帯広で映画を観た！シネマ de 十勝映画『ビーキーパー』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.43

2025.01.16

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『ビーキーパー』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ

2025.01.09

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝映画『グランメゾン・パリ』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.42

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足る...

この記事の目次

法を超えた勧善懲悪と暴力の痛快さを味わえる
どんな窮地でもステイサムなら安心
違和感のあった点が2つ

法を超えた勧善懲悪と暴力の痛快さを味わえる

ジェイソン・ステイサム最新作『ビーキーパー』！

いつもより多めに殺しております！？

『斬る』『撃つ』『殴る』から爆破まで、新春に見る初アクションに相応しい（？）とても景気の良い映画でした。

もう役名すら忘れるくらい、丸ごとたっぷりステイサム映画。

※むしろシネマ太陽帯広でも配布終了した入場者プレゼント（ステイサムからのお年玉！ステイサム硬貨風ステッカー入り特製ポチ袋）でも、役名ではなく「ステイサム」言ってた。

現実ではそうはいかない、法を超えた勧善懲悪と暴力の痛快さを味わえるのも、フィクションならではです。
「そうか、消火器はこういうふうに使えばいいのか」など護身術の勉強にもなります。（ならない）

当然ながら、PG12指定は暴力シーンによるもの。

暴力描写が苦手な人は、そもそも注意・警告されなくてもジェイソン・ステイサムのアクション映画は見ないと信じたいですが、その他「危ないかな？」と思ったのは、虫や集合体恐怖症の人です。

蜂がモチーフの映画なので、オープニングでは蜂の群れとハニカム構造が多様されています。
話が始まるまで、目を逸らしたほうが良いのではないかと思います。

養蜂家の映画なのに、一番最初に登場するのはスズメバチ。

「そうか、ステイサムならスズメバチからでも蜂蜜を出させることが……？」と思いかけましたが、さすがにそれは隣人に頼まれて駆除しているだけでした。

総統

それはさておき、終始「ステイサムならそのくらいできる」を期待する人に、十二分に応え切ってくれています。

どんな窮地でもステイサムなら安心

養蜂家（ビーキーパー）としてアメリカの片田舎で静かに暮らすステイサム。

しかし恩人である老婦人がフィッシング詐欺にかかってしまい、全財産を失い命を絶ってしまう……。

実はステイサムは、世界最強の秘密組織”養蜂家（ビーキーパー）”の元エージェント。
自らの信念と技術でもって、詐欺集団への復讐を誓うのだった――。

ステイサムの強さとストーリーのバランスも◎

フィッシングに限らず、詐欺集団に対し怒りや不信感を抱いている人たちへの鬱憤晴らしに適した映画です。

しかし「隣人、早まる前にステイサムに相談したらどうにかしてくれたのでは……」などと言ってはいけません。
可哀想な話ですが、ステイサムが大暴れするには、「お金を取り戻すため」ではいくらフィクションでも過剰防衛になってしまいますので、仕方のないことです……。

この映画の素晴らしい点は、予告編でクライマックスのいいシーンが明かされていたり、内容が言い尽くされている映画もある中、予告編に序の口しか登場しないところ。

敵は、詐欺集団の下っ端から始まり、わんこそばのように次々敵が投入され、これでもかとインフレを起こしていきます。

しかしステイサム１人に対し、敵がどれだけ強大になろうと何人がかりだろうと問題はありません。
窮地に陥っているように見えても「あっ、危ない！！」などと微塵も思わない、実家のような安心感。

なぜならステイサムだから。

総統

他の映画なら、追っ手が来たことにバックミラーを見て気づく描写や、どうやってオフィスに忍び込むか手段や経路を丹念に描いたりするところですが、それらを省いても違和感はありません。

なぜならステイサムだから。

総統

ステイサムならノールックで敵を察知したり、敵の事務所に「しれっ」と紛れ込むこともあるだろう。

むしろその部分、最後の敵のところへ押しかける時以外、必要ないくらいに感じました。
ステイサムの強さを見届けにきたのであって、『オーシャンズ』シリーズを見にきたわけではないので！

武器はなくとも近場のものを駆使して応戦するステイサムから、正面から来るステイサム、事件発生の翌日には詐欺集団の大元を割り出しその本拠地オフィスに乗り込むステイサムなど、各種詰め合わせ。

求められるものが「分かっている」潔い進行ぶり。
「強いステイサムを見せる」こととストーリー部との程よいバランスに、好感が持てました。

「すべてをなぎ倒すステイサムの標的は、どこまでが対象となるのか」に注目！

しかし、しれっとオフィスに潜入し職員の中に「いる」だけでホラー映画のような様相を呈す主人公……。（怖いけど笑い声が起きていましたし、私も笑った）

『ジョーズ』でいったら間違いなくサメ側。完全なる捕食者です。

主人公なのに……。

ともあれステイサムは自身の信念に基づき、災害級の強さで詐欺集団をなぎ倒していきます。

「ステイサムを見たら逆らわなきゃいいのに」

「そうかー、帽子かぶってたからステイサムと分からなかったかー」

「ステイサムに会って、指切られたくらいで済むわけがないだろう……」

「仕事とはいえ、ステイサムが来たなら必要以上に抵抗せず、五体満足で家に帰ることを優先すればいいのに」

と思いながら、倒されるための人々が粛々とやられていくのを見守っていました。

「信念に基づくステイサムの最後の標的は、どこまでが対象になるのか？」も注目です。

違和感のあった点が2つ

この映画を見て二点、違和感を感じたことがあります。

一つは、詐欺師に対し、その卑劣な手口に対してステイサムが発する
「目を見て盗むなら敬意を払うが」というセリフです。

「目を見てだったら、いいんだ……？」
「そもそも盗ませてくれるのか……？」

と疑問符が浮かびましたが、その答えは作中に登場していました。

メリケンサックとか銃とか、自分が敵から武器を盗む時の正当化ですね！！？？（納得）

もう一つの違和感は、ポスターに大きく入った「キレる。」の文字。

ステイサムは粛々と復讐を遂げているのであって、キレ散らかしているわけではないのになぁ……と個人的に違和感が。

むしろ混戦状態の中でも、人が多いパーティーの混乱の中でも

「詐欺集団側の容赦なく殺していい相手」
「自分の行動を妨げようとするFBIなど『防弾チョッキの上から撃つ』『投げ飛ばす』など、しばし行動不能にする相手」
「手出しはしない一般人」

をしっかり見分けて、区別をつけてくれるステイサム。

優しい……。

総統

「無茶苦茶冷静だろう」と思いつつ、ステイサムの大盤振る舞いに満足したのでした。

先日「良かった」と思う映画を見た後、買い物をしたくなる習性があると書きましたが。

この映画で物量で押されたがために、その後訪れた北海道産の牛乳・乳製品が大集合のイベント「ミルク&ナチュラルチーズフェア」で景気良く買いすぎました……。

賞味期限が切れそうデス……。

PROFILE

三崎裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。

2025.01.09

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝映画『グランメゾン・パリ』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.42