2023年6月29日、北海道の道東初となる「第34回北前船寄港地フォーラム in ひがし北海道・くしろ」が釧路市観光国際交流センターで盛大に開催されました。実行委員長を務める蝦名大也釧路市長のもと、全国各地から集まった自治体首長や関係者約400人が一堂に会し、北前船の歴史と地域の絆を深める交流の場となりました。
北前船の歴史を伝え、地域の絆を深める
北前船は江戸時代から明治時代にかけて国内交易で活躍し、釧路や根室地域から昆布や魚肥を全国各地へ運んでいた歴史があります。今回のフォーラムも、北前船交流拡大機構と開催地の実行委員会が主催し、2007年から毎年開催。開会式で蝦名市長は「北前船の歴史と地域のつながりにスポットを当てることは、ゆかりある土地の住民が地域への愛着や自信を抱くことにつながる」と述べ、参加者を歓迎しました。
フォーラム本大会と特別講演
29日の研究所大会とフォーラムでは、浜中漁協の山崎貞夫組合長、奥井海生堂(福井県)の奥井隆社長、釧路町の小松茂町長による鼎談「昆布物語総集編」や、「高田屋嘉兵衛を通じて北前船船主の大きな役割を探る」トークセッション、「アドベンチャートラベル(AT)の聖地~JR(ジモレール)を利用した格別な体験へのご招待」パネルディスカッションが行われたほか、楽天グループの三木谷浩史社長による特別講演も行われ、会場は大いに盛り上がりました。
新潟、福井、岡山の首長も参加”
28日の前夜祭と式典では、新潟県村上市、福井県美浜町、岡山県岡山市の首長や商工会議所会頭に、文化庁の合田哲雄次長から認定証が授与。さらに、1980万円をかけて製作された黄金のシマフクロウの大会記念オブジェも披露。交流会では、釧路短期大学臨床栄養学ゼミの学生が考案した「ブリのネギ昆布ソース」やエゾ鹿カレー、釧路名物の勝手丼などが振る舞われ、参加者は釧根の食の恵みを堪能しました。
分散上陸で地域を楽しむ
今回のフォーラムは、多くの人が一度にひがし北海道に上陸することによる交通の制限を避けるため、参加者は根室中標津空港、帯広空港、女満別空港の3つの空港からそれぞれの地域を楽しみながら釧路を目指したと言います。
帯広空港からの参加者と「とかちエリア交流会」
帯広空港からは約40名が参加し、十勝・帯広地域を巡りながらフォーラムに向かいました。夜には「とかちエリア交流会」が帯広市内の北海道ホテルで開催され、十勝地域の自治体や企業関係者と交流を深めました。この交流会は「とかちエリア交流 歓迎委員会」が企画・運営し、約90人が十勝の食材に舌鼓を打ちながら親睦。
参加者は、JA川西の川西長いも工場や帯広畜産大学校内の碧雲蔵、日本で唯一のばんえい競馬を視察。交流会では、歓迎委員長の宮坂寿文氏が「人と人、人とモノ、人と情報が交わり合う場所、それがローカルハブです。笑顔が溢れる結束の場として、コミュニティの創造と地域の活性化を目指します」と語り、地域社会との強い連携を強調しました。
十勝の食材を堪能し、地域の絆を深める
さらに、主催する北前船交流拡大機構の参与浜名正勝氏が「東北海道は空港が四つあるので、そこから現代の北前船、飛行機、鉄道、バスを使い釧路に集う計画にした」と挨拶。米沢則寿市長も「国立公園の名称に十勝が入り、これまで以上に雄大な自然が注目され、地域の魅力が高まる」と参加者を歓迎しました。
他の空港からの参加者
根室中標津空港や女満別空港からの参加者も、それぞれの地域の魅力を堪能しながら釧路へと集結。根室中標津空港からは根室地域の海産物を味わい、女満別空港からは美しい自然景観を楽しみながら移動しました。
北前船寄港地フォーラムの未来
今回のフォーラムは、釧路で初めて開催されたこともあり、多くの新しい交流が生まれました。北前船と昆布の関係を深掘りする座談会や、アドベンチャーツーリズムの聖地を巡る旅のパネルディスカッションが行われ、参加者は新たな知見を得ることができたのではないでしょうか。