圧倒的におもしろいメディアが十勝を救う

CATEGORY

最新記事

TAG

タグリスト

カルチャー

帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『フロントライン』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.65

帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『フロントライン』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ

見に行くのを恐れた映画だったが……

失礼ながら、邦画で「事実/真実の物語」と言われると、どこかの思想に寄ったとか宗教作品という過去の実績とトラウマから、見に行くのが怖いと思っていた作品でした。

「同じように恐れている人がいるのでは?」
という思いから、確認に行ってまいりました!!

『フロントライン』

疑って済みませんでした!!!(土下座)
たいへん申し訳ございませんでした!!!!!

迷惑YouTuberの言い分に沿った恣意的な作品でもなければ、過剰な感動ポルノでもない。
(アメリカ人夫婦とか、小さな兄弟とか、じわじわくるシーンはあったけれども)
「事実に基づく物語。」の言葉通り、とてもとても誠実に作られていると感じる良作でした。

前回紹介の『国宝』から見て

前回紹介した映画『国宝』は、歌舞伎部分の素晴らしさで補って力技でねじ伏せているけれど、ストーリー部分は「自分の選択・発言に・感覚に責任を持たない人達」が多い話。
(駆け足なので、原作ではその苦悩や断腸の思いが描かれているとしても、映画だけだとそう伝わる)

主人公を引き立てるために、そういう展開にするしかないにせよ。
(「部屋子と差がついたと思った時に、なぜ息子を女形から立役者にしなかった?」となると、そこで話が終わってしまう)

実子と部屋子を「女形で行こう」と夫婦で決めて、自分達でこさえた借金を背負ってもらって、都合悪くなったら簡単に切り捨てるとか

あれは寺島しのぶの演技力と、歌舞伎パートの力で緩和されているけれど、そうでもなければかなり後味の悪いエピソードが多かった作品でした。
総統
総統

一方、フロントラインは「選択時に想定していた以上の責任や職務を担わされても、目の前の仕事を全うしようとするプロフェッショナル達」のお話。

私、プロフェッショナル、好き!!

目頭が熱くなる。船体と「DIAMOND PRINCESS」

メインとなる舞台は、2020年2月、日本で初めて新型コロナウイルスの集団感染が発生した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号。

DMAT(災害派遣医療チーム)を軸に、厚労省官僚、客船クルーなど、あの時最前線で戦った人々の物語です。

冒頭シーンから、船体が映し出されて「DIAMOND PRINCESS」の文字を見ただけで、目頭が熱くなりました。

結末を知っている船の映画で(タイタニックとか大和とか)、冒頭でもう船の全体像が映し出されると、俺はかーなーりー弱い!!

その後の経緯を知っている&新型コロナに関しては自分も無関係ではなかったとはいえ、まだ話すら始まっていないというのに……。

(「情緒不安定か?」「仕事休むか、変えた方がいいサインでは?」と自分でも思ったことがあります)
総統
総統

好感をもったキャラクターとその関係性

しっかし、ムチャクチャ良い役で登場する、この声と顔とがいい役者さん誰!?

――――窪塚洋介かっ!!!???
と、久々すぎて気づくのにタイムラグがありました。

DMATを指揮する結城(小栗旬)と、船に乗り込み現場を指揮する仙道(窪塚洋介)の「ちゃん」づけで呼び合う気心の知れた関係性が良かったです。

また厚労省から派遣された役人・立松(松坂桃李)も、フィクションで馬鹿にされがちな日本の官僚像と違った「仕事人」で好感。

モデルになった方達が「実際はかなり頭を下げまくった」と語っていたくらいで。(それはそうだろうな)

逆にかなり「しごでき」人間に描かれています。(フィクションとしては、それはそうなるだろうな)

結城と仙道もいいけれど、結城と立松のやりとりや関係性も、また別の味わいがあって良かったです。

またモデルとなった人達からコメントが見られる映画『フロントライン』公式Twitter(現X)もオススメ!

映画のラストは一つの区切りと達成感を示しながら、現実通り新型コロナもDMATの戦いもまだまだ終わらないことを示してくれています。

仙道のモデルとなった医師・本人からのコメントでは、能登の地震対応にも行っていたことが改めて伝わります。

(「あああ! そうですよね!!??」と思った)
総統
総統

但し書きに世の中の窮屈さを感じた

話を分かりやすくするため、登場人物はモデルとなった複数名を一人に集約していたり、整理されていてとてもスッキリ見やすかったです。

また、実際には食事以外はマスク着用していた場面でも、演出上マスクを外して撮影されている箇所があります。
といった但し書きが最後に表示されましたが。

そういうの、明言しておかないと何か言ってくる人がいるんだろうなぁ……。

世の中が不寛容化しているのか、フィクションをフィクションとして切り分ける力が落ちているのか、何だか窮屈さを感じました。
総統
総統

情報を盲信し軽挙妄動した人たちを非難し反論してくれている

企画・脚本・プロデュース担当・増本淳氏が、あの時「発言は切り取られるだろうし、それに反論する時間も勿体ない」と反論しなかった・反論すらできなかった人たちの代わりに、マスコミ(特にテレビ)&その情報を盲信し軽挙妄動した人たちを非難し反論してくれているかのようでした。

作中に登場する結城のセリフに
「乗客は色んな人に心配してもらえる。クルーやDMATの隊員、その家族は誰が心配してくれるんですか?」
というものがあります。(うろ覚えですみません)

