帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『室井慎次 敗れざる者』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ
『室井慎次 敗れざる者』を見た
『踊る大捜査線』スピンオフシリーズ。
11/15に『室井慎次 生き続ける者』が公開予定の、二部作の第一弾です。
警察官僚を退いた後、郷里・秋田に戻った室井慎次（柳葉敏郎）は、里親となった犯罪被害者・加害者の子供たちと暮らしていた。
ある日、家の近くで遺体を発見し、過去に縁のある事件や周囲のゴタゴタに巻き込まれていくストーリー。
本人が多くを語らなくても、周囲が勝手に騒いだり悩んだりゴタゴタしたりして話を進めてくれます。
（シリーズ中の他の主要人物にならい「室井さん」と呼びたくなるので、以下「室井さん」と表記します。）
多くを語らない室井さんが主役の、しかも退職後の物語のため『踊る』感は少なめ。
強いて言うなら、近所の交番の巡査の空回り感、とか……？
「すぐに熱くなりますよ」と若手刑事が言うシーンは予告でも流れていましたが。
捜査協力に乗り気ではない室井さんが、過去の因縁から事件に関わらざるをえなくなり、（二重の意味で）火をつけられるまでのお話が本作です。
起承転結の『起承』がしっかり表現されている前編
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見る前は正直怖かったです。
短期間に連続して上映される二部作形式にあまりいいイメージがないので……。
いくら『踊る』シリーズでもちょっと不安視していました、
（まとめて撮ることができるという利点があり制作費の抑制にはなるのでしょうが、「それ本当に一作にまとめられなかったんですか？」と思える作品が時々あるため……）
でも『水曜どうでしょう』だって、「どこに行くか」すらどうでもよくて、新作を供給してくれればそれでいいじゃないか。
何か特別なことをしなくても、ただ行きたいところに行って４人がグダグダしてくれているだけで構わない。
本作もその期待値で臨みましたところ、そんな感覚なせいか、思っていた以上に良かったです。
『室井さんリタイア後のDIY&スローライフ』という表現ではハイカラすぎる。
『（東）北の国から』という感じ。
何なら前編な以上、大きな謎や問題が解決してスッキリ！といったカタルシスは薄いので、室井さん版の『東北の国から（前編）』を堪能する作品だと思いました。
そこに、おなじみの登場人物たちが続々登場し、里子達の悩みや、過去に関わった事件にまつわる謎が絡んできて――。
起承転結の「起承」部分としては、大変よろしいのではないでしょうか。
これは、２時間前後の作品１本では表現しきれないというのも納得です。
過去作の映像も出てくるので、事前学習しなくても大丈夫
一部とはいえお馴染みの人物たちの今の姿を見たり、近況を知ることができるのも嬉しかったです。
（過去映像以外に青島君が出てくる気配は感じられないですが、どこにいるかはさらっと触れられていました）
そういった懐かしの部分の他にも、新たに登場した日向杏役・福本莉子の演技が、良い！
室井さんがすぐに親子関係に気づくという設定も納得の、母親を彷彿とさせる真意と得体の知れなさを体現しています。
その他にもよかったのは、作中で触れられている過去のエピソード（「蒲田」等）は、本編あるいはエンドロールに映像がほぼ全て登場するという親切設計です。
見終わってから改めて、膨大なシリーズのどこを探せばいいのか復習の手間を省いてくれていて、優しい……！！
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全く『踊る』シリーズを知らない人が見に行くとは思えないので事前学習の必要性は感じないのですが、それでも過去作も多いし時間も経っているので「事前に何か予習したい」という人には、映画版の２作をオススメいたします。（再履修と言うべきかも？）
この作品で小泉今日子演じる犯人の――（自主規制）
・『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』
同じくこの作品の犯人グループ――（同上）
来月公開の続編で、謎が解き明かされるのか
さて平素は、十勝・帯広と無理やりでもこじつけるところではございますが、今回は諦めました。
なぜなら十勝のお隣の釧路管内、帯広からは約１７０㎞離れた厚岸町（あっけしちょう）の品がストレートに登場していたから！
その名も「厚岸蒸留所」厚岸ウイスキー。
シングルモルトのジャパニーズウイスキーです。
室井さんが自宅で寛いでいる時、その傍にあるボトルの「厚岸」の文字に注目ください！！
登場回数と時間が長く、「何か重要な意味を持つ小道具なのではないか？」とまで感じられる逸品です。
何なら、沖田仁美（真矢みき）よりも出ていたのではないかと思われます。
室井さんが厚岸ウイスキーを嗜む理由は明かされるのか？
（知り合いが作っている設定など出てくるのか？）
作品中で室井さんは「約束を果たせなかったー」など「敗北者」自認なのに、なぜタイトルは『敗れざる者』なのか？
作中に散りばめられた事件にまつわる謎だけではなく、次作でそれらの意味が分かるかもしれないし、分からないかもしれない。
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PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。
