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帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『教皇選挙』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.59

帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『教皇選挙』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ

今回は、帯広でも釧路でもなく、札幌すら飛び越え、金沢の映画館に行ってきました!

まさか旅行に行ってまでも映画を見ることになるとは!
そういう旅もまた良いものですね。

そこまでして見たかったのは映画『教皇選挙(コンクラーベ)』です。

新教皇が決まるまで帰れないという正に『根比べ』が主題の映画。
(映画でも枢機卿の人種等は多彩ですが、現実の「コンクラーベ」には今回、日本人枢機卿も2名参加しています)

この作品、北海道だと近くでは上映されていなかったため、映画館では見れずに終わることを覚悟していたんです。
しかし、出先で丁度「行けるな」と気づいたため、行ってまいりました。

見たかった理由は、

  • まず好みの映画観の近い人がべらぼうに褒めていたこと。
  • アカデミー賞脚色賞を受賞したという話の妙が気になっていたこと。
  • 更には、本作品の上映期間中にローマ教皇フランシスコが亡くなり、2013年以来の教皇選挙が開催されることになったこと。
  • そして、運命的にも大阪万博でイタリア館の予約が取れたこと。

そうしたことから「これはパビリオンを見に行く前に、映画を見ておかなくてはならない」と、むしろ使命を感じたものです。

実際に、映画館の中に閉じ込められ(自由意志で出られはしますが)一定時間スマホ等を我慢しながら集中して鑑賞するという、観客もまたコンクラーベ気分を味わえるという意味でも、映画館で鑑賞しておきたかったのです!

実際の教皇選挙は5/7に始まっており、このコラムが掲載される時には、新教皇が決まっているかもしれないし決まっていないかもしれません。
非常にタイムリーな作品でもあり、ミステリーとしても素晴らしいので、たくさんの人が見れられるよう上映館が増えてほしいです。

極上のミステリー!脚色賞の受賞も納得

この作品は、フランシスコ教皇が選ばれた2013年のコンクラーベを原作者が見て、着想を得たものだそうです。

新教皇の座を巡って各人の思惑が錯綜する、人の死なないミステリー。

といっても事件性のない亡くなり方をする人は、一人いますけれども。
(さすがに教皇が亡くならないと話自体が始まらないので……)

『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)が、今回は選挙のあれこれを執り仕切ることになる首席枢機卿ローレンス枢機卿を演じます。

今回は苦労人です。
『キングスマン:ファースト・エージェント』のオックスフォード公よりも苦労しているかも。

映画ではレイフ・ファインズの負担が大きく「現・首席枢機卿って91歳だよな……」とちょっと心配になりました。
(実際を取り仕切るのはカメルレンゴ=秘書長でも)

アドバイザーがいても、その内実を知っている人が少ない教皇選挙。
分からないことだらけなので、想像で補っていたり、分かっていても意図的に嘘をついていたりする部分があるそうです。
(投票する際のローレンスの席次も首席枢機卿はそこには座らない、など)

厳密にはいろいろど違う部分があっても、全く知らない人間からすると雰囲気だけで滾ります。

人間関係的にも苦労しながら、教皇選挙を執り仕切ることになったローレンス枢機卿。世界各国から枢機卿が集う中、誰もその存在を知らなかった枢機卿が現れる。そして閉じられた箱庭の中で繰り広げられる権力闘争。聖職者も無縁ではない、政治と差別と権力への欲望のぶつかり合い。崇高なようでいて、差別やゴシップ、欲望、本性剝きだしの学級会のような人間関係。

前教皇はなぜその存在を誰にも伝えていなかったのか?

新教皇となるのは誰か?

息もつかせぬ極上のミステリーでした。
総統
総統

「8手先まで読むチェスの名人」であった前教皇という設定に唸らされます。

種明かしの最後が一番「やられた!!」となりました。

これは何も情報を知らずに見ていただきたい作品です!!

ラストを見てから第1回からの投票結果を振り返ると

「前教皇は、親しいローレンス枢機卿が自分の意図に気づいてくれると思っていても、別ルートで保険をかけていたのでは?」
「ローレンスがたどり着いた結論までいかなくても、誰を次の教皇にしたいという前教皇の意向を最初から知っていて、票集め等に動いていた人が枢機卿の中にいたのでは?」

という気がしてなりません。

アカデミー脚色賞だけあって、原作本からは変更が加えられているとのことですが。
そこのところ原作(未翻訳)ではどうなっているのか気になります。

ミステリー部分だけでなく、序盤で「教皇になる気はない」「私はその器ではない」と言っている人でも、後半になってきたらしっかり教皇名を考えていて欲を出してくるのが「人間だなぁ」と面白かったです。

その中でも鍵となる法皇名2つが、とにかく意味深でした。

  • ジョン=ヨハネ
    洗礼者や「イエスの愛しておられた弟子」の名ヨハネ
    実在が疑われる伝説の女教皇ヨハンナは、ヨハネの女性名
  • イノセンス=インノケンティウス
    純潔・潔白

この2つは、見終わった後「いやいやいや!」となりました。

映画館で見ることができなくても、脚本に唸らされたい洋画ファンには、どこかのタイミングでぜひ見ていただきたい作品です。

個人的には、『ユージュアル・サスペクツ』ほどではないけれど、『オーメン:ザ・ファースト』よりしてやられた感がありました。

私は、こういう作品が見たいんですよ!!
総統
総統

 

芸術を堪能できる大阪・関西万博2025のイタリア館もぜひ訪れていただきたい

さて10/13まで開催中の大阪・関西万博2025では、イタリア館の中にバチカン市国・ローマ教皇庁パビリオンが併設されています。

テクノロジーやヴァーチャル展示に力を入れたパビリオンが多い中、イタリア館は「実物の力」押し。

バチカンパビリオンには、カラヴァッジョ作「キリストの埋葬」が展示されています。

十字架から降ろされたキリストの上半身を支えているのが、ヨハネです。

バチカン所蔵の数ある宝物の中から、この絵を日本に送ると選んだのが先日亡くなられたフランシスコ法皇でした。
バチカン美術館所蔵の唯一のカラヴァッジョ作品であり、この絵は「愛と信仰、献身」を象徴しています。

その人気さに予約なしには入れないイタリア館ですが。
運が良ければ、間近で作品の持つ力が堪能できることでしょう。

訪れることができ(しかもその前に映画を見ることができて)本当に良かったです。
総統
総統

 

映画もイタリア館も、どちらもチャンスのある人には、ぜひ訪れていただきたいものです。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。


























































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三崎 裕美子

三崎 裕美子

腐女子 / 総統

1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。

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