム「CHIBI UNITY」とのコラボレーションでした。学校から仲間や先生たちも駆けつけるなか、ステージと客席の距離がふっと消えるような、会場全体が一体になる感覚を覚えたといいます。
学校や地域に支えられる活動
アイドル部の周りには、学校や地域で支えてくれる人たちの輪が広がっているのが印象的でした。
オリジナル曲「とかち晴れ」「ミライを君と」「I♥DREAMING」は、いずれも星槎国際高校の仲間たちが作詞・作曲に携わって生まれた楽曲です。
「とかち晴れ」
「ミライを君と」
さらに、新曲である「Change」は、帯広で活動するキーボーディスト・らいらいながまささんが作曲を手がけ、氷まつりでコラボした新潟のダンスチーム「CHIBI UNITY」が振り付けの制作に関わっています。
こうしたサポートは、楽曲面にとどまりません。取材当日、インタビューを行った建物内では、学校の仲間たちがライブに向けたグッズ作りを進めていました。舞台裏の手作業が、3人の背中を確かに支えているように見えました。

彼女たちのひたむきな姿に心を動かされ「何か協力したい」と思う人が増えていく。アイドルとして活動する環境は、周囲の方々のサポートのおかげで着実に整ってきたのです。
2026年主催ライブ「あい♡どり〜む☆めもり〜」への道のり

「今回のライブは、はじめあまり乗り気ではなかったんです」
そう振り返るのは、まいまいさんです。
部員が昨年の10人から3人に減ったこともあり、「今年は無理をせず、来年に託したほうがいいんじゃないか」と、まいまいさん自身が考えていたといいます。
「でも、去年は卒業ライブをしたのに、今年はまいまいだけ卒業ライブをしないのは違うんじゃないかって、顧問の先生やメンバーが言ってくれました」
周囲の言葉に背中を押され、まいまいさんの卒業ライブ「あい♡どり〜む☆めもり〜」は、開催へと動き出します。ただ、開催が決まってからも、不安がすぐに消えたわけではありませんでした。
背景にあったのが、集客への不安です。
前年の単独ライブ「IDOL ROAD」は12月頃から告知を始めていたものの、今回は開催自体をめぐる迷いもあり、本格的な告知は2月半ばからになったそうです。池田町で主催ライブを行うのは初めてだったこともあり、どれくらいの人が来てくれるのか、見通しが立てづらい状況でした。
SNSでの告知やポスター掲示のお願い。限られた時間の中でできることを一つずつ重ねながら、本番へ向けた準備が進められていったのです。
ステージを見て、気持ちが切り替わった

そんなメンバーの気持ちを大きく変えたのが、本番を前に会場である「池田町田園ホール」のステージを見に行ったときのことでした。かななんさんは、こう振り返ります。
「『うわ、こんなところでやれるんだ』って感じたんです。自分たちがやりたいと思っていたことを全部できそうな感覚があって、今はもう不安より楽しみの気持ちのほうが大きいですね」
その言葉を受けて、まいまいさんもこう続けました。
「やるしかないし、頑張ろうっていう気持ちに切り替わっています」
さらに今回のライブに込めた思いについて、まいまいさんはこう語ります。
「このメンバーでやるのは今回が最後になるので、ここでしか見られないステージになっているはずです。3年間を一緒に振り返るような気持ちで、アイドルとして積み重ねてきたものを感じてもらえたらうれしいです」
迷いを抱えながらも、少しずつ本番へ向けて気持ちを整えていった3人。ライブが近づくにつれ、その表情には不安だけではない、確かな前向きさがにじんでいました。

田園ホールで見た3人のステージをレポート

3月8日、池田町田園ホール。この日のライブは3部構成、約2時間にわたって行われました。
開演前の客席には、あたたかい期待が漂っていました。3人のライブを見届けようと多くの人たちが始まりの時を待ちます。
第1部 まいまいさんのソロで幕開け──集大成のステージ

