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修了生が伝える「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」で得られるもの④

「TIPで得られるもの②」「TIPで得られるもの③」のセッションを通して、ぼんやりとしていた事業アイデアが形として見えるようになり、人に伝える練習をするところまで来ました。

今後のプレゼン練習は「スパーリングセッション」と呼ばれ、本番と同様、事業を全く知らない人に7分間のプレゼンを行います。

最終発表では、口頭でフィードバックをいただく機会はないので、スパーリングセッションでの発表後、ゲストからの質問とフィードバックである「カウンター」を受けられるのは、TIPの醍醐味といっても過言ではありません。

TIPのセッションレポートとしては最終回。最終発表に向け、妥協することを許さないフィードバックと、資料作成セッションをレポートします!

TIPレポート①▼

<TIP9レポート連載>
① TIPとは
② TIP体験レポート前篇(チームをつくるまで)
③ TIP体験レポート中編(チームで動き)
④ TIP体験レポート後編(スパーリングとプレゼン資料作成)<<<今回はこちら
⑤ TIP9メンバー座談会(前回の参加者のリアルな声)

セッション9 事業内容に重点を置いたプレゼン/23年9月28日

第9回目、スパーリングセッションとして初めての相手は「野村総合研究所(NRI)のコンサルタントチーム」

セッションのゴールは前回の「中間発表」と同じく、「プレゼンの内容、伝え方、時間配分の練習、ブラッシュアップをすること、他チームのプレゼンから発表の仕方やコメントを聞いて、フィードバック側の視点を持つこと」

持ち時間は、1チーム4分で、13チームの発表となりました。

あらかじめ、野村総合研究所の齊藤さんより「事業内容や商品、サービス内容に重点を置いてフィードバックします」と事前予告を受けたことや、前回の「中間発表」で受けた指摘を基に、ビジネスモデルをブラッシュアップさせて発表に臨んだ回。

発表後のフィードバック内容では、価格の妥当性、商品・サービスが選ばれる理由、事業目的の確認といった、煮詰め足りなさを問われるようなコメントや、一歩先を見据えた「今後の展開」について問われるコメントもありました。

自分たちの事業アイデアに夢中になり、顧客側で考えられていただろうか?と視点を見直すことに気づかされた回でした。

 

セッション10 視覚からも魅力を伝える資料作り/23年10月4日

最終発表まで残り50日となった10回目のセッションは、TIP9から追加された初めてのセッション「 プレゼン資料作成セッション(表現手法開発)」が開催されました。

これまでの2回の発表ではPowerPointは使わず、ワークシートやWordを使った文字と口頭だけでのプレゼンだったのです。

今回のゴールは「プレゼン資料の基礎と、魅力的かつ伝わる作成方法と事例を学ぶこと」

まずは、野村総合研究所の坂口(さかぐち)さんから、プレゼン資料の役割について「事業構想の内容や魅力を、初めて見る・聞く人に対して、わかりやすく伝えるためのもの」と説明を受けます。

過去の最終発表で印象に残ったプレゼンとして、資料だけでなく、味覚や嗅覚を刺激したり、観客参加型でのパフォーマンスなどの事例も挙げ、「プレゼンでは、観客を没入させることが大事。巻き込んで魅せることで、応援したい、おもしろそうと思ってもらうこともポイントです」と話しました。

そして、いいプレゼンをするための今後の動きについて「共犯者、サポーターという役割に固執するのではなく、『チーム』として動き、各メンバーができること、行動することをチーム内で『可視化』『共有』することがキーになります」と、坂口さんよりアドバイスをもらい、グループワークに移りました。

スライドに入れる内容を組み立てるグループワークでは、考えてきた項目は今までと大きく変わらないものの、人に伝える資料として考えた時に「この事業は、何のためにするのか」「誰が何をどうすれば、目的が達成するのか?」「達成することで世の中がどう変化するのか」を改めて意識させられました。

 

セッション11 革新者スパーリングセッション/23年10月18日・セッション12 スペシャルアドバイザースパーリングセッション/23年11月1日


プレゼン時間が、本番と同様の7分となり、聴衆者も事業内容を全く知らない、本番さながらの11回目「革新者スパーリングセッション」、12回目「スペシャルアドバイザースパーリングセッション」は、まとめてレポートします。

第11回目「革新者スパーリングセッション」のゲストは2名。
フィリピンの貧困層の若者の夢と自立を目指し、若者たちとともに今と未来を作る活動をしている社会起業家、ワクワークイングリッシュの山田貴子さん。

山形県鶴岡市のイノベーションプログラム1期生であり、今は都市と地方の人材流入を逆転する地方特化型総合リクルートサービスとして、地域就業マッチング事業を仕掛ける、ヤマガタデザイン、チイキズカンの藤原俊介さん。

第12回目「スペシャルアドバイザースパーリングセッション」のゲストも2名。
TIP1期のスパーリングから参加され、相当数の事業プランを見てきている、北海道ベンチャーキャピタル株式会社代表取締役の浦田祥範さん。

連続起業家、投資家でもあり、TIPで生まれた事業の継続的なアドバイザーもされている、ムラタオフィス株式会社代表取締役の村田利文さん

革新者からは、独自性を追求するヒントをもらったり、逆にどんなアドバイスがほしいか?と聞かれるシーンがあり、スペシャルアドバイザーからは、投資家の視点で、数値の根拠や事業の継続性について質問を受けました。また、展開したい規模を問われたうえで、展開に応じたステップアップについて、アドバイスをもらうシーンもありました。

