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修了生が伝える「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」で得られるもの③

前回「修了生が伝えるTIPで得られるもの②」で、自己理解を深め、事業アイデアをイメージしてきました。

今回は、チームを作り、イメージした事業アイデアに多くの人の意見を混ぜ合わせて、化学反応を起こし、型にとらわれない事業アイデアに進化させていきます。

セッションでは、事業に独自性を出すためのヒントや、事業を「仕組み」として伝えられるようにするための「ビジネスモデル作り」に、チーム単位で取り組みます。

チームで考えるからこその、楽しさやもどかしさも感じる、TIP9 中盤戦をレポートします!

TIPレポート①▼

<TIP9レポート連載>
① TIPとは
② TIP体験レポート前篇(チームをつくるまで)
③ TIP体験レポート中編(チームで動き)<<<今回はこちら。
④ TIP体験レポート後編(スパーリングとプレゼン資料制作)
⑤ TIP9メンバー座談会(前回の参加者のリアルな声)

セッション5 チームを作る/23年8月9日

TIPの第一関門ともいえるセッション、第5回目「チーム形成セッション」の日。

このセッションのゴールは、タイトル通り「事業アイデアや役割希望を踏まえ、暫定的にチームが形成できていること」

TIPのチーム構成と役割にはルールがあり、事前に説明を受けます。

・1チームあたり、3~5人の構成が推奨。
・事業主にあたる役割を「主犯」と呼び、主犯は1人。
・共同創業者にあたる、主犯の強力な右腕は「共犯」と呼び、1人以上が必須。
・スポットで事業を手助けをする「サポーター」という役割もあるが、必須ではない。

チームの構成を把握したうえで、前回の事業アイデアをブラッシュアップさせた内容で1分間のプレゼンタイムに入ります。この時に自分はどの役割になりたいかを宣言します。

発表時間を超過すると響き渡る、TIPではお馴染みの「三品ゴング」

プレゼン後は、事業化を期待するアイデアに投票し、票が多い事業アイデア、あるいは「絶対に自分の事業をやりたい!」という熱い思いの事業アイデアが、チームの母体になります。

その後、企業説明会のように、母体となる事業アイデアごとにテーブルが分かれ、「共犯」や「サポーター」になりたい人は、興味のある事業アイデアのテーブルに向かい、事業主である「主犯」に話を聞きに行く場面や、主犯からスカウトをする場面もありました。

主犯から事業に対する想いを聞いたり、自身が事業に期待することや、どの役割で入りたいのかを話し、暫定で16チームができあがりました。

今後のセッションは、チーム単位での参加です。

齊藤さんからは「TIP9は、過去最多のチーム数。これからセッションを重ねていく中で、本当に事業として成り立つか厳しく見極めていきます」と、次からのセッションで本気度が、一段と増すように焚きつけていただき、チーム形成が終りました。

セッション6 事業アイデアの独自性を高めてクレイジーにする/23年8月30日

セッションの6回目はチーム形成後、初めてのチームグループワーク「クレイジーアイデアセッション」

今回のゴールは「考えたアイデアを尖らせ、独自性を高めて、選ばれる事業アイデアにする。どれだけおもしろくするかに挑戦する」

放っておくと硬くなり、実現性が高くなっても、独自性が低くなってしまう事業アイデアを、具体的に落とし込む前に、さまざまなアイデアを出して、散らかし、広げていきます。

やりかたは、用意された「Crazy Idea Words(クレイジー アイデア ワーズ)」と各チームの事業アイデアを強制的に掛け合わせることで、事業アイデアを「ありえない」と思うような独自性あるものに引き伸ばし、事業アイデアをクレイジーなものさせる考え方を体験します。

アイデアをクレイジーにさせるためのキーワードとなる「Crazy Idea Words(クレイジー アイデア ワーズ)」は、イノベーションプログラムが開催された8年間、全5圏域で生まれた事業アイデアに含まれていた「発想を転換させる要素」をキーワード化したものです。

まずは、事業アイデアのテーマワードを書き出し、用意された「Crazy Idea Words」から、「掛け合わせるとおもしそうだ」と思うカードを、ひとりひとりが選びます。

次に、テーマワードと「Crazy Idea Words」を掛け合わせて、具現化していきます。
現実的か否かは一旦気にせず、「ありえない」と思うアイデアも出して、空想にぶっ飛ぶ時間です。

最後に「実現の可能性を高めるコメント」をチームメンバーが補足して、アイデアを現実的に整理していきます。

「Crazy Idea Words」自体は、聞いたことがある単語ばかりですが、事業と組み合わせると、途端に不可解なものに変わり、なんとか事業アイデアにしようと、頭を悩ませたワーク。

ひとりなら諦めてしまいそうでも、チームメンバーのいろんな視点があるからこそ、新しいアイデアが生まれる。まさに「チームだからできる」グループワークでした。

 

セッション7 ビジネスモデルとして、アイデアを現実的にする/23年9月6日

ここまでのセッションは事業内容のブラッシュアップが中心でしたが、これからは「発表」に向けたセッションに切り替わっていきます。7回目は「ビジネスモデルセッション」

「事業アイデアをビジネスモデルに落とし込む」ことをゴールに、提供する価値や提供方法、提供に必要な過程、収益を得る方法を仕組化し、「スタートアップ・キャンバス(SUC)」に埋めていきます。

