帯広で映画を観た！シネマ de 十勝 映画『沈黙の艦隊　北極海大海戦』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.77

帯広で映画を観た！シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『沈黙の艦隊　北極海大海戦』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た！」はコチラ

原作同様、満足！な1本

こういうお金がかかったり各方面の協力なしにできない映画、好き！

『沈黙の艦隊　北極海大海戦』

かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』を元に実写化された作品の続編です。

なので、見る人を選ぶというか、いきなり原作も前作も知らない人が行って世界観を共有できるかは分かりません。

選んで見に行っている人には、いいと思います！

前作よりかーなーりーテンポが良いし、映画向けの派手なシーンが多いし、何より速水が出てこないのがいい！！（「たつなみ」副長の速水が女性にされたの、未だに受け止めきれていません）

当然ながら原作が大作なので、この作品で完結ではありませんが。

映画として存分に見せてくれた上、いいところで終わっていると思います。

原作を知っているか、知らないかで見方が変わる……

本作では「たつなみ」の出番がないため、女速水と後輩深町という実写版『沈黙の艦隊』で私がもっとも引っかかるノイズ部分が登場しないのが、とてもよかったです。

「たつなみ」艦長の深町が海江田の後輩になっていて（演者の年齢差を考慮して？）、防大同期としてのバチバチのライバル関係が削がれた上、海江田を「さん」付けで呼んだり敬語を使われるとザラっとするんですよ！！！？？？

本作でも、他にも何人か原作では男性のキャラクターが女性になっていましたが……。

バランスとろうというのか芸能事務所との兼ね合いなのかは分かりませんが、私にとってはそういうの、どっちかというとノイズに感じます……。

オリジナルキャラクターに出張られて尺を取られるのも、原作から入った人間には引っかかりを覚える部分で。
私は上戸彩が眼福になる方なので、ギリギリ許容範囲ではあるんですが。

「引っかかる」とかあくまで個人のお気持ちでしかないことが伝わるかと思います。

自分でも、これが見るのも嫌いな俳優に振られた役だったら「こんな時間があったら、もっと海江田とかベイツ兄弟とかに寄り添って、エピソード掘り下げて！！」とイラっときていたことが容易に想像できるところ……。

いずれにしても、「原作そのままでいいのになぁ」派には、オリジナルキャラクターを追加したり女性枠を増やしたりするのって、「作品を単体映画として見る人向けには必要なサービスなのかなぁ？」と首を傾げるところです。

夢想を見せてくれるファンタジー

この作品の魅力は「おっさんたちが海江田に振り回され右往左往したり、追っかける」ところでしょうが！！？？（諸説あり）

そもそも補給・補修どうすんのとか、フィクションをフィクションとして楽しめる人でないと難しいファンタジーなんですが。

私は、頭も体も疲れた休みの日に気分転換に選ぶなら、日常の延長上みたいな話より、壮大な夢想を見せてくれたり異世界に連れていってくれるお話が好ましいので、

ディーゼル艦で原潜追いかけるだけでも、熱いですが。
いいんだよ！　現実的にはまだ不可能でも、原子力潜水艦が◯んだって！

それよりも「みんな海江田が気になって仕方がない」「長期間、閉鎖空間にいる男たちが信頼と絆で結ばれている……だと！？」というポイントの方が、腐女子として見過ごせません。

海江田＝大沢たかおに注目！

しかし、キーマンとなる津田健次郎の怪演もよかったですが、やはり目がいくのは海江田＝大沢たかお！！

原作ありきのフィクションを実写化する際、その架空の世界観から醒まさせることなく成立させられる演技・存在感は結構重要なポイントだと思いますが。

海江田が、前作からますます何を考えているか真意の知れないガンギマリ状態になっていても「大沢たかおじゃ仕方ないね」「大沢たかおなら、ついて行かざるを得ない」と説得力を感じました。

しかも前作では７歩は歩いていたのに、ついに本作では０歩という！？

気になってそこにも注目していたところ、確かに移動はしていても、歩いてるところは映されていなかったような！？
（部下にコーヒーを淹れているシーンでもしかしたら歩いていたかもしれないけれど、ただの体勢移動かもしれない）

そこまで動きが少なくても全く気にならず、海江田に注視してしまう。

「これが大将軍――いや国家元首の器かっ！！」となりました。

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身｜釧路→新橋のサラリーマン（港区女子）→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ（美味しいご飯・趣味・脳内妄想など）で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定（とかち検定）上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。