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帯広で映画を観た!シネマ de 十勝 映画『もしも徳川家康が総理大臣になったら』〜腐女子の“迷い”道案内_Vol.20

帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『もしも徳川家康が総理大臣になったら』です。

前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』を観た

コロナ禍の日本。官邸でクラスターが発生し、時の総理も急死。危機に直面した日本は、AI技術等を駆使し歴史上の偉人たちを蘇らせ、期間限定の最強内閣を作り上げたーー。現代に蘇った『アベンジャーズ』ならぬ『偉人ジャーズ』が日本を救うのか!?

そんな飛ばし気味の設定のお話でも、監督・脚本が『翔んで埼玉』の方々ということで、嫌いじゃないはずとは思っていたんです。

予想通り「そんなやつはおれへんやろ?」「そうはならんじゃろ?」という展開も、豪華俳優陣の顔圧というか堂々とした態度でねじ伏せられる感じがありました。そう、感じたのは説得力というより、力技とか圧とか豪腕さです。

とはいえ、心配ではありました。

政治が絡むと「どこかの思想に寄ったプロパガンダ作品」が始まってしまうとか、時にセンシティブ……。政治モノといってもあまり偏った作品だったら嫌だなぁ、と思っていたんですが杞憂でした!!
総統
総統

ただフィクションであっても「野党は代案なしに批判ばかりしている存在」と言われて「ピリッ!」とか「イラッ!」としてしまう人は、ちょっとこの映画には向いていない気がします。

この映画の大前提が「野党議員では危機的状況下で政権担当能力がないから、最新技術で偉人たちが召喚された」という話だからです。

だからといって、「しっかりしろ!」とこの作品中で叱咤激励されているのはプロパガンダの手法に踊らされやすい国民一人一人。
ですから、特定政党や特定の思想批判よりも汎用的で見やすかったです。

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』は政事(まつりごと)が主題のため、ブッ飛んだ設定でも、思っていた以上に真面目なお話でした。

『徹子の部屋』ならぬ『政子の部屋』

情報量は多めでも『翔んで埼玉』のような面白さとも違うし、政治風刺コント集団ニュースペーパーの笑いとも違う。
エンタメであっても、ドタバタコメディが主ではない。ユーモアが散りばめられてはいても、笑いは大人しめの作品です。

大人しめといっても、比較が『翔んで埼玉』なので、北条政子(江口のりこ)が『徹子の部屋』ならぬ『政子の部屋』を始めたり、織田信長(GACKT)がACのCMに出演したり、守りには入ってはいないです。あそこまで終始攻めてはいないというだけで。

ラストで『ローマの休日』を彷彿とさせるやりとりがあってニヤッとしたとか、そんな感じのじんわりとした面白さが、偉人達の活躍やその裏で進行する陰謀の間に挟まってくる。そんな感覚です。

それにつけても、GACKT=信長の格好良さよ!!
総統
総統

『敦盛』を歌って舞う信長(と、別の場所で呼応するように舞っている野村萬斎)が見られただけでも、余は満足じゃ!!

ドーランでメリハリが強調されているせいのか、ワルい役の人がワル〜い表情をするのが(GACKTはどんな場面でも)とにかく決まっていました。

秀吉(竹中直人)の最高にウザい演技もよかったです。かなりウザいけど。(褒めてます)

内閣メンバー以外にも偉人は復活させられていて、土方歳三の写真を見てから山本耕史を見ると似ている気もした中、緒方洪庵(田中茂弘)は似すぎでした。これだけ役に適任な役者陣を集結させられただけでも、すごい!

しかし「折角ここまでの豪華メンバーを揃えたなら、吉宗役はあのお方でもよかったのでは?」という思いがふと脳裏をよぎったものの、「実は暴れていないのに…」設定なので「あの上様は暴れん坊だからダメだ!」と自分の脳内内閣は、即刻解散しました。

「蝦夷開拓は1人になっても必ずやり遂げる」by坂本龍馬

さて、北海道は徳川家康や豊臣秀吉といった偉人達との縁は薄めの土地ですが、最強内閣の偉人のうち1人だけ蝦夷地および十勝と強めの縁がある人がいます!

坂本龍馬です。

実際に足を踏み入れることは叶わなくても、龍馬は蝦夷開拓の重要性を感じ、4回訪れようと試みていました。「蝦夷開拓は1人になっても必ずやり遂げる」との意思も書簡に書き記しています。

龍馬には直系の子孫はいなくても、そんな志が受け継がれたのか、龍馬亡き後、嗣子となった甥(長姉・千鶴の子)の直は権判事として函館裁判所に赴任。直の次弟・直寛は北見・浦臼の開拓に携わるなど、郷士坂本家の人々は北の大地を訪れています。

そして十勝には、坂本家・八代目に当たる直行が広尾町・野塚に入植し、開拓農家として鍬を振るいました。直寛(龍馬の姉・千鶴の次男)の孫に当たります。

本名は「なおゆき」でも、「ちょっこう」さんと音読みで親しまれている坂本直行は、後年は画業に専念しました。

その作品は、誰が描いたのかまでは知らなくても、目にしたことがある人は多いはず。六花亭のパッケージの花の絵を描いた画家です。

坂本直行の作品を見ることのできる場所といえば、中札内村の『六花の森』が有名です。よく整っていますが、これが結構歩くし、見ごたえがありすぎるんです!

そこまでの時間と体力のない人にもオススメしやすく気軽に入りやすいのが、広尾町の「海洋博物館&郷土文化保存伝習館です。

建物は2つに見えますが、中は繋がっていて出入り口は1カ所。

入館料330円で、漁業の解説、町の史料展示、町出身の横綱・北勝海(現八角親方)ゆかりの品々から、坂本直行の展示室まで、盛りだくさんの展示を見ることができます。

学芸員のいない町の資料館という不遇さが展示から感じられる部分もありつつ、コンテンツの豊富さに圧倒される場所です。「直行さんの展示室だけ」というピンポイントの目的ではなく本気で全部見ようと思ったら、こちらも時間に余裕を持って訪れた方がいいでしょう。

この海洋博物館&郷土文化保存伝習館を出てから、道道広尾大樹線を北上すると、案内看板があって野塚の「坂本直行入植の地」の標柱にたどり着けるはず――なのですが、この日は天気が良すぎてアブ&ハッチに車にガンガン当たってこられて、ドアを開けられませんでした……。

なので途中までの写真しかありません。

周囲は牧草地で、「対向車が来たらピンチだよ!」な林道の奥に行くと、その地はある――はず。
総統
総統

開拓民の子孫なのに開拓精神も勇気も足りず、申し訳なく思っています!!

PROFILE

三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。



















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三崎 裕美子

三崎 裕美子

腐女子 / 総統

1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。

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