帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『デッドプール&ウルヴァリン』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
『デッドプール&ウルヴァリン』を観た
この夏見た中で、ある意味最も「熱い」映画でした!!
男性同士の仲のいい(あるいは悪い)様を見たら、描かれていない世界を脳内で生み出すことのできる人種(ミュータント)、必見!!!
異色のアンチヒーロー・デッドプール(ライアン・レイノルズ)と、再生能力等を持つ超人ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)、まさかの共演作です。
私のSNS繋がりのオタク仲間、大体今「デブウル」か「ウルデプ」の話してます。
あと身近なオタクからは「どうせデップー&