結城に仮託した「俺だよ、俺、俺!」という、増本氏のアンサーのような物語だと思いました。

逆に、当時の報道に関し「マスコミにだって功罪はあるはずだ」という価値観の人には、この映画は厳しすぎるかもしれません。

「現場を知らない人が好き勝手言って引っ掻き回す」
「率先して危機感を煽り、いたずらにパニックを招き、医療従事者やその家族への差別を振りまいた」

マスコミがそうした存在であり「罪はあっても功なんてなかったよな」という当時の「事実認識」は、私とは一致しています。

不安を煽り現場の足を引っ張った「1日だけ乗り込んだ医師」も、エンドロールの参考資料中にそのYouTube動画が実名名指しで取り上げられていて、反論どころかしっかり殴り返しているところも胸がすきました。

新型コロナウイルスを取り扱った最速の作品というだけでなく
「未曾有の危機に際し、どう立ち向かうか?」というテーマを含有した、普遍的な作品だと思います。

これは、たくさんの人に届いてほしい映画でした。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。
































































十勝の会社と人材を結ぶ
求人Webメディア「TCRU」

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
三崎 裕美子

三崎 裕美子

腐女子 / 総統

1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。

  1. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.69

  2. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『ババンババンバンバンパイア』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.68

  3. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『F1/エフワン』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.67

  4. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『ドールハウス』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.66

  5. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『フロントライン』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.65

  6. 帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『国宝』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.64

スマヒロ最新記事
タグ一覧
  1. 16タイプ性格診断
  2. Discover hokkaido
  3. event
  4. event tokachi obihiro
  5. HOTEL NUPKA
  6. ise festival
  7. Lake of the Sky
  8. NEW OPEN
  9. TCRU
  10. TIP
  11. tokachi obihiro winter hokkaido snow
  12. UIJターン
  13. waoje
  14. イベント 十勝
  15. インタビュー
  16. インデアンカレー
  17. おびひろ平原まつり
  18. おびひろ氷まつり
  19. クラフトジン
  20. サウナおすすめ
  21. ソフトクリームラリー
  22. たかまん
  23. とかちイノベーションプログラム
  24. とかちの講師ガイド
  25. ビアガーデン
  26. ファーマーズマーケット
  27. プチ移住
  28. フライフィッシング
  29. ふるさと納税
  30. ポツンと一軒家
  31. ますやパン
  32. マッチングサイト
  33. モール温泉
  34. 上士幌町
  35. 人材紹介
  36. 依田勉三
  37. 六花亭
  38. 北海道グランピング
  39. 北海道サウナ
  40. 北海道温泉
  41. 北海道移住
  42. 北海道観光
  43. 北海道観光おすすめ
  44. 十勝イベント
  45. 十勝スロウフード
  46. 十勝ドリームマップ
  47. 十勝バス
  48. 十勝求人
  49. 十勝牛
  50. 十勝産小麦100%
  51. 十勝石
  52. 十勝観光
  53. 和牛
  54. 国産小麦
  55. 国際農業機械展
  56. 地方創生
  57. 地方移住
  58. 地方起業
  59. 天然素材
  60. 天空の湖
  61. 山忠祭
  62. 帯広
  63. 帯広アロマ
  64. 帯広イベント
  65. 帯広おにぎり
  66. 帯広カフェ
  67. 帯広グルメ
  68. 帯広コーヒー
  69. 帯広サウナ
  70. 帯広スイーツ
  71. 帯広そば
  72. 帯広ドーナツ
  73. 帯広パスタ
  74. 帯広ハンバーガー
  75. 帯広パン屋さん
  76. 帯広ピラティス
  77. 帯広ラーメン
  78. 帯広ランチ
  79. 帯広三大祭り
  80. 帯広喫茶店
  81. 帯広寿司
  82. 帯広市
  83. 帯広整体
  84. 帯広映画
  85. 帯広求人
  86. 帯広牛
  87. 帯広神社
  88. 帯広移住
  89. 帯広空港
  90. 帯広蕎麦
  91. 帯広藤丸
  92. 帯広豚丼
  93. 幸福駅
  94. 広小路マーケット
  95. 更別村
  96. 書評
  97. 求人セミナー
  98. 満寿屋商店
  99. 焼肉の日
  100. 熱気球
  101. 牛とろフレーク
  102. 物流拠点
  103. 田舎暮らし
  104. 登録支援機関
  105. 石田製帽
  106. 秘湯 北海道
  107. 移住体験コラム
  108. 経済界
  109. 経済界大賞
  110. 美学
  111. 美学者
  112. 育児休業
  113. 芽室東工業団地
  114. 蕎麦屋
  115. 藤丸閉店
  116. 街頭テレビ
  117. 街頭放送
  118. 豊西牛
  119. 豊頃町
  120. 豚丼
  121. 豚丼レシピ
  122. 豚丼帯広
  123. 逢坂芳郎
  124. 韓国旅
  125. 音更町
  126. 高橋まんじゅう屋
  127. 鹿追町
  128. 麦音
  129. 黒曜石
記事ランキング
DAILY
WEEKLY
MONTHLY
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5

RELATED

気になるなら一緒に読んでほしい関連記事

ページトップヘ
イベントや商品・サービスを取材します。
スマヒロでは十勝のヒト・モノ・コトを取材・掲載します。イベント、サービスや商品についてお気軽にご相談ください。
取材を希望する