帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。
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ただしイケメンに限る!
「自分の中に、これほどの差別意識が……」と思い出させてくれた作品でした。
私、人の顔の区別がつかない上、顔と名前がなかなか覚えられない人間です。
それなのに、ヴィゴ・モーテンセンとマッツ・ミケルセンの名前は分かるし区別はつくんです!
ゲイリー・オールドマンとコリン・ファースも見分けられるし、『プラトーン』に端役で出ていたジョニー・デップが画面を横切るだけでも「あ、これジョニー・デップだ」と分かったんです!
そうなのです。本当のところ、決して覚えられなかったり顔の見分けがつかないわけではない。
「ただしイケメンに限る」だったのです!!!
そんな顔面差別主義者に、より興味や関心の薄い猿の見分けがつくはずもなく。
『猿の惑星/キングダム』、完敗でした……。
冒頭からもう、主人公チーム3人(?)中、女の子が1人(?)という構成でも厳しかった――。
誰が誰やら分からないと、どんなにいい話だろうと物語に入りこむのは難しいわけで。
「行く前に気づけよ!?」と己の不明を恥じました。
その前にゴジラパイセン目当てで見た『ゴジラ×コング』が、ほぼ無言劇でもエンタメとして良すぎたんです……。
それで大丈夫だったがために「また猿の話でも、いけそうな気がする」と勘違いしてしまったのが敗因だと思われます。
誰が誰やら理解できずに『猿の惑星』シリーズを見るのは、「ジェダイ/フォースって何よ?」レベルの人が、いきなり『スター・ウォーズ エピソード8/最後のジェダイ』に迷い込んだようなものかもしれません……。
ただ映像は美しいんです!(ほとんど猿ですが)
この世界観も、好きな人はだいぶ好きだろうというのも分かるんです!!
映画『猿の惑星/キングダム』
自分の問題で話を追うのに苦労した人間でも、「この作品は紹介する価値がある」と確信できるのは、圧倒的なVFX(視覚効果)。
などと、私くらい猿族への愛が足りていない人には、厳しい戦いが予想されますので退くも勇気かと思います。
『猿の惑星/キングダム』は『ゴジラ×コング』のような完全にエンターテインメントに振った作品ではなく、作品世界の独自の哲学や世界観を示すため、まま時間が割かれています。
現代社会批判というか、種の対立というテーマから繰り出される間接的な人種差別批判も、挟み込まれています。
そうした部分と、映像美&独自のSF世界観という点から、どことなく『アバター2』が思い起こされた作品でした。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が好きな人は、『猿の惑星/キングダム』好きなんじゃないかと思います。
私も『アバター』は、オタク君が「こういうのが好き!」と自分の癖をさらけ出しているのを見守りに行く会、という感覚で嫌いではないんです。
ただ続き物って、冗長と思った部分も次回作以降で必要な前振りかもしれず、それだけで判断しきれない難しさがあるので、作品評価としてはノーコメントとさせていただきます。
『猿の惑星/キングダム』も、続編がくることが濃厚なつくりで、これからの展開を見守りたいところです。
『ゴジラ -1.0』ではエンドロールの後、咆哮が流れゴジラが死んでいないことが強調されていました。
そんなふうに『猿の惑星/キングダム』も、あるキャラクターの咆哮(?)がエンドロールの後に流れます。
それすら私にとっては「誰か分からないけれど、続編に登場するんだろうなー」状態。
映像があっても見分けがついていないというのに、猿の鳴き声で区別がつこうはずがないのです!!(顔を覆う)
そんな「誰!?」状態でも、SNSを見ると「あれは○○だ」と言っている人達がいてすごいと思いました。
猿と類人猿について
さて今回は『猿の惑星』ということで、安直におびひろ動物園の猿の話をします!
・ニホンザルのすむ「サル山」
・コモンリスザル・マンドリル・チンパンジーのいる「新サル舎」
と、現在は2つの展示場で霊長類(サル類)が見られる、おびひろ動物園。
「新サル舎」は室内と屋外の展示場が繋がっていて、天候等によって使い分けられています。
屋外で姿が見えないときは屋内の展示場に、屋内にいないときは屋外でその姿を見ることができます。
「新サル舎」の出入口自動ドアのガラス面に描かれたイラストは、開いた時に猿一家の距離が最も近づくデザインになっていました。
「サル山」のニホンザルは、帯広の姉妹都市・大分市との交流の証しでもあります。
世界的に見た霊長類の自然分布の最北限としては、国の天然記念物にも指定されている青森県・下北半島の「北限のサル」がいます。
しかし管理飼育とはいえ、九州・大分県の高崎山からやってきた猿たちが、更に北、北海道の過酷な環境に順応し暮らしているのはすごいことだと思います。
猿はMonkey、Apeは類人猿(中型・大型の霊長類)を示す英語でも、テナガザルは類人猿、マンドリルは類人猿ではなく猿……と、詳しくない人間にはちょっとよく分からない話になっていて混乱します。
ということは、おびひろ動物園で現在飼育されている類人猿は、チンパンジーのみ。
また『猿の惑星 Planet of the Apes』シリーズは必然的に、類人猿たるチンパンジー、ゴリラ、ボノボ、オランウータン類にフォーカスの当たる物語ということになりましょう。
今回『猿の惑星/キングダム』の賢者役はオランウータンで、悪役はゴリラかと思ったらボノボだったそうです。
帯広動物園について
おびひろ動物園は近年、紅葉に埋もれるたぬきの写真・動画がSNSでバズり、投稿するたびに人気を博すキラーコンテンツとなりましたが、それに先駆けること半世紀余、全国区で有名になったチンパンジーがいました。
冬は学校グラウンドなどに陸リンクが造られる十勝地方です。
そうしたリンクが身近な環境のため、スピードスケートの五輪選手を数多く輩出してきました。
それに留まらず「日本で初めてアイススケートを滑ったサル」チンパンジーのターボ(オス)も輩出しています。
賢く、多くの芸を覚えたうちの一つがスケート滑走だったそうで、1966年の全日本学生氷上選手権(帯広市)でも、手を引かれながらスケーティングを披露しました。(単独で滑る姿も写真に残っています)
その年の全日本学生氷上選手権フィギュア競技・男子シングルの優勝者は小塚嗣彦選手。
小塚崇彦さんのお父さんは、もしかしたらターボ君と出会って、その滑走を見ていたかもしれません。
さて、ここからは私も記憶が朧げな部分ですが、古い十勝民なら記憶にあるかもしれません。
かつてゾウ舎の横、今は空になっている檻に、何か霊長類がいた(多分チンパンジー?)ことを――。
檻という制約をものともしない飛距離とアグレッシブさで人間どもを翻弄した、あの唾を吐くチンパンジー(推定)。
時々知らなかったり、油断したり、ぼーっとした人が唾をかけられていましたが、人間との熾烈な戦いが繰り広げられていたものです。
あれは賢く多才と謳われたターボ君(2001年没)だったのか、それとも別のApeだったのか……。
そうであってほしくないような気持ちと、「確かに、油断させておいて唾を吐きかけることにかけて、奴はクレバーだった」という気持ちハーフ&ハーフです。
誰かに聞いたら分かりそうな話でも、何となく確かめるのが怖くて放置している話でした。