2022年7月から始まった移住体験。育児休業中の自由の身を活用して、0歳双子を連れ、大阪から全く異なる環境での子育てにトライしてみました。北海道は十勝エリアの『豊頃町』。ジュエリーアイスやハルニレの木といった観光資源はあるものの、実際の暮らしはどうなのか。人口3000人のまちでの暮らしをレポートします。
0歳児双子と共に十勝に乗り込む!
2022年7月10日。前日の夜中まで必死になって荷造りをして、大阪から北海道へ。
移住体験では、あくまで「体験」であり、本拠を移すということではないのと、そもそも家具・家電付きなことが多いため、引越しであるものの、ほとんどの家具・家電は大阪に置いて、ひたすら、半年間滞在するための衣類を中心に頑張りました。また、妻がやっている革小物制作のための材料や道具類。あと、大変やったのは子供たちグッズです。こまめにクロネコ○マトに来てもらい、めっちゃでかい段ボール10箱以上に。
十勝は関西からの直行便もないため、伊丹⇒羽田⇒帯広と双子を連れて、空港内を走り回り、乗継を何とかクリアし、帯広空港では友人たちがサポートに駆けつけてくれました。大感謝。
あれ、車は?!というところですが、なんと、私の会社のかわいい後輩たちが、夏休みを利用して、私の車をフェリーで運びながら、旅をする!といういかにも楽し気な旅で大阪から北海道まで乗ってきてくれたのです。
あり得ないくらいのたくさんの友人の協力をもらい、無事、役場にて鍵を受け取り、体験住宅にたどり着くことが出来ました。
豊頃町は十勝では珍しい、海を持つ、十勝開拓の祖のまち
豊頃町は、十勝エリアの東側に位置する人口約3000人の小さなまち。十勝エリアにお住まいの方でも、ここ!と指させる人はそこまで多くないかもしれません。とはいえ、海があり、汽水湖があり、十勝川の河口部分を有していて、森林面積も約6割。平地部には大規模農家さんが多く、100ヘクタールを超える耕作面積を持つ農家さんも複数いらっしゃり、十勝では珍しく、農林水産業がすべて揃っているまち。また、十勝開拓の祖となる「大津エリア」がある歴史あるまちでもあります。
立地としては、私が暮らした移住体験住宅は、国道38号線から近く、JR豊頃駅も徒歩10分。そして、徒歩3分で北海道の生活インフラのコンビニ「セイコーマート(道民はセコマと略します)」があり、日常の生活は特に支障ありませんでした。また、色々と買い物に出かけるときは、車が必要なものの、渋滞は起こることなく、買い物施設は車で20~30分程度、帯広空港にも30~40分程度、帯広市内の買い物施設にも40分程度で行け、景色が良いところをドライブがてら行くことが出来たため、正直、そこまで不便を感じることはありませんでした。
人口3000人と侮るなかれ。スーパーなくとも、色々あります
まちにスーパーが無いと言うのは、考えたことのない衝撃を受けたのですが、実際はそれほど不便を感じませんでした。大きな理由としては、町内(移住体験住宅からは車で5分ほど)には「とよころ物産直売所」なる都会に住んでいる身としてはあり得ない新鮮なお野菜が並んでいる産直市場があったのです。
町民に伺ってみると、豊頃町は大規模農家さんが多く、特に十勝で4大品目と呼ばれる、「小麦」「ジャガイモ」「豆類」「ビート」を大量に作られている農家さんがほとんど。産直では、そういった農家さんが家庭菜園(と都会の人が思うレベルではない広さのようですが)的に作ったお野菜が色々並んでいるそうなのです。これが農家さんが作っているだけにめっちゃレベルが高く、そしてお安い。金・土の品ぞろえがいいよ、とうわさで聞いたため、毎週どちらかの日の朝、オープンすぐにお野菜を買いに行っていました。
また、まちの中心部には、お菓子屋さんが2軒、パン屋さんが1軒、社会福祉協議会さんが経営されるカフェ「喫茶ふわり」もあり、この辺りはすごくお世話になりました。特に「喫茶ふわり」のスタッフの方々には双子のお世話もしてくださって、ゆっくりご飯&お茶ができる貴重な時間を過ごすことも出来ました。
更に、8月下旬には、すっごいおしゃれなカフェ「B&B丘」さんもオープンし、2022年10月には、オーベルジュ「エレゾエスプリ」もオープンしたようで、どんどんおしゃれなものも生まれています。
豊頃町での暮らし。適度な交流とほっこりイベントも
イベントも毎月2回行われている「赤ちゃん広場」なるまちのママ&お子様が集まる会があり、そこで情報収集。夏祭りイベントや、乳児の子育てで気になる成長の記録、体重&身長測定も月1回してくださって、すごく助かりました。なんと、ここでは誕生日が一日違い!という双子ちゃんとも出会えました。豊頃町のなかでは10年ぶりの双子誕生!だったそうです。