革新者やスペシャルアドバイザーからの質問とフィードバックは、視点が異なっていて、発表の度に、手応えを感じることもあれば、不安も感じることもありました。

セッション12回目の時点で、発表まであと20日と迫っていても、妥協することなく、いただいたアドバイスを基に、事業内容や商品・サービスを深掘りし、継続性や事業のステップアップ、ストーリーが納得できる内容か、伝わるかどうか、何度もチームミーティングを重ね、プレゼン資料と原稿を見直し続けた、追い込み期間でした。

 

セッション13 事業開始宣言の舞台に立つか否か、意思を示す時/23年11月15日

いよいよ最終発表まであと7日、帯広信金セミナ―ルームでは最後のセッションとなる13回目「発表リハーサルセッション」

革新者、投資家からのコメントを基にブラッシュアップさせたプレゼン資料と原稿を携えて、12チームが最終リハーサルに臨みます。同時に、事業開始宣言となる最終発表に立てる状態か否か判定される場であり、本当に挑戦するかの意思確認もされます。

結果、TIP9の最終発表では10チームがプレゼンすることとなり、最終発表までの1週間で魅せ方、伝わり方を徹底的に突き詰め、約4ヶ月間の集大成を迎えます。

最終発表の様子はこちら▼

チームの解散、発表の辞退

TIPでは、型にとらわれない、挑戦しがいのある事業を創造するため、チームを形成し、1つの事業アイデアに、多視点の意見を混ぜ合わせて、化学反応を起こします。
そして、できあがった事業構想案は、金融機関やエンジェル投資家、ビジネスパートナーや公的支援機関などが参加する会場で、発表することができます。

しかし、チームは途中で解散することもあれば、残った全チームが最終発表に参加できるわけではありません。

事業の目的・内容・進め方が不適切な場合や事業構想を継続して進める意思が弱いと感じた場合には、最終発表のプレゼンが見送りになる」という通告もあります。

TIP9では、第5回目のチーム形成セッション時、暫定で16チームができ、確定では15チームになりました。最終リハ―サルセッションでは12チームとなり、最終発表では10チームになっています。

チームを解散する理由は、もちろんさまざまです。時間、状況的な問題や、数々のセッションを通して、チームで行う意味があるのか、自分のWantsと合っているか、ビジネスモデルとして説得力がない、継続性が見いだせないなどの理由もあります。

ひとつの事業アイデアと、いろんな角度で向き合うからこそ、自分のWantsを深く掘り下げることができ、どんな形でその事業をやりたいのかに気づくことができるので、それもTIPのひとつのゴールだと、私は思います。

ちなみに、チームが解散したあとは、オブザーバー(聴衆者)として他チームのプレゼンを聞いたり、早期に解散した場合には、他チームに加入することも可能です。

 

TIPに参加した感想

TIPは概要を見ても、結果的にも「起業したい人・起業家たちの集まり」だと思われます。間違いではありませんが、きっかけは純粋な”Wants”です。

目に見えないものを形にしていくことは、不安が大きく、曖昧さに苦しみ、もどかしい思いもたくさんしました。

私が所属した2チームのうち、1チームは最終リハーサルセッションで終了しました。ビジネスモデルとして曖昧な点が多かったからです。事業構想案は、第三者に伝わって理解を得られることで、初めて意味を持つものであり、「思い」だけで事業化することの厳しさも体験しました。

チームミーティングでは、事業の中にある大事にしたいものを置き去りにせず、事業としてどう行えばいいのかをひたすら考え、発表に向けてできることを探し、真剣に取り組みました。自分ができそうだと思うこと、やりたいと思ったことをやらせてもらい、メンバーから、いろんな言葉をもらう度に、自分が「持っているもの」に気づき、何度もうれしく、温かい気持ちにさせてもらいました。

きっと、私にとってのTIP9は、これからの私に繋がる「原点」として忘れたくない場所です。

この経験は、TIP9に「自由と安心・信頼」というベースがあり、参加者の「情熱と思いやり」があったからこそ生まれたものだと思っています。どのセッションでも否定はなく、寄り添い、問い続けてくれたTIP9に関わる全ての方々。情熱と、思いやりを惜しみなく出しまくり、突き進んでいたTIP9参加者のみなさま。

本当に、ありがとうございました。そして、おつかれさまでした。

それぞれが持ち寄った希望と勇気を通じて、出会えたご縁に、感謝しています。

ーーーー

今年度の参加者募集は、既に始まっており、7月5日までの申し込みが必要です。申し込みフォームや、過去のプログラムの様子などがわかるFacebookべージはこちらです。

とかち・イノベーション・プログラム Facebookページ▼
https://www.facebook.com/tokachiinnovationprogram/






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ありとよ

ライター

1987年生まれ。約10年東京に住み、2020年にUターンで帯広に戻ってきた。料理と食べることが好きで、Instagramは食べもので埋め尽くし、食べた時に感じたことを書いている。事務とSNSの運用代行、ライター、食関係の仕事をしており、料理を通したコミュニケーションプレイスを作ることを思い描き中。読んだ人の「きっかけ」になることを願いながら、体験して感じたことを、心の底から素直に紡いでいきます。

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