帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
2024.11.28帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足る...
命を張った戦いの様子を味わえる『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』
久々に正統派『英雄の物語』を見た気がします!!
『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』
帝政ローマ時代の、剣闘士(グラディエーター)の物語です。
1作目『グラディエーター』から16年が経過した世界の設定。
「見たはずなのに、ロクデナシの皇帝(先日ジョーカーを演じていたホアキン・フェニックス)以外の記憶がほとんどない……」
と思っていましたら、それもそのはず!
2009年の作品でした――。
前作から15年!!??
作中での時間経過と、現実での時間経過がほぼ一緒!?
話は継承していますが、「ほぼほぼ前作の記憶がない」「そういえばそうだっけ」なレベルの人間が見ても無問題だったので、予習しなくても楽しめると思います。
(前作をつくった時には本作の主人公の設定は定まっていなかった、ということを製作サイドも語っていました)
但し、フィクションであっても暴力・流血・惨劇シーンが苦手な人は除きます。
何しろグラディエーターの話なので!!!
タイトル通り「動物 VS 人間」から海戦まで、命を張った戦いが続々行われます。
「この人達が、力を合わせて窮地を乗り切るんだろうな」という希望的観測を許さない、厳しめのつくりです。
暴力表現が平気な人には是非、あの『ゴジラ × コング』で、ゴジラのお気に入りの寝床になっていた円形闘技場(コロッセオ)が現役で活用されていた頃の勇姿を、ご覧いただきたいです!
どの戦いも単調になっておらず、コロッセオのポテンシャルを生かしてくれているのが素晴らしい!!
影の主役はコロッセオです!!!
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この映画は「パンとサーカス(食糧と娯楽)」の娯楽場を、劇場で堪能することができます。
なんだかとっても、入れ子構造!
そして「パンとサーカス」は権力者から「食糧と娯楽」を与えられ、政治的無関心・思考停止に陥っていたローマ帝国市民への揶揄ですが、この作品でも愚かしさや無責任さが一部で表現されています。
しかしそれ以上に愚かしい人物として描かれているのは、皇帝カラカラとゲタの兄弟です。
とはいえ、この作品は古代ローマ帝国の皮を被った、『直接的ではない現代風刺』感も強いので、身につまされます。
憎まれ役の若き共同皇帝は、ホアキンの演じた皇帝ほどのロクデナシ感は薄いながら、主人公の怒りを盛り上げるための悪〜い役を「よく引き受けてくれたなー」と思いました。
剣闘士の戦いは、現代の価値基準であれば「残虐・残酷すぎる」となるかもしれませんが、往時はそもそも大多数が娯楽性や魅力を感じていなければ民衆へのご褒美とはなり得ないし、皇帝自身も楽しんでいないと開催されないよなー、という説得力を感じさせてくれる皇帝達でした。
大いなるフィクション。終わりの切れ味がよくスッキリ
ただし、実在の皇帝を登場させてはいるもののこの作品は前作同様、史実をベースにした大いなるフィクションです。
(『300(スリーハンドレッド)』ほど振り切ってはいません)
そのため、フィクションとしてつける『嘘』の限界だったとも取れますが、「この後――」みたいな話が入らない、終わりの切れ味が良いです。
コロッセオで、剣闘士 VS サイやヒヒ(あれはヒヒなのか?)との戦いが行われたのは本当でも、作品中では盛り上げるために誇張に表現されています。
(獰猛だし大きいし何か別のもの混じっているので、実在の動物虐待で非難される心配がありません)
カラカラ・ゲタ兄弟の顛末は一緒でも、時系列や時間の流れ、場所・経緯等、いろいろと史実とは異なりってもいます。
(本作通りのだとすると、大浴場「カラカラ浴場」も「カラカラ・ゲタ浴場」でないとおかしくなってしまう)
一つの物語を盛り上げるためのスッキリとした丸め方で、好感の持てるエンターテインメントとしての『嘘』でした。
さて、この作品では様々なルーツと思しき人物が登場します。
主人公も、冒頭で北アフリカからローマに移動させられていますし。
作中では触れられていませんが、実際のカラカラ・ゲタ帝も父親はカルタゴ出身、母はシリア人です。
マクリヌス(デンゼル・ワシントン)のモチーフになっただろう実在の同名人物は、植民地アルジェリア生まれ。
それにしても、デンゼル・ワシントンの演技はよかった。
その存在感だけでも、デンゼル・ワシントンが登場するだけの説得力を感じさせられた気がしました。
これは近年のハリウッドにおける人種への『配慮』というより、エジプトから北アフリカ・中東までを支配したローマ帝国の最大領域の広さが改めて伝わる設定だとも思いました。
(時代的には、主人公の住んでいた場所は既にローマの領土になっていて、将軍は派遣されていません)
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ローマの映像美を堪能してほしい
『グラディエーター』は軽く上記で触れただけでも、「物語のためのフィクション」部分が分かりやすい作品です。
興味が湧いたら、調べて史実との差を調べるのも楽しいと思います。
前作も主人公も複数モチーフやモデルがいたとされますが。
ネタバレにならないよう見た人には分かるように言いたい。
今回の主人公のモチーフ、私は
ルキウス・セプティミウス・セウェルス(カラカラ・ゲタの父だけれど)
&マクシミヌス・トラクスが意識されているのでは?
と思いました!!
特に後者に関しては、カラカラ帝が性病持ちだった記憶がないので。
むしろ性にかなり奔放で持っていてもおかしくないのはヘリオガバルス帝だったと思ふ。
その対峙者としての要素を入れてきたのでは? と思ったりしました。
こうした歴史をベースにした朝ドラや大河ドラマ、映画作品が「本当にあったことを描いている」と信じている純粋な人には、誇張ありのフィクションは危険な存在ですが。
働きながら塩野七生『ローマ人の物語』等を読み返すまでの気力・体力が持てないし、脳内で映像までは思い描きにくい人間にはとてもありがたいのです!!
受け身で鑑賞可能で、在りし日のローマの姿を蘇らせ見せてくれる映画って、本当に素晴らしいですね!!
ローマの映像美だけでもご覧いただきたいです。
東京コミックコンベンション2024で頭がいっぱい
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さて、平素何とかして毎回十勝・帯広とこじつけるこのコラムですが。
さすがに今回は思いつきませんでした。
というのも私事で恐縮ですが、今週幕張メッセで開催の、映画等ポップカルチャーの大型イベント「東京コミックコンベンション(東京コミコン)2024」にプライベートで参戦し、推しに会いに行くことで頭がいっぱいだからです!!
チケットのみならず物販も熱い争奪戦が繰り広げられる戦場に、歴戦の熟練兵達に混じり、戦い抜くことができるのか!?
ハリウッドスターの美に間近に接し、生きて帰ることができるのか!?
(「私もう死んだ!(生きてる)」「息ができない!(してる)」などと、オタクはすぐ『死ぬ』ので)
次回のコラムが無事に更新されるか?
結果は、来週木曜日をお楽しみに!!!
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PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。
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