経済産業省北海道経済産業局は、とかち財団(帯広市)とともに、十勝発のアウトドア・アドベンチャートラベル(AT)の関連ビジネス創出に向けた事業者同士のマッチングイベント「アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝」を1月31日、北海道ホテルで開催しました。39の事業者(企業・団体・個人)が参加し、待ったなしのインバウンド需要増を見込んだ、新たな旅行商品を造成しようとビジネス商談に挑みました。
アドベンチャートラベル(AT)のマッチングイベントが十勝で開催
みなさん、アドベンチャートラベル(AT)をご存知でしょうか。アドベンチャートラベルとは、自然や冒険、体験などを楽しむことを目的とした観光のことです。アドベンチャートラベルには、ハイキング、キャンプ、登山、サイクリング、ラフティング、ダイビング、フライフィッシング、スキー、スノーボードなど様々なアクティビティが含まれます。アドベンチャートラベルは、旅行者が新たな体験をすることで、自分自身を成長させることができることから、経営者や上昇志向の強い人たちに人気だそうです。
過去にスマヒロでインタビューした、十勝帯広にJターンした広尾町出身のフライフィッシングガイド下森雅文さんが「フライフィッシングは、イギリスでは貴族の遊びという側面が強かった時代もあり、現在でも事業家や経営者の間で愛好家が多く、世界的なアウトドアメーカーのパタゴニア創業者や私もガイドしたことのあるヤフージャパンの小澤社長など、フライフィッシングが趣味だと公言する著名人も多いんです」と話す通り、富裕層が好む領域なんだそう。
下森さん曰く「北海道十勝はフライフィッシングの聖地です」とのことで十勝は日本各地から名だたるフライフィッシャー達が集まるそうです。
閑話休題。
「アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝」の話でしたね。同イベントは昨年、アウトドアを軸に開催された「アウトドアX(クロス)イノベーション in 十勝」にアドベンチャートラベル(AT)を加えた拡大版。昨年は道内23事業者が集いましたが、今年は道外からの参加事業者も加わり39事業者となりました。
イベントは二部制で、第一部ではアドベンチャーツーリズムを通じた十勝の活性化セミナーとして、アドベンチャートラベル・トレードアソシエーションアジアマネージャーの國谷 裕紀氏が講演。ATについての概要、ATをきっかけとした(十勝)地域活性化の方向性について話しました。
また、帯広市からは2023年9月に開催されるAdventure Travel World Summit 2021北海道(ATWS2021北海道)とATWS2023北海道ポストサミットアドベンチャーの実施概要について紹介。約60の国・地域から観光業界のVIP(関係者)800人ほどが参加する予定だそうで、参加者に北海道の「アドベンチャートラベル」を体験してもらうため、道内各地を巡る50以上のツアーが実施される予定だとか。今回の「アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝」の参加者が多いのは、まさにATWS2023開催を前に、アドベンチャートラベルの機運が高まっている証拠でしょう。
1分チャレンジと題してはじまった全事業者による自己紹介タイムでは、自らの事業について熱く語る姿が印象的で、第二部の事業者マッチングにおいても、その熱量は止まらず、設けられた商談スペースでは、各事業者らによる熱いビジネス商談が繰り広げられていました。
北海道のアドベンチャートラベル(AT)の可能性を語る
講演した國谷裕紀氏も、日本と北海道のアドベンチャートラベルについて「日本は、山々や深い森、海や川、そこに暮らす野生動物などの自然、そしてこれらの自然と深く結びついた奥深い文化や歴史など、ユニークで国際的にも大きな訴求力を持った土地柄なんです。なかでも、北海道は半径1万キロ圏内で、アドベンチャートラベルに適した最大級のポテンシャルと魅力のある地域です」と北海道におけるATの可能性を大絶賛。
ATの5つの体験価値(ユニークな体験、自己変革、健康、挑戦、ローインパクト)を踏まえた、新たな旅行商品の造成に上限はないそうで、地域の方々の暮らしを大切にしつつ、地域の資源を生かした質の高い魅力的な旅を創出することは、地域も旅行者も満足する持続可能な観光につながるそうです。
