帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『はたらく細胞』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
豪華な俳優陣の贅沢使い。人気漫画の実写映画版、良かったです!
マンガの実写化は危険なのか!?
結論から言うど、良かったです!
マンガ『はたらく細胞』(清水茜)の実写映画版!!
子役達が可愛い、血小板ちゃん!
美しき肝細胞(深田恭子)の登場、嬉しい!
最近剛の者の役ばかり見るような気がする! いつの間にこんな肉体派に!? キラーT細胞(山本耕史)!
(王騎将軍とかに目が行って、私が気づいていなかっただけだと思いますが)
格好いいお姉さま、好き! NK細胞(仲里依紗)!
君、仲間達から『抜刀斎』と呼ばれていないか!? 白血球(佐藤健)!
真面目な娘・芦田愛菜と、不摂生な父・阿部サダヲ演じる父子をベースに、人間界で起こっている出来事と、その時それぞれの体内で起こっている出来事パートが、上手く絡み合っていたと思います。
父親の不摂生な体内という『ブラック』な環境下で苦しめられる後輩赤血球も登場し、原作からの派生作品『はたらく細胞 BLACK』の設定も一部有り。
また細胞や菌の紹介と登場数も、映画の時間に対して多すぎず少なすぎず、程よいバランスだったように感じました。
思った以上に展開がシリアス
前半はコミカルな原作の世界観に忠実でも、後半はシリアスシーンの連続。
映画的なヤマ場や盛り上がりを作ってまとめに入ろう、ということかもしれませんが、逆に原作を知っている人の間では賛否が分かれそうな気も……。
映画としては良くまとまっていたけれど、『はたらく細胞』にここまでのシリアス展開を求めていない人もいるのでは?(そういう人は置いてけぼりになってしまうのでは?)という懸念が浮かんだものです。
個人的にはシリアスすぎてちょっと疲れたので、後半もうちょっとだけでもコミカル要素があると、少し一息つけたんじゃないかと思いました!(『BLACK』の話を入れるなら、本編の過去写真の話とか!)
少しウェットなシーンや物騒なアクションもあり、全年齢対象とまではいかない
ただ、恋愛とまでは言えないけれど友情よりもう少しウェットな「ここで感動したり泣いたりして欲しいんだろうな」と思しきシーンが、何だか長ーく感じてしまいまして……。
貧乏性なので(?)どんなに疲れていても映画館で寝たことがないのに、そこだけ少し意識を失いかけました。
『いい感じのシーン』を冗長に感じるとか、本当に「自分は男女のダモダモというかモニョモニョというか、発展途上の何がが芽生えて育まれそうな段階に興味ないんだな……」と腐女子であることを改めて思い知らされたものです。
さて、人体にまつわる細胞について、たいへんお勉強になる映画ではありますが、一方で気をつけて押さえておいていただきたいのは「勉強になるマンガ類=全年齢対象」ではない、という基本的なお話です!!
『赤血球の役割』だとか、ある程度分かって免疫の話なので、コスプレをしていてもと、人が人の形で殺し合う戦闘シーは多めで、物騒なお話ではあります。
触手とか刃物で胴体部分貫通とかもありますし。
その一方で、ジャンプして獲物を振り回し「多少武器、掠ってる……?」くらいの攻撃で簡単にやられてくれるとか、物理法則に則った人間社会での『リアルな戦闘』シーンばかりでもありませんし。
白血球さんも遠慮があるのか、原作イメージよりも「ブッ殺す!」の言い方は全般に優しめだったような気がします。
ともあれこの映画は、原作未読勢にも分かりやすい優しいつくりであっても「暴力NGか、かーなーりーセンシティブな人には向いていない!?」と考えさせられる作品でもありました。
キスなど甘〜いシーンはありませんが、話にBL風味を挟んでいた部分は、人によっては居心地の悪い思いをさせられそうです。
一部の演出に、やや引っかかりを感じた
そう、私が引っかかったのは戦闘シーンの多さや「ブッ殺す!」でもなく、不摂生な父親の体内にいる先輩赤血球(加藤諒)のキャラクターとその演出です。
なぜそんなキャラにした……!?
番号が「BL」で始まるとか態度の匂わせとか、狙いすぎているようで、私にはちょっと合いませんでした……。
「こういうのを見せときゃ喜ぶんだろう」と思われているかのような気すらして……。(喜ぶ人はいるでしょうし、それはそれでいいと思います)
個人的には「何となーく腐女子や、引いては実在の性的マイノリティを侮辱されている」ような気がして、胸がザラッとする演出箇所でした。
相手との関係性だとか境界線を一方的に踏み越えて、距離感を縮め、にじり寄ってくるようなのを、個人的に「コミカル」とは思えなかった……。
BLも同性・異性も関係なく、ただ踏み込みすぎな人じゃないか……と感じた今日この頃です。
十勝にまつわる話はお休みして、しばらく養生します。
さて、平素は何が何でも帯広・十勝にこじつけるこのコーナーですが、今回は誠に勝手ながら、個人的事情でお休みさせていだきます。
私の推しが主演の映画『アナザーラウンド』では、血中アルコール濃度を一定に保つ実験が行われます。(元々アルコール中毒仲間達がそれで収まるはずもなく、どんどんエスカレートしていき……というお話)
だからといって、推しにあやかろうというわけでもないのに、この原稿を書いている日、私はアルコール濃度を上げるのとは反比例して、持病の喘息悪化による「血中酸素濃度をどこまで下げられるのか?」実験を期せずして行っていました……。
86%って初めて見ましたよ!!
ネットの情報は大げさとはいえ、どのくらいヤバいか、検索したあとの方が「ヒエッ!」となった数値でした。
血中酸素濃度86%の世界がどんな感じかと申しますと、体感ぼんやりしていて記憶力と思考力がほぽ停止している状態です。
「何かヤバいな」「さすかにおかしい」とまだ定期通院の時期でもないのに病院に行くことにした決定打は、Vodafone時代から同じ番号を使っている携帯の電話番号が思い出せなくなっていたからでした……。軽くヤバい!
『はたらく細胞』で健康の大切さを再認識
「私も細胞達を酷使する『ブラック』側!?」というくらい、作中の不摂生な父親の、自分の体に対する無頓着さ、決して他人事ではない、と身につまされました。
『はたらく細胞』は前半のご機嫌さとは対照的な、後半のシリアスシーンが続きます。
見た後は、映画を鑑賞しただけで「健康診断で再検査をくらったものの何事もなかった」ときの気持ちを思い出せてくれるような、改めて「良く生きよう」という気持ちにさせてくれるような、そんな映画でした。
PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。