あと、まちのお祭り。夏祭りや産業祭りというのがあり、規模はそこまで大きくはないものの、子供を連れて出かけるにはちょうどいい規模感。そして、何よりまちのお祭りだけに、出店のお値段もお値ごろで、財布にやさしい(笑)ヒーローショーにくぎ付けになるキッズたちがすごくかわいかったです。
派手なことはないものの、のんびりした雰囲気が常に時間に追われている都会の暮らしとは全く異なり、すごく心にゆとりが出来た気がしました。
出会った人々。みなさん、ホンマにいい人たち
まず、移住体験をするに当たっての窓口である町役場の担当部署の方々にはホンマに助けられました。すごく若い方が担当やったのですが、フットワークも軽く、一度、鍵を無くした!と大騒ぎした時もすぐに駆け付けてくれたり、適度に連絡をいただいて、いい距離感で過ごせました。
また、上司の係長さん、課長さんもものすごくいい方々で、歓迎会(BBQ)をしてくださったときも、何ともほっこり、温かく見守ってくださっている感じがすごくよかったです。
そうそう、実は、豊頃町に来て、まだ右往左往している頃、突然家に来てくださった方がいらしたのです。農家のKさんご家族。ちょうど僕が不在にしているタイミングやったのですが、お母さま、息子さんご夫婦&0歳児娘ちゃんがピンポーン!豊頃町で地域おこし協力隊をされていたKさんが気を利かせてくれて、我々家族を紹介してくださったのです。
その後、改めて、お家の方にお招きいただき、焼肉(北海道で焼肉、というと屋外BBQのことを指すことが多い)パーティをしていただきました!!そこには、Kさんご家族4世代、お向かいの農家さんにイケメンエゾシカハンターまで、たくさんの方が集まってくださいました。
移住体験住宅の住み心地。畑作業も出来たり。そしてホームパーティまで!!
移住体験住宅は、1LDK109㎡という都会では考えられない広さでした。土間があり、暖炉があり、憧れののんびり郊外生活のイメージそのままで素晴らしい環境。築10年強経っていて、調度品が少し古くなってきているところはあるものの、とにかく快適!でした。
ただし、要注意が、真夏の昼間。北海道もここ数年で一気に気温が高い日が増えてきていているものの、まだ移住体験住宅の多くではエアコン設置が出来ていないのです。
豊頃町も最高気温が30度を超える日も年間数日はあり、自由に外に出回りにくい0歳児双子男子を連れている我々は、結構困ったこともありました。
町役場の方には、涼める場所をいくつもご紹介いただいて、使わせていただいたりして事なきを得ましたが、夏場の日中はどこかにお出かけした方がいい日もあるかと思います。それを差し引いたとしても、おしゃれですし、何せゆったりした空間が屋内外に拡がっているので、妻とも、「こういう場所で暮らせるのはいいよねぇ」とよく話していました。夜になると涼しく過ごせて、窓を開けて寝ると寒いくらいで、夜になるとホンマに星がきれいでよく星空を眺めていました。
そして、屋外がのんびりしているだけではなく、なんと、この豊頃町の移住体験住宅は畑付き。それも、きちんとサポートもしてくださいます。サポートしてくださるおじさまが、すごく親切で、我が家の場合は、ほとんどおんぶに抱っこ。ほとんど収穫しかしてないので、偉そうなことは言えませんが、ジャガイモ、トウモロコシ、ズッキーニなどなど。とれたて新鮮な野菜たちが食卓に並んでいくのは本当に贅沢なひと時でした。
さらに、この住宅での思い出は、ホームパーティです。合計30名ほどの方にお越しいただいて、持ち寄りパーティをしました。遠くは東京、札幌から。近くは豊頃に住まわれている方々。お昼から夜まで、のんびりした空間で様々な人の交流が出来て、楽しいひとときを共有できたのはすごくよかったです。
豊頃町はあったかい!!
豊頃町は、正直十勝エリアでもそこまで目立った町ではなく、事前に調べてもあまり情報がなかったのですが、本当に親切で、あたたかい人たちが多かったです。特に農家のKさん、町役場のみなさんには、色々とお世話になって、親切にしてくださいました。また、イケメンハンターSさんには、エゾシカ狩りも同行させていただくことが出来ました。残念ながらハンティング自身の成果はなかったものの、色々なお話を伺いながら、初めての狩りに同行させてもらったことはすごい経験となりました。
残念ながら、2カ月という短い移住体験の期間となってしまったのですが、色々な思い出や出会いがあふれる、素晴らしい時間を過ごさせていただきました。実は移住体験終了後もちょくちょく顔を出させていただいていて、これからも色々な繋がりが出来てきそうな、そんな気がする、いいまちでした。
【INFORMATION】
ジュエリーアイス
ハルニレの木
B&B丘
豊頃町移住体験住宅について(豊頃町HP)