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北海道のeスポーツ教育のパイオニア?星槎高校の教諭が起業して十勝eスポーツ教育センターを設立

欧米では教育現場にeスポーツを取り入れる動きはありますが、北海道十勝では星槎高校の教諭が起業して「十勝eスポーツ教育センター」なる教育と地域創生に繋がる拠点が設置されます。半歩先を進む大橋紘一郎代表(教諭)をインタビューしました。

2022年11月、教師が起業し、十勝eスポーツ教育センターを設立。

日本国内では、ようやくeスポーツが注目されるようになってきましたが、本場米国ではeスポーツと教育の現場をつなげて、新たな学習と成長の機会を提供しているそうです。そんな事とはつゆ知らず、北海道十勝には半歩先を行く動きがあります。

2022年9月12日、十勝の地元新聞「十勝毎日新聞」に【十勝初「eスポ」拠点 旧商工中金跡に11月開設へ 星槎国際高校の大橋教諭企画 ゲーム通じICT教育】という見出しが躍っていました。

どうやら、星槎国際高校帯広学習センターの大橋教諭が、eスポーツを通じた教育やまちづくりの拠点となる「十勝eスポーツ教育センター」をオープン。9月1日には同センターを運営する株式会社を設立したそうです。

「十勝eスポーツ教育センター」では、子どもたちにICT(情報通信技術)を通じた新たな学びを提供し、イベントの企画運営など、まちづくりを発信する場として提供するとのこと。

せっかくなので、ご本人である大橋紘一郎さんにインタビュー。大橋さんは「十勝eスポーツ教育センター」についてこう話します。

「次世代型教育施設です。具体的には、ゼミと同じようにゲームを通じて、ICT教育と社会につながる学びの場とします。例えば、プログラミング教育や動画作り教育はもちろんのこと、せっかく、学外でやるのであれば、たくさんの人とつながる場でありたいと思っています。具体的には小中学生を対象にゲームから学びへとつながる塾を開講したり、社会人のゲーム好きの人がセンターに足を運んでもらえるような居場所づくりにも力を注いでいこうと思います」

つまりは、学生だけではなくて、社会人や十勝の人々の交流の場にすることで、ゲームを通じた気づきや課題を解決するきっかけに繋げるそう。

「若い世代と社会とつなぎ合わせるのに、ゲームはうってつけなんです。30代、40代、50代の方々もファミコンに熱中し、今はスマホゲームに夢中になっている人もいるでしょう。子どもとのコミュニケーションツールにもなっているはずです。世代間を超えるツールとしてゲームは最適なんです」(大橋さん)

eスポーツとは? エレクトロニック・スポーツの略で……

具体的な話を伺う前に、まずはeスポーツについておさらいしましょう。

eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、オンラインゲームで楽しむことが多いのですが、スポーツの祭典のようなイベント会場での競技ゲームを指すことが多いです。競技で使用されるゲームのジャンルは、リアルタイム戦略、格闘、シューティング(一人称)、多人数参加型のオンラインバトルなどなど。2000年代後半までは主にアマチュア間で行われてきましたが、現在はプロゲーマーによる参加と観客動員で人気を博し、スポンサー企業が参入することで大規模な大会やリーグが世界中で開催。大きな大会では、数百万人の視聴者を集めているものもあります。何よりeスポーツの大会は賞金も大きく、最大規模の大会では10億円以上の高額賞金となることも……。(「eスポーツとは」の部分はAIが執筆しました)

eスポーツ(ゲーム)を教育現場に取り入れた大橋教諭とは

「ゲームと教育は、一見、無関係と思われてきたキーワードですが実はリンクどころかシンクロしているんです」と大橋さんが話す通り、少し考えれば、歴史ゲームや海外ゲームをやることで、歴史に詳しくなったり、海外の文化や言語に触れられて文化交流をするきっかけとなっていることに気づかされます。

もっと深掘りすれば、自分でその歴史についてネットで調べたり、プレイを上達させるために海外のユーチューバーの動画を観て、理解するためには英語力が必要なので、自然と向上したりするなど、ゲームから一般科目への学びにつながることは多い。

「人生で大事なことはすべて〇〇から学んだ」という言葉を、一度は聞いたことはありませんか。私は、人生で大事なことは、それまでの人生で既に選択して学んでいると思っています。だから自分が好きなこととか、真剣に打ち込んできたことに、もっと自分自身の目を意識的にちゃんと向けるだけで気づけるんです。だからゲームが好きで真剣な人は、ゲームから学べるはずなんです」と大橋さん。

確かに、ゲームのストーリーやキャラの特性は覚えようと思わなくても、自然と覚えていることが多い。それが一般科目の勉強につながったら忘れることはないでしょう。

「今の子ども達は、誰もがゲームを手にとって遊ぶ時代です。そういう意味でも誰しもが学びを得られる可能性のあるツールであり、しかも親しみやすいんです。活用しない手はないですよね」(大橋さん)

納得せざるを得ない理屈です。

大橋さんがそこまでゲームと教育をつなぎ合わせるには理由があります。

大橋さんは北海道十勝本別町で生まれ育ち、高校卒業後は地元の帯広畜産大学へ入学する粋道産子でした。幼い頃からゲーム好きで、帯広畜産大学時代には大学祭で、ポケモンバトル大会を主催。その大会の人気が高まりすぎ、会場に人が入り切らなくなったことをきかっけに、「毎月開催」を決断します。