第1部は、まいまいさんのソロからスタート。力いっぱいの歌とダンスで会場を一気に引き込みます。
客席では、思いに応えるようにペンライトがリズムに合わせて揺れていました。途中、まいまいさんは感極まって涙ぐむ場面もありましたが、それでも全力のパフォーマンスを見せてくれます。

3人がそろってからは、今回のライブ名の由来にもなった「I♥DREAMING」や、代表曲「とかち晴れ」など、オリジナルソングを披露。
MCでは「こんなにお客さんがいると思わなかった。本当にうれしい」と、メンバーが満面の笑顔を見せます。
インタビューではライブの告知時期が昨年に比べて遅くなり、どれだけの人が来てくれるのか不安と語っていた彼女たち。客席を見渡した瞬間の自然に出た言葉には、不安が喜びに変わった手応えがにじんでいるように感じられました。

第1部後半ではOGがゲストとして参加し、AKB48の「ヘビーローテーション」を披露。卒業後も続く、メンバー間のつながりの強さを感じる一幕です。
ラストではクリエイターユニット「HoneyWorks」の「誇り高きアイドル」をカバーして披露。
インタビューでかななんさんは、「アイドル活動をしていると偏見で見られることもある。でも関係なく、好きなことをやりたい」と話していました。その言葉と重なるように、曲の中の“胸を張ってアイドルでいる”というまっすぐなメッセージを、高らかに歌い上げます。

客席に駆け上がるパフォーマンスもあり、会場全体が一体になる感覚がありました。
第2部 テーマは「BLACKPINK」──クールな表情で魅せる

第2部では、第1部の白を基調とした衣装から一転。「BLACKPINK」をテーマとした黒メインの衣装で登場し、「かっこよさ」を前面に押し出します。

ステージはダンス中心。難易度の高い動きも次々と決め、会場の空気をぐっと引き締めました。日々、夜遅くまで歌やダンスの練習をしていると語っていた彼女たち。その言葉どおり、第2部は練習の積み重ねが伝わる圧巻のパフォーマンスでした。

第3部 制服姿で素の表情──そして、バトンが渡された

第3部では少し長めのインターバルを置き、制服姿で登場。ステージに立つ3人の表情も、どこか素に近いものに見えます。1曲を歌い終えたあとのMCで、まいまいさんは「初期メンバーとして活動してきた3年間、あっという間だった」と振り返ります。

「最初は『アイドル部ってなんなの?』と疑問を持たれて悩むこともあった。でも歴代のメンバーや先生、家族、お客さんが一生懸命応援してくれて、みんなで作るアイドル部なんだなと感じるようになりました。この景色を見られてうれしいです」
会場を見渡しながら周囲の人たちへの感謝の言葉を述べました。
後輩のなるちゃんさんやかななんさんからも、まいまいさんへメッセージが送られました。
「部活外でもたくさん助けられた。お姉さんのような存在」(なるちゃんさん)
「さびしいけれど、まいまいの意志を紡いでいきたい」(かななんさん)
そして最後にこう締めくくります。
「アイドル部を十勝以外にも広めていきたい」
まさに先輩から後輩へとバトンが渡される瞬間です。メンバーからまいまいさんへは、色紙と花束が贈られました。花束はまいまいさんの好きなピンクとホワイトの花で作られているそう。

アンコールでは「ミライを君と」「とかち晴れ(冬バージョン)」を高らかに歌い上げ、会場は大きな拍手に包まれました。

卒業のステージ、アイドル部はその先へ

まいまいさんにとっては卒業のステージであり、3人にとっては今の体制で立つ最後の単独ライブ。その時間は確かに特別なものでした。
けれど同時に、この日のステージは終わりだけでなく、まいまいさんから後輩たちへ思いのバトンが手渡された瞬間でもありました。
星槎国際高校アイドル部の物語は、これからも続いていきます。
