帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
『キングダム 大将軍の帰還』
原泰久『キングダム』の実写映画化4作目にして、これまでの映画シリーズの集大成となる作品。
『キングダム』は登場人物が多く、なかなかに込み入った話、しかも4作目です。
「ちょっと時間ができて映画が見たくなったけれど、何がいいかな」層には、オススメできません。
『帰ってきた あぶない刑事』のような「前作を見ていなくても『タカとユージのバディもの』といった基本事項を了解していれば、ついていける」というライトなとっかかりの作品ではありません。
今まで追ってきたとか、せめて「これまでの映画は見逃してきたけれど、新たに原作読んで興味が湧いた」というように、ある程度理解してないと厳しいのではないかと思います。
本作品、私は未知からの途中参入はオススメしませんが、「原作ファンだけど映画の途中で脱落した」という人には見ていただきたい!!
映画『キングダム』を見たことがないという人でも、Twitterユーザーなら(未だに『X』が馴染まない……)腕組みして微笑む王騎将軍(大沢たかお)の姿を目にする機会は多かったはず。
今回の映画では、そんな(?)大将軍・王騎の姿をふんだんに見ることができます!!
原作を知っている勢には、逆に「原作改変か?」と不安になるタイトルかもしれませんが、安心してください。
相性は悪い・・・?
かく言う、この私。
王騎将軍は◎でも、出てこないパートでちょいちょい集中力を欠いていたくらいで、監督との相性がよろしくないみたいなんです……。
というのも当方、隙あらば情報を浴びていたい民。
トイレに行っても文字を求めて説明文とかに目がいってしまう方です。(だからといって、さっさと済ませたいのでスマホまでは取り出さないですが)
元々、ドラマ・映画・アニメよりも小説・マンガが好きで、「読んだ方が早い」と動画の時間経過に対して得られる話の進み具合の遅さがちょっとしたストレスに感じる方で、あまり動画視聴に向いていないんだと思います……。
「コストがかかった映画が好き!」というのも「時間当たりの情報量が少ない・進行が遅くてタルい」作品の裏返し。
原作も好きだし、海外ロケまでしてて有名な俳優さんたちも集めてコストがかかっているのに、なぜ私は映画『キングダム』を不得手としてきたのか、理由を考えながら見ていました。
……「喋ってる人にフォーカスして、同じ画面にいる人とか背景がピンボケ」を多用されるのが、辛かった。
そんなものはあくまで自分の価値基準なんですが、視覚情報が少ないと「映画館の大画面で見なくていいし、上映終わってレンタルや配信サービスが始まっても見直さなくて十分。銀盤も買う必要なし」となってしまうし、見てる最中、もう飽きがち。
『マッドマックス:フュリオサ』みたいな、1回は主人公の視点に寄って見ても「その頃ウォーボーイズは?」とか「この時、後ろの人たちの動きは?」が気になって見返したくなる感じできていただけると、たいへんありがたいです。
いや『カラオケ行こ!』みたいな「歌ってる人の横で、ちゃっかりチャーハン注文して食べ終わってる主人公」とかでも全然いいんです!!!
大画面で見るなら、情報を浴びたい!!!(私は)
近くにいる人の顔や演技を、ピンボケでなきものにしないで――――――!!!
という相性の悪さを感じました。
何だか悪口を言っているように見えるかもしれませんが、あくまでの個人の好みというか、私はそういう嗜好の人間だという自己紹介でしかありません。
何を基準に創作物を好むかは、みんな違ってみんないい。
好きそうな映画が近しい人は参考に、評価が全く合わないという人は私の推していない映画を選ぶなど、逆張りに活用いただければ幸いです。
映画のおすすめポイント
このコラム、基本的に「お金を払って見る価値がある(と自分は思う)」映画しか取り上げない方針。
なので、何だかんだ言ってこの映画は「見てもいいと思う」「オススメ」ラインを優に超えてきているのですから。
王騎将軍ただ一人で!!
それに加えて、楊端和(長澤まさみ)のクールビューティーさとか!
羌瘣 (清野菜名)もそうですが、長澤まさみさんがクールな役をしてる姿、好きだわー。
ともかく、私には邦画を見る目がないので、どこか「肌に合わない……」と感じる作品の方が、興行収入が高くなる傾向にあります。(いいなと思った映画も、それなりに行ってくれることもありますが、当たり外れの乱高下がすぎる)
なので、この作品、かなりいいところまで行くんじゃないかと思いました。
浦幌町 昆布狩石展望台
さて『キングダム』は中国・戦国時代、乱世を舞台とする話。
一体十勝と何が結びつけられるだろう……今回メインとなる戦場は、土と砂の断崖絶壁の峡谷に挟まれた場所で!! 峡谷以前に、砂漠……!?
「万里」になる(始皇帝が本格的に連結して修築する)前の「長城を超えて、匈奴との戦に向かった」って楊端和が言っていましたが、長城……!?
とりあえず、断崖絶壁感を求めて浦幌町(うらほろちょう)に向かいました。
場所は昆布刈石(こんぶかりいし)展望台。
岸壁から、遠くは釧路から襟裳岬まで、太平洋を見渡せる絶景スポットです。
そう、晴れてさえいれば……。
「呪いの男」万極(山田裕貴)とは別の意味で、私呪われているんじゃないかと思ったわ……。
どんな景色かは、ぜひ天気のいい日に足を運んでいただきたいです。
近くない方でも見られるのが、Mrs. GREEN APPLE「Magic」のMV。
ただし、この撮影の時も天気はスカッとはしていません。
厚内とか十勝太とか昆布刈石展望台とか浦幌町内をもう少し広範囲に移動する、東方神起「Road」のMVの方が天気もいいのではないでしょうか。
「Road」の方がどういう場所か伝わると思いますが、私は……王騎将軍とかが馬に乗って断崖絶壁の上から見下ろしてるシーンとかですら「ヒュン」ってなったくらいで……景色のいい日でも臓腑がザワザワして落ち着かないし、あまり直視もできないから、何とも言えません……。いい景色、なんでしょうね。なんだと思います。
ただ帯広市という内陸部の住民なので、潮風に当たると「別の町に来た――!」「海はいい!!」という感覚になってリフレッシュにもなるし、気分転嫁に最適でした。
浦幌町 オタフンベチャシ跡
そんな展望台からさらに釧路方面に進むと、オタフンベチャシ跡。
アイヌ語の「砂(オタ)+クジラ(フンベ)」がその名前の由来です。
16世紀から18世紀にかけて築かれたアイヌの「チャシ」は、砦とも柵とも訳されます。
祭祀の場や談合・集会所として使われた、後に張り場などに発展した、などと言われています。
チャシといっても、必ずしも戦の砦として利用されていたとも限らず、平和的に利用されていたかもしれない。
そんな中、戦闘行為の行われた伝承が残っているのがオタフンベチャシです。
これが、かつて戦が行われた十勝の古戦場だ!
チャシ跡は草に覆われていても、堀が巡らされているのが分かります。
浦幌町立博物館に、航空写真の展示がありました。
航空写真で見た方がより伝わりやすいかと思うのですが――長城っぽい!!
ね? 長城っぽくないです? 長城っぽいでしょう!?
と力技で押し通って最後にしたいと思います。
以上、十勝の断崖絶壁&万里の長城っぽいスポット紹介でした。
PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。