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カーリング中継・解説で人気急上昇!男子カーリング元日本代表の大野福公さんをインタビュー

カーリング中継で人気急上昇中の男子カーリング元日本代表の大野福公さんを知っていますか?まだ知らない方が多いかと思いますが、これから露出が増えるひとりです。カーリングといえば、2022年北京五輪でオリンピック史上初めて決勝まで駒を進め、惜しくも銀メダルとなった日本代表のロコ・ソラーレですね。この活躍がきっかけで日本にカーリングファンを根付かせましたが、サッカーや野球に比べるとまだまだマイナー競技。「もっと日本の魅力を発信したい」と力を注ぐ、男子カーリング元日本代表の大野福公さんをインタビューしました。

大野福公さんがカーリング男子日本代表になるまで

今やYouTubeで日本代表戦を中心とした応援解説が人気を博している大野福公さん。カーリング男子元日本代表という知名度と経験を生かし、次々にカーリングの魅力向上に繋がる取り組みを打ち出しています。

そんな大野さんがカーリングと出会ったのは、地元の大学への入学きっかけでした。

生まれも育ちも十勝帯広市です。カーリングと出会ったのは帯広畜産大学(以下:畜大)に入学してからです。地元唯一の畜大を選んだ理由は『自分が学びたいことは地元を出なくても学べる』ということがわかったからで、在学中は畜産学科で小麦の研究をしていました」(大野さん)

「小麦の研究?」と思う人も多いでしょうが、ここ北海道十勝は小麦の生産が日本一で、じゃがいもや砂糖の原料となる甜菜(ビート)、豆類などなど、多くの農産物の生産高で日本トップクラス。食料自給率は約1300%で、まさに農業王国十勝なんです。

地元産業を支える人材を育成する畜大に入学した大野さんですが、せっかくのキャンパスライフ。大学生活を桜花するために選んだサークル(部活)がカーリングでした。

「北国らしいスポーツをしたいと思い、カーリング部に入部しました。スキーやスノーボード、スケートといった数あるウインタースポーツの中から、当時知名度の低かったカーリングを選んだのは新しいことを始めたかったからです」(大野さん)

今でこそ、2018年平昌オリンピックと2022年北京五輪で活躍した女子カーリング日本代表のロコ・ソラーレのおかがで、カーリングを知る人は増えましたが、当時は皆無。

大野さんの選択は、周囲からも「なぜ?」と映ったようです。

ウインタースポーツが盛んな十勝にもカーリング場は池田町にあるだけです。すでに全国区だったカーリングチーム東光舗道ですら、会社の駐車場に冬の1ヶ月間だけ氷を張って練習していました」と当時を振り返ります。

大学で初めてカーリングの世界に足を踏み入れた大野さん。実は、畜大はカーリング界では強豪でした。

「当時の畜大は、高校野球で言えばPL学園みたいな存在でした。まだ、若年層からカーリングをする文化が根付いていなかったからですね。理由は先ほどお伝えしたカーリング場がないからです」と話す通り、今から15年前までは競技人口も少なく、認知度も低いのがカーリングでした。

でも、それが大野さんにとっては好都合でした。

18歳ではじめてから5年。社会人1年目には、ミックスダブルスという男女ペアで挑む日本選手権で、見事、日本一に輝きます。その後は、世界選手権に3度出場。惜しくも五輪経験はありませんが、日本代表として男子カーリング界を牽引するまでに成長します。

北京五輪を目指し、単身軽井沢へ

はじめての世界選手権は、30チーム中17位。その後も幾度となく世界を舞台に戦うこと10年。一度は、地元帯広市役所に入るも、「カーリングで五輪出場を目指したい」と男子の日本トップチームでもある長野県のSC軽井沢クラブに所属。五輪出場を目指していたが転機は2021年に訪れました。それは奇しくも女子カーリング日本代表のロコ・ソラーレが銀メダルを獲得した後でした。

