帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』を観た
週刊少年ジャンプ連載の人気マンガの劇場版作品第4弾!(本誌連載は先日完結!!)
人気マンガの――特に登場人物が多くて混み入った話の場合、ここで紹介すべきか正直迷っていました。
このコラムは主を「帯広の中心市街地の商業施設(映画館)を応援する!」に置いています。
(「ついでに十勝のあれこれをそっとアピールしちゃおう!」がサブです)
「なんとな〜く映画に行ってみようか迷っている人の背中を押し、映画館に足を運ぶ人が一人でも増えたらいいなぁ」という目的でやらせていただいておりますが。
ただ『僕のヒーローアカデミア (以下ヒロアカ)』のような巻数も話もかなり進展している作品って、「一般向けではないだろう?」と心配だったんです。
(スパイファミリーはまだ登場メンバーは少数精鋭だし、話がシンプルで分かりやすいだとか。コナン君は設定等かなりの人に斟酌しているので、フワッと興味を抱いた層でも新規参入の余地があるだろう、という判断でした)
ただ今回は、ジャンプ本誌での連載が佳境に入っているところでの映画公開。
逆に映画は話が緊迫しているからこそ、その最終決戦直前の前日譚として、気楽に楽しめるような作品に仕上げたそうです。
なので「完結おめでとうございます!!」の気持ちも込め、今回はお話させていただきたいと思います。
(しかし、ある程度はついてこられるよう間口を広めに作られているし、続き物といってもある程度は想像で補えるといっても、『ヒロアカ』は少々ややこしいのではないか……という思いは拭いきれていません。あくまで「個性」「象徴」「オールマイト」「ワン・フォー・オール」等『分かっている人』向けの映画だと思っていますし、以下も『分かっている』前提で語らせていただきます。)
夏に映画に行ってワクワクしていた気持
さて今回の映画は来場者の雰囲気も年齢層も、普段見に行ってる映画とは違って新鮮でした。
保護者&子供連れ、中高生っぽい仲間同士、大人だけの人はどちらかというと少数派の世界。
いや、新鮮というより一周回って懐かしい……。
昭和生まれの私、この雰囲気に覚えがありました!
夏休みの子供達も大きいお友達も、ある程度その作品世界を知ってる人たちがターゲットのファン向けイベント!!!
公開したばかりの某洋画の字幕版「1日1回しかないよ〜〜〜」と思っていたら、今は夏休み!!
私が夏に映画に行ってワクワクしていた気持ちが、現在にも受け継がれていたのか――――!?
それは夏休みの家族向け作品の上映回数を増やすのも、分かります!!
私の見に行った日は、広小路でイベントが行われていた土曜日でした。
映画を見た後その足で、街に向かう人も少なからず散見されました。
そう思ったせいか、ますます作品の内容も『東映まんがまつり』みたいな立て付けに見えてきました!
正統派で童心に帰った視点で見ると十分面白いんですが、一方でこうした作品を踏まえ、ひねくれて成長した今の自分から見ると、ちょっと物足りない感覚もなくはないと言いますか。
「訳あり」でクローズアップされる役はオリジナルキャラに振られていて、しかも1Aメンバーとの接点が希薄だったのもあるかなと思います。
いろんなキャラクターが出てきてくれて嬉しい反面、動いているのはデク君たちでもストーリーが彼らに寄った進行ではないため『ヒロアカ映画』というより、『ヒロアカのみんなが登場する映画』にも見えました。
ジュリオという執事の存在をどう見るかが、本作を楽しむ分かれ道になると思います。
「このまま、みんなの話は深堀りしないのかしら?」と油断していたら、1Aメンバーの見ている夢の一部で、(知ってる人には分かる)切ないものをサラっとブッ込まれます! お気をつけください!!!
『ヒロアカ ユアネクスト』は、入場者特典でスペシャルコミックが付いていました(全国150万人限定)
魅力的な特典があると、より早く積極的に足を運ぶ動機になりやすいので、こういうの良いですね!(絶妙〜な距離感の作品で貰っても、微妙〜なグッズもありますが)
コミックの中では、オールマイトの秘密がひっそりと明かされています。(あまり小さすぎるお子さん向けではない)
内容の転載禁止とはいえ、Twitter(現X)でバズっていましたが、「まあそうかもね」と納得感のある秘密でした。
興味のある人は、劇場にお急ぎください!
映画を見終わった後、デク君たち(轟君と爆豪君の3人)とそれぞれ一緒に写真が撮れる立て看板が、場内に置かれていて、子供達に人気でした。
これが、人がいなかったから単体で写真が撮れた主人公の哀愁だ……。
どうして……。
十勝のヒーローは『中川王国』と呼ばれる礎を築きました
さて十勝でヒーローというと、「どこが?」と思われるかもしれませんし少し生臭い話になりますが、思い起こされるのは中川一郎さんです。
十勝の広尾町出身、息子の昭一さんと親子で大臣を歴任。時に『十勝王国』『中川王国』と呼ばれる礎を築きました。
最下位で落選はしたものの自民党の総裁選に出馬し、今をもってしても「総理大臣に最も近づいた」十勝関係者です。
一郎さんがすごいのは、十勝の自民党関係者でも昭一さんの話では眉を顰めたりする人はいても(「視察先で本職に向かってご高説を語られてしまった」など、良くも悪くも二世のエリートで……)、まず一郎さんの悪口は聞いたことがないということです。
ごくごく局所的で限定的な『英雄』だとしても、一郎さんのことが大好きな人が往時を思い出して話している時の熱量は、本当に憧れのヒーローを語るそれなんです。
自民と親和性があると思えない思想の持ち主ですら、「一郎さんはすごい人だった」と未だに惚れ込んでいる人がいるくらいで。
『中川王国』というのは「一郎さん大好き!」の余熱なのかもしれない。
目を輝かせる方々の昔語りを聞くにつれ、そんなふうに思わずにはいられません。
北海道でも道東地方起源で、実施エリア外ではあまり知られていない「野遊会」文化も。
かつて選挙で実弾が飛び交っていた頃(当時すら公選法違反)「ラップに包んで入れられたおにぎりの具材」や「座布団をめくると置かれているお車代」の額が、十勝地方は他地域より高かったらしいのも。
それほど一郎さんの後継争い『骨肉の戦い』が熾烈であったという、英雄に付随する影なのかもしれません。
多くの期待を背負い、清濁も光も影も併せ呑むというのはどれほど大変なことで重圧だったのでしょう……。
かつての『ヒーロー』を讃える中川一郎記念館が、出身地である十勝の広尾町にあります。
(広尾町「文化施設」一覧)
当面は基本的に、土日祝日の開館で、平日は要問い合わせとのこと。(この日も、むちゃくちゃ車がアブに襲われて降りられず、遠景写真しかありません……)
ここに行くのが目的で、行ってから「開館していない!」という悲劇を防ぐためには、事前に電話で確認するのが確実で安全です。
PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。