ちなみに、日本のアドベンチャートラベルのコンテンツは、「Hiking & Walking」「Food & Drink」「Culture (See tradition)」が人気で、まさに北海道はすべてにおいてポテンシャルを秘めた地域となりそうですね。
一押しアドベンチャートラベル(AT)事業者を紹介
ここで、「アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝」に参加した事業者の中からスマヒロが推す事業者を紹介(過去に取材した方々で、他の事業者さんも応援しています)します。
映像作家 逢坂芳郎さん
先ずは、個人で参加した映像作家の逢坂芳郎さん。逢坂さんは2021年6月に開かれた「第24回上海国際映画祭」の短編部門で日本人として唯一入選した映画監督で、北海道幕別町出身。アメリカの大学で映画制作を学び、海外での映画制作に携わるなど海外視点での映像に強みを持ちます。詳しくはスマヒロのインタビューをご覧ください。
逢坂さんは、地元十勝愛が強く、北海道十勝を舞台に撮った『マイ・リトル・ガイドブック』は、台湾で活躍する女優・吳心緹(ウー・シンティ)を主演に起用。台湾人のヒロインが新たな夏の北海道の観光スポットを探しに、海を越えて十勝をひとりで訪れるというストーリーでした。海外からの視点を織り交ぜながら、十勝に暮らす人々と美しい風景を鮮やかに描き出した映画です。十勝出身者であり、海外経験を持つ逢坂さんだからこそ撮れた作品です。是非ともインバウンド向け映像プロモーションは逢坂さんに決まりですね!
十勝空旅舎(代表・篠田博行さん)
次にご紹介したいのは、十勝空旅団改め、「十勝空旅舎(代表・篠田博行さん)」。
十勝空旅舎は熱気球で十勝平野を一望できるツアーを造成するほか、代表の篠田さんの熱気球操縦技術を生かし、他の人たちに伝授する育成事業にも力を注いでいます。篠田さんのもとには、多くの熱気球愛好者らが集まるほど。ちなみに、先日、スマヒロも篠田さんのインタビューを熱気球の上でさせてもらいました。記事については、後日アップしますのでお楽しみに。その前に熱気球(上空から)の映像を少しだけお見せします。
Destination TOKACHI(デスティネーション十勝)
そして、十勝のアドベンチャートラベルを語る上で、外せないのが十勝エリアを自然思考の方々のDestination(目的地)としてもらえるよう、世界へ情報発信すると共に、キャンプやグランピングを切り口とした特別な時間や新しいライフスタイルを提案する「Destination TOKACHI(デスティネーション十勝)」。
同社は「十勝をアウトドアの聖地に。」を合言葉に、北海道十勝の持つ雄大な自然空間を本格的なアウトドア活動のフィールドとして活かし、心豊かなライフスタイルを求める顧客層に対して「ゆとり」、「癒し」、「ワクワク」にあふれたプレミアムな時間を満喫できる機会を提供することを目的として誕生。
十勝が有する自然、食や人などの地域資源を十分に活かして、新たな価値を創造・発信し、十勝に滞在して楽しんでもらうことで十勝の観光のブランド化をすすめるとともに、観光関連産業のみならず、食や農林漁業など関連産業の振興に寄与することにより、「日本版DMO」としてアウトドア観光による地方創生の実現を目指している会社です。
他にも、「アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝」には、十勝の自然、食、人、文化などの地域資源を生かしながら活躍する事業者がいっぱい参加していました。
何より、十勝のAT事業者が札幌や東京といった都市圏のAT事業者とコラボレーションを図り、新たアドベンチャートラベルに繋がる可能性を感じる素敵なイベントでした。
AT市場は、欧米豪が中心ですが、この動きは単なる流行ではなく将来の旅行の新しい姿として世界に広がり、定着していきます。そこに、北海道十勝を中心に日本のATが世界市場に打って出る日も近いのではないでしょうか。
【INFORMATION】
アウトドア・AT X(クロス)イノベーション in 十勝
主催 経済産業省北海道経済産業局
共催 帯広市、(公財)とかち財団
協力 北海道十勝総合振興局、十勝18町村
2022年5月に開催した「アウトドア X(クロス)イノベーション in 十勝」の様子は以下をご覧ください。
アウトドア X(クロス)イノベーション in 十勝レポート(とかち財団のウェブサイト)
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