帯広で映画を観た！シネマ de 十勝 映画『ドールハウス』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.66

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『ドールハウス』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ

ホラー映画が苦手です。

苦手というのか、楽しみ方や受け止め方がよく分かっていません。

なので、今回見た映画について、怖い系が好きな人からすると、見当違いのことを言っていたらすみません。

それでも長澤まさみが常軌を逸していくのが見たくて、行ってしまいました。

『ドールハウス』

これは私が高所恐怖症かつ、急激に下がって浮いた時の「内臓フワッ」感が苦手なため、絶叫系の乗り物が苦手なのに似ています。

「フワッ」や「ヒヤッ」「ドキッ」が楽しみな人には、スリルを存分に提供してくれるのが爽快感や面白さに繋がっても、その感覚が分からない人間には、本作の後味をどう解釈して良いか分からないの……。

しかし『ドールミステリー』と謳っていますが、むしろそっち系を好きな人が見逃す可能性があるので、ホラー要素が強いことをもっと前に出していいと思いました。

（ミステリーと言うには、謎の解決部はアンフェアだし）

いい意味で「疲れた」作品

しかし私「『○展開』だったね」という声を聞き「なるほど、そういう言い方をするのね」レベルの人間でして。
※○に入る文字を明かすとネタバレになるため自主規制

見慣れないジャンルすぎて、感想をどう形にしていいのか分からないので、周囲の意見を参考にしようとしたところ

「疲れた……」という声を２件聞きつけました。

分かる！！！

何度か「ビクッ！」と驚かされたり、「これで解決するかも」「こういうことだったのか」がひっくり返され、心拍数が安定しない話の感想として、「疲れる」という感想はとても共感できました！

トム・クルーズの最新作『ミッション：インポッシブル　ファイナル・レコニング』も「ヒヤッ！」の連続が続いているようで、そっちの方が疲れを感じなかったんです。
（椅子に長時間座っていた体のこわばりは感じても）

多分、『M:I』シリーズ……というかトム・クルーズが無双する作品は「何があってもイーサン（トム）なら大丈夫」という、絶大なる安心感というか安全弁があるからだと思います。

『ドールハウス』はそうした安全保証（？）なしに、主人公たちがどうなっていくかも担保されず、不安なまま転がっていくお話。

確かに疲れました！！

しかし、その「疲れた」のニュアンスは、ネガティブというよりもポジティブな言い方。

心拍数を上げて、「次はどうなってしまうの？」と観入らせてくれるのは、好きな人にとってとても良い作品なのだと思います。

息つく間もない110分

個人的には、怪しい人形に惹きつけられるだけあって、長澤まさみ演じる主人公が結構どうかしている（人形に関わる以前から引き寄せるだけの部分を持っている）人という描写なのがよかったです。

自分の家の子から目を離すだけでもアレなのに。
（これだけでも無責任夫の行動としてTwitter＝現X＝でよく炎上してるやつ）

他人のお子さん達まで家で預かって見守る責任があるときに、ジュースやお菓子が足りないくらいで、鍵もかけずに（オートロックかとも思ったけど後で夫役が内側から鍵閉めてた）買い物に出かけるとか……。

しかも最低限必要なものだけかと思ったら、割と悠長に買い物カゴいっぱいに買い物をしていて、なかなか常軌を逸していたのが、この物語のラストに至る狂気に納得できる描写でした。

その部分と、「○○はこういうもの」という固定観念を利用して引っくり返してくれたの、好き！

『トリック』のようにギャグでやっているのか、シリアス描写なのか分からないシーンはありましたが。

110分の作品でも、ノンストップで息をつかせぬ展開。

帯広にも「髪が伸びる」という日本人形のいるお寺はあるのですが、ブームの時代は年１回くらいのペースで公開されていたものの、近年は公開されていないため割愛させていただきます。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。