「ずっと北京五輪への出場を目指してきましたが、男子チームは五輪出場枠を獲得できませんでした。その瞬間、僕の戦いは終わったと感じ、次なるステージを目指したいと思ったんです」と当時の心境を語る大野さん。

所属していたSC軽井沢クラブは大野さんの退部に関して次のようなメッセージを残しました。

「この度、トップチームに在籍しておりました大野福公がカーリング競技から離れることとなり、2021年4月30日付で退部いたしました。大野選手は2018年に北海道より居を移し、北京五輪を目標に邁進しておりましたが、今後は故郷に戻り、新たなステージに踏み出すこととなりました。クラブチームといたしましては本人の意思を尊重し、今後の活躍を祈念して送り出すことにいたしました」SC軽井沢クラブ

そうして、地元帯広市に戻ってきた大野さんが門をくぐったのがYouTubeの世界でした。

大野福公さんの五輪後の新たな目標はカーリング普及者

ずっと心の中に燻っていたのが、日本のカーリング発祥の地である十勝(池田町)にもかかわらず、カーリング文化が根付いていないことでした。競技人口の少なさもあって、結果的に日本代表になれましたが、根本から日本のカーリングを強くさせるには、カーリングのさらなる普及しかないと思ったんです」(大野さん)

正確な記録は残されていませんが、カーリングは15世紀にスコットランドで発祥したと言われています。 その後、イギリスから欧州大陸の氷に親しんだ国々に伝わり、アメリカ大陸へと移っていきます。

ただし、カーリングが日本に持ち込まれたのは、かなり時間が経ってからです。1970年代後半頃、北海道十勝・池田町で開かれたカーリング講習会(大会?)が日本カーリング界のはじまりと言われています。池田町教育委員会のサイトにも「昭和51年には、日本で最初に池田町が導入し、町民のほか近隣町村への普及に努めました」と書かれています。きかっけは池田町がカナダのペンティクトン市と国際姉妹都市の提携を結び、ペンティクトン市と交流する中で、カナダで盛んなカーリングが池田町に紹介されたといいます。

もちろん、それ以前にも国内でカーリングが行われたという記録はありますが、カナダ政府公認で大会が行われたのは池田町が初めてというわけです。

「十勝はスピードスケート王国と言われるほどスピードスケート熱が高く、カーリングは根付かず、北見市や常呂町で根付いたんです。十勝出身者として、日本のカーリングを強くするためにも、普及活動をしていきたいと思ったんです」(大野さん)

そうして大野さんが、手始めに開始したのが、YouTubeチャネル「大福CurlingTV🥌大野福公(カーリング)」でした。

「北京五輪もそうでしたが、試合を観てファンになった人が圧倒的だったので映像を選びました。もちろん、ルールを知らない人も多いので、僕がわかりやすく試合を実況中継することで、もっとカーリングの試合を楽しんでもらえたらと思いはじめました」(大野さん)

大野さんのYouTubeチャネルは、毎週日曜 21:30〜 生配信。人気は、元日本代表の大野さんが「作戦ボード」を使ってオリンピック、世界選手権、日本選手権などを分かりやすく実況&解説する点だそうです。ほかにも、カーリングのルールや基本などの解説動画もあってカーリング初心者に人気です。

カーリング普及のための事業構想を発表

開始から1年で、チャネル登録者数は約6000人と徐々に人気が高まりつつあるようです。大野さんのカーリング普及への想いはこれに留まりません。

皆さん、とかち・イノベーション・プログラム(TIP)なるものをご存じでしょうか。野村総合研究所(東京)2030研究室が開発した地方創生のための起業家育成プログラムを2015年に、全国ではじめて導入したのがとかち・イノベーション・プログラムです。今年で8回目となる同プログラムは、十勝での新事業創造を目指した参加者らは、自身の心の奥に秘めた想いを具現化するため、セッションを通して「仲間」を見つけ出し、事業プラン発表まで辿り着かせるプログラムです。2021年の第7期(TIP7)までに合わせて58事業、13の会社が立ち上がりました。

