2025年9月16日、帯広市中心部のふじまるビルで、解体工事の安全を願う「安全祈願祭」が行われました。
式典には、藤丸株式会社の村松一樹社長をはじめ、山中良助副社長や山川知恵副社長、施工を担う萩原建設工業の萩原一利社長らが出席。さらに、かつて藤丸百貨店を率いた藤本長章氏や副社長の藤本典成元副社長も参列し、世代を超えて藤丸再建への思いを共有する場となりました。
長年にわたり市民に親しまれてきた建物への感謝を胸に、工事の無事と地域の未来が祈念された一日。122年の歴史を受け継ぎながら、新たな藤丸の実現に向けた歩みがいよいよ始動しました。
工事の安全を願う、厳かな神事

会場には紅白や紫を基調とした幕が張られ、祭壇には整然と供物が並びました。
神職による「修祓(しゅばつ)の儀」で場が清められると、祝詞が厳かに響き渡り、参列者は一人ずつ玉串を捧げる「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行いました。

村松社長や萩原社長をはじめ、役員や工事関係者が順に拝礼する姿からは、地域と共に歩んできた藤丸への感謝と、工事の無事故を願う真摯な思いがにじみ出ていました。
村松社長と萩原社長が語る「未来への決意」

式典後の挨拶で、村松社長は次のように語りました。
「このビルは40年にわたり地域の皆さまに親しまれ、多くの思い出を育んできた場所です。老朽化により解体を決断しましたが、それは未来へつなぐための前向きな一歩です。2030年には必ず新しい藤丸を実現します。ぜひご期待ください」

続いて萩原建設工業の萩原社長も、工事に臨む決意を述べました。
「藤丸は“藤丸さん”の愛称で親しまれ、市民にとって特別な存在でした。解体は寂しいことですが、その先にこそ意味があります。私たちは無事故を誓い、2030年に新しい藤丸が帯広のシンボルとして甦るよう、安全第一で進めてまいります」
厳粛な祈願祭は、再建に向け関係者の思いを一つにする節目の場となりました。
藤丸の歩みと再生への道
藤丸は1900年に呉服店として創業。のちに百貨店へと発展し、「藤丸さん」の名で市民に親しまれてきました。
1982年に完成した現ビルは、地下3階・地上8階、延べ床面積約4万2,000平方メートルを誇り、40年以上にわたり地域の暮らしを支えてきました。しかし、百貨店業界の低迷や経営難を受け、2023年1月に122年の歴史に幕を下ろしました。

2022年12月に設立された新会社・藤丸株式会社が再建に向けて始動し、2024年には株式会社そらの協力のもと私的整理が完了。さらに2025年7月には、旧藤丸裏手の遊休地に仮設施設「藤丸パーク」がオープンし、市民との接点を絶やさず再建への歩みを進めています。
新しい藤丸に寄せる期待

画像提供:藤丸株式会社
安全祈願祭を経て、解体工事は9月22日に着工、2027年夏の完了を予定。その跡地には2030年を目標に新しい藤丸が誕生します。
新藤丸は買い物だけでなく、観光や地域の交流拠点としての役割も担う構想。帯広の中心街に新たなにぎわいを生み出すことが期待されています。
藤丸の再生は、単なる百貨店の復活にとどまらず、地域の未来を共につくる挑戦です。再び中心街に活気を灯す日を目指し、新たな歩みが着実に始まっています。