スタートアップキャンバスは、新規事業でどんなことをしたいのかを説明する際に最低限必要な項目が入ったシートであり、これからの発表の土台になります。

事業内容や主犯の考えについて認識を合わせたり、深堀りをしながら、シートを埋めることで、コンセプト、商品・サービス、顧客、協力パートナーなど、ビジネスの全体像の中で、検討が必要な項目がクリアになりました。

スタートアップキャンバスをひと通り書いた後は、TIPのセッションでは初めてのプログラム「数値計画」について、帯広信金職員の三品(みしな)さんから説明がありました。

日本政策金融公庫総合研究所による調査では、18歳~69歳の男女で、起業に関心がある割合は14.3%ですが、実際に起業・事業化する人は、1.5%まで減ります。
そして、事業化した人のうち、10年後も継続できてるのは26%となり、最も多い廃業理由は事業計画通りに売上、利益が得られないことによる資金不足です。

あらかじめ、ビジネスモデルを考えるときに、数値計画も考えることで、事業アイデアを「ビジネスとして起こし、継続できるのか」を真剣に考える機会になります。

レクチャーでは、価格の設定方法、コストの考え方、開業費用や収支の予測、ビジネス形態によって異なる「費用構造のパターン」などの説明を受け、「説得力のある数字」を考え、スタートアップキャンバスに追記しました。記入できたところまでを1チーム3分以内で発表し、セッションは終了です。

野村総研の齊藤さんからは「今日は、熱い思いや自分の理念を語るだけでなく、ビジネスモデルとして商品・サービスが分かる仕組みを描き、夢を形にして、世の中に出していく一歩です。ビジネスモデルにできるかどうかが、単なる主張や評論家と、起業家との違いであり、描けるようになるための場所がTIPです。ぜひメンターや事務局にどんどん頼ってください。」と、アドバイスをいただきました。

このセッション以降、セッション日以外でも各チームで、FacebookメッセンジャーやZoom、対面などで、時間を合わせてミーティングを行うようになります。

 

セッション8 中間発表/23年9月13日

セッション8回目は、TIPのひと区切りとなる「中間発表」

15チームがスタートアップキャンバスを基に3分間の発表をし、TIP事務局である市役所のTIP担当者とTIP修了生がフィードバックをします。その後、フィードバックを基に今後の作業計画を立てる回となりました。

今回のセッションのゴールは、次のとおり。

・プレゼンの練習(内容、伝え方、時間配分)
・ブラッシュアップをする
・他チームのプレゼンから学ぶ(発表の仕方、フィードバック側の視点を持つ)

ビジネスモデルセッションを受けたあと、セッション外でもチームミーティングを行い、スタートアップキャンバスを充実させて、この中間発表を迎えました。

各チームの主犯は緊張しながらも、想いを熱く語る姿が印象的でしたが、事務局からのフィードバックで指摘された内容は、とても現実的でした。

利益や売上の作り方が不透明であることや、類似サービスを調べたうえで、選ばれるための独自性を出す必要があること、顧客をもっと具体的にイメージする、あるいは絞り込むこと。

充実させたはずのスタートアップキャンバスは、まだまだ浅く、人に納得してもらえる「事業」を説明することのむずかしさを痛感したセッションでした。

今回のフィードバックを基に、事業構想案をブラッシュアップさせ、次回の「スパーリングセッション」に臨みます。

 

チームワークとビジネスモデル具体化のむずかしさ

私は自分の事業アイデアでは、規模が小さく、チームを作れるほどではないと感じて、2チームの共犯・サポーターを兼務しました。

スタートアップキャンバス作りでは、主犯の考えを「わかったつもり」になって、認識がずれていたことが判明し、認識を合わせるために「確認する」ことの必要性とむずかしさを体感しました。

また、中間発表のフィードバックを受けて、チームの事業アイデアを調べてみると、意外にも既に世間で事業化されていたり、似ているものがたくさんあることを知り「選ばれるための独自性」や「顧客をイメージすること」の大切さを痛感した中盤戦でした。

これからは最終発表に向けて、ひたすらプレゼンを練習するセッションが続きます。

プレゼンをするのは「主犯」ですが、主犯が安心して、自信をもってプレゼンできるよう、共犯・サポーターとしてできることを模索しながら参加していきます。

 

今年度の参加者募集は、既に始まっており、7月5日までの申し込みが必要です。申し込みフォームや、過去のプログラムの様子などがわかるFacebookべージはこちらです。

とかち・イノベーション・プログラム Facebookページ▼
https://www.facebook.com/tokachiinnovationprogram/






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ありとよ

ライター

1987年生まれ。約10年東京に住み、2020年にUターンで帯広に戻ってきた。料理と食べることが好きで、Instagramは食べもので埋め尽くし、食べた時に感じたことを書いている。事務とSNSの運用代行、ライター、食関係の仕事をしており、料理を通したコミュニケーションプレイスを作ることを思い描き中。読んだ人の「きっかけ」になることを願いながら、体験して感じたことを、心の底から素直に紡いでいきます。

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  4. 修了生が伝える「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」で得られるもの③

  5. 修了生が伝える「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」で得られるもの②

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