帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。
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タカとユージのペアが帰ってきた!
映画は「警察を定年退職し、ニュージランドで探偵を営んでいた二人が、日本に帰ってきた」というところからスタートします。
横浜に探偵事務所(兼自宅)を構えた二人の元に、母の「夏子」を探してほしい、とやってきた最初の依頼者が土屋太鳳さん演じる「彩夏」です。
夏子はタカ&ユージにとってゆかりがあり、どちらかの娘である可能性があるという彩夏。
「そうだよね。どちらの娘だとしても土屋太鳳さんくらい足が長くないと説得力出ないよね」と納得のキャスティングでした。
日本の警察さんなのに腕力&銃で解決しようとするとか、舘ひろしさん(タカ)が他人のバイクにノーヘルで乗るとか、柴田恭兵さん(ユージ)が街を走っている姿を堪能する話じゃなかったでしたっけ???
私も多少、間違っている気がしますが。
ノーヘルであることよりも、ヘルメットをかぶせて舘ひろしさんの髪型を潰して見えなくする方が罪だと思う。
俺はそういう人間だ。
同じように、刑事役だからといって西野七瀬さんもあれでいいじゃないですか!
せっかく可愛いサラサラのロングヘアを、まとめ上げてはいけないと思います!!
見せ方優先でいいじゃないか、フィクションだもの。
極論、『あぶデカ』はバディ物といった色んな要素があれど(二人の愛する横浜という街の顔が見えるのも魅力の一つだと思っています)
ぶっちゃけ、タカ&ユージがカッコよければそれでいいと思うの!!!
それに留まらず、個人的には東映の「波ザッパーン!」からの、わざとフィルム調のオープニングだけでもエモいうえ、割と早めに爆破が出てきたり、日産「レパード」が登場したり、随所随所で昭和感があって嬉しかったです。
探偵はあくまで探偵
タイトルの『帰ってきた あぶない刑事』ですが、探偵はあくまで探偵。
「定年退職した以上、刑事とはならないのでは?」という疑問にも、この世界なりの答えが作中で示されています。
全世界に見てほしい『あぶデカ』の「奇跡」!
・同じ主人公ペアで38年・映画シリーズ第8弾!!
二人とも健在で映画が制作できること自体がすごい!
・歩いているだけでカッコいい実年齢70歳超コンビ! 横浜港署に足を踏み入れるだけで感動した!! 70歳過ぎて、絵になる姿勢の良さとスタイルの良さなのがすごい!
(ただ柴田恭兵さんの細さは心配になる)
・走って、バイクに乗って、銃を撃つ!!
トオル役の仲村トオルさんも映画公開記念舞台挨拶で「天気待ちとかしなくていいんですよ」と「探偵事務所で二人で話をしているだけで問題解決+薫(浅野温子さん)の乱入」というスタイルのスピンオフドラ マとかできないかーとの提案をされていたんです。
それに対し、舘さんも柴田さんも「舐めるな」的反応で、気を遣われる方が役者としても不本意なのだろうと感じました。いつまでも(可能な範囲で)走って撃っていてほしいです。
続編へ期待‼︎
さて、この作品は奇跡的にも映画公開記念舞台挨拶の全国同時生中継の行われる日に見に行くことができました。
こうした中継を、スクリーン越しであっても地方でも見られるって、本当にいいですね!
(※このコラムに掲載している演者&監督写真は、生中継の最後に来場者に撮影を許可されたものです。スクリーン越しというと「STOP!映画泥棒」な感じがしますが、決して盗撮ではありません)
本編で印象に残るのが美しいものだけかというと、悪役達もよかったです。
まず、岸田五朗さん演じる飛龍(フェイロン)。
とてもタカとユージの昔馴染みっぽいけれど初出。
ちなみに物語の鍵を握る彩夏の母・夏子も初めて登場するキャラクター。
ですので、シリーズ最新作とはいえ(8年ぶりだし)前作までを知らない人でも参入しやすい親切設計になっていると思います。
「勘違い若手社長にこういう人いるいる!」という別世界すぎないリアリティも感じられました。
セリフで印象に残ったのは、「もしかしてどちらかの娘かも?」という立ち位置ならでは(?)の、彩夏の踏み込んだ質問です。
一緒に暮らし、一緒に探偵の仕事をしているタカ&ユージに「二人は愛し合ってるの?」と切り込んだのと、それに対する答えが、大変よかったです。(答えは映画をご覧ください――)
『帰ってきた あぶない刑事』は、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のように「老い」「伝説の終焉」を描いた作品では全然なく、まだまだ展開できるように感じました。続編、期待しています!!
黒曜石?十勝石?
さて作中では、彩夏の母親探しの手がかりに、ある刻印が施された翡翠の指輪が登場しました。
翡翠は日本では産地が限定され(新潟県)、縄文時代の交易の証拠となる代表品の一つです。
同じく重要な資源として交易品として流通していたものに、黒曜石があります。
産地は翡翠よりも格段に多い黒曜石ですが、その産地の一つである十勝地方では黒曜石やオブシディアンという名前より、「十勝(とかち)石」という名で知られています。
何なら私の同世代くらいまでは、道ばたによく転がっていたのを、割って確かめた経験があるはず。
(当時は道路が完全舗装じゃなかったんじゃ……河川敷に行くまでもなく堤防に行くまでの坂がすでに砂利道で、いくらでも探しようがあって……むしろ今はどこに探しに行ったらいいのか分からないんじゃ……)
そんな帯広で出土した黒曜石などの石器と土器など、考古物の保管・展示に特化した帯広百年記念館の分館「埋蔵物文化センター」が西帯広にあります。
無料で見られ、靴を脱いで上がる展示室は、決して広くはないものの縄文好きにはたまらない。(はず)
刻印つながりでいうと、「三角形の型押文」ともとれますが、「クマの足跡型スタンプではないか?」と一部で話題となった、帯広・大正7遺跡(たいしょうなないせき)出土の縄文土器がこちらの分館に展示されています。
展示は横向きですが、縦にして考えてみると――?
縄文時代・石刃鏃文化の土器(8500〜8000年前頃)。
クマの足跡と取るか、三角形と取るかはあなた次第です。