その後、大会は大学を抜け出し、十勝全体へ広がります。「大学時代のイベント企画や運営は大きな学びとなりました。コミュニケーション能力や企画力、実践力など社会人で学ぶことを学生時代に経験したことで、これを次世代に伝えることが私の使命」と考えるにようになったそうです。

eスポーツ(ゲーム)を教育に取り入れるために星槎グループへ

一介のゲーム好きがゲーム好きな人たちを楽しませる立場となり、その経験から「教育につながる」ことを知り、舞台を教育の現場へと移す大橋さん。

そんな大橋さんが、門を叩いのが星槎グループでした。

みなさん、星槎をご存じでしょうか。星槎グループは1972年、神奈川県で高校教師をしていた故宮澤保夫さんが、アパートの一室で始めた鶴ケ峰セミナー(ツルセミ)という塾から始まった教育組織です。たった2人の生徒からはじまったツルセミは、徐々に不登校や発達障害などの子どもに学びの場を提供することで、全国から多くの生徒が集まるようになります。

そして、宮澤さんはこれまでの常識にとらわれない教育で、子どもの個性を生かすための居場所づくりに奔走。多くの個性的な学校を創設し、いまでは幼稚園から大学院まで全国で4万人が学ぶ星槎グループ(本部・神奈川県)となりました。星槎という名は「長短ばらばらな木をつないだ槎(いかだ)で、天空の星を目指す」という中国の言葉に由来。「違いを認め合い、補い合う学校を」との想いを具現化する形で全国に多くの居場所を作り続けています。

北海道には、芦別市に星槎大学を開校し、通信制教育を中心にサテライトを設けました。この宮澤さんの教育理論に共感し、「星槎であれば、eスポーツを教育に取り入れる良さを理解してもらえる」と門を叩いたのが大橋さんでした。

残念ながら、宮澤さんは、2022年3月に亡くなりましたが、それを惜しむ声は各界から聞こえるほど。お別れ会には、黒岩祐治・神奈川県知事や歌手の加藤登紀子さんのほか、兼ねてから親交が深かったブータン国王の弟でブータン・オリンピック委員会のジゲル・ウゲン・ワンチュク会長らが弔辞を述べたそうです。

「私は、宮澤さんとは一度しか会えませんでしたが、『我々が目指すものは、生徒が主人公になれる学校であり、生徒が主体的に参加できる学校なんです。教育環境作りの精神で子ども達が必要とするものであれば、とにかく何とかして創り出し、彼らに提供するということをやり続けているのです』という言葉を胸に抱きながら、これからも星槎の教員として前に進みます。もちろん、帯広のセンター長を含めて、地元の方々の協力があってこそ、今の自分がいることも忘れていません」(大橋さん)

まさに、星槎だったからこそ大橋さんはeスポーツを教育に取り入れることができたのだと振り返ります。

大橋さんの考えと経験が、星槎グループ創設者の宮澤さんの考えとシンクロすることで、「十勝eスポーツ教育センター」に繋がっていったのでしょう。

これを読めば納得。大橋さんのeスポーツ(ゲーム)教育

日本でもeスポーツは少しずつですが浸透し始めていますが、それでも「ゲーム」へのイメージが良いとは言えません。「引きこもり」をゲームと結びつけて、「引きこもってゲームばかり」と揶揄する方も多いでしょう。

そんな心無い言葉に大橋さんはこう説明してくれました。

「ゲームをきっかけに多くの人と関わり合うことで、人はどんどん変わるんです。ゲームのイメージを悪く持っている方もいますが、逆にゲームをしない子どもって少ないですよね?それほど、ゲームは身近なものなんです。身近なゲームだからこそ学びに繋げることは容易なんですよ。例えば、授業で屋外でゲームをするプログラムがあります。近くの公園にゲーム機を持ってゲームをするのですが、生徒たちは、どうやって好きなゲームをやれるかを考えます。すると『通信環境や充電はどうする』と課題にぶち当たります。すると、自然と解決する手段を皆で話し合いはじめるんです。大好きなゲームを通せば、他人と話せなかった子も話せるようになるんです」(同)

今後もSUMAHIROでは「十勝eスポーツ教育センター」を中心に新たなステージで活躍する大橋さんや生徒たち、センターに集う人たちの様子をご紹介していきます。

【PROFILE】

大橋紘一郎|KOICHIRO OHASHI
星槎国際高等学校 帯広学習センター 教員(理科)/eスポーツディレクター
株式会社十勝eスポーツ教育センター 代表取締役

帯広畜産大学畜産学部在学中の2012年に家庭教師の会社Chixyを開業。2013年からNPOすきっぷにて子供の居場所づくり/生活困窮者支援事業に従事。2015年星槎国際高校にて教員として、理科を中心に数学・哲学・eスポーツの授業を担当する。2020年からは北米教育eスポーツ連盟のフェローとして、全国の学校関係者向けにeスポーツを利用した授業カリキュラム提供等を実施。2022年9月に株式会社十勝eスポーツ教育センターを設立する。eスポーツ×教育を柱に、若者がやりたいことを実現するための環境づくりを実施していく。

【INFORMATION】
【公式】SEISA帯広ちゃんねる

公式YouTube 

大橋紘一郎さんは、地域発の新たな事業創発・起業創業を促進するためのスタートアップ支援スペース「LAND」で相談してきました。

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北川 宏

北川 宏

SUMAHIRO 編集長

記者12年→編集者8年→広報→起業|2022年7月『圧倒的におもしろいメディアが地方を救う』を掲るメディア会社 株式会社スマヒロの代表。新聞・経済誌の記者、雑誌編集者(日本)、週刊誌(海外)編集長、広報を経て2022年夏に起業。北海道十勝出身。東京13年→バンコク7年→北海道。

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