このTIP8に大野さんは参加。2022年11月10日に行われた最終セッションでは、オンラインやリアルの会場で視聴した経営者や投資家に向けて事業構想を堂々と発表します。

「7組中トップバッターだったので大緊張でしたよ。でもやり切れてホッとしました。仲間にも出会え、皆がカーリングを普及させるという僕の想いに共感してくれたことが最大の収穫でした」

大野さんの事業構想名は「エンタメ×カーリング」。エンターテインメントとカーリングを融合して新たな価値を創出し、新市場の開拓・拡大を目指すというもの。

本場カナダや世界のカーリング文化を体感してきた経験を生かし、エンターテインメントでカーリングの楽しさを普及させるというビジネスプランで、SNSやYouTubeといったデジタルメディアプラットフォームを活用しながら試合観戦の楽しさを伝え、そこに現実の世界での体験観光や研修とをつなげることで、カーリングを観て興味を抱いた人たちに、体験を通じて楽しさを実感しもらう流れを創出します。メディア広告と体験観光のほかに、カーリングファンが欲しがる、グッズやゲームなどノベリティも増やしていきたいそうです。

ニューイヤーメダリストカーリング2023(テレビ朝日系列のCS/BS中継)の解説者

新たな志を抱いて帯広に戻って1年が経過。TIP8で事業構想を発表した大野さんは「あとは構想に基づいて進めていくだけです」とエンジンもかかってきたようです。

ゼロからはじめたYouTubeやTIPで表舞台に立つことが増えたことで、活躍の場も広がりつつあるようです。

カーリングの国際的な賞金ツアー大会であるワールドカーリングツアーの日本の大会、およびその大会を統括する日本の組織であるWCT-JAPAN(ワールドカーリングツアージャパン)が主催する「ニューイヤーメダリストカーリング2023」の解説者(テレビ朝日系列のCS/BS中継)として抜擢されます。

実況後、大野さんは2023年の抱負を語ってくれました。

「国内外の強豪チームや国内の若手のチームも集まったとても素晴らしい大会でした。選手の皆様や、長野の皆様に久しぶりにお会いでき、とても幸せな時間を過ごす事ができました。感謝しかありません。元旦ということで2023年の目標ですが、今年は、色々な人に会ったり、色々な場所に行ったり、リアルな場所での活動も増やしたいと思っています。活動の幅を広げて、色々と挑戦しながら、カーリングを盛り上げられたらと思います」(大野さん)

2023年の大野さんから目が離せませんね。

【PROFILE】

大野 福公|FUKIHIRO OHNO
男子カーリング元日本代表

帯広市出身。帯広畜産大学でカーリング部に入り、魅了される。はじめて5年で日本一として世界選手権出場。北京五輪出場を目指し、帯広市役所を退職。2018年から2021年まで「SC軽井沢クラブ」に所属。その後、帯広市に戻りカーリングの普及者としてYouTube番組「大福CurlingTV🥌大野福公(カーリング)」を運営のほか、テレビの実況中継者として活躍。カーリングとエンターテイメントを掛け合わせた事業構想中。

【主な戦績】
2008 日本ミックスダブルスカーリング選手権大会 優勝
2009 世界ミックスダブルスカーリング選手権大会 17位
2015 世界ミックスカーリング選手権大会 出場
2016 世界ミックスカーリング選手権大会 5位

【INFORMATION】

大野福公 公式WEBサイト

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。



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北川 宏

北川 宏

SUMAHIRO 編集長

記者12年→編集者8年→広報→起業|2022年7月『圧倒的におもしろいメディアが地方を救う』を掲るメディア会社 株式会社スマヒロの代表。新聞・経済誌の記者、雑誌編集者(日本)、週刊誌(海外)編集長、広報を経て2022年夏に起業。北海道十勝出身。東京13年→バンコク7年→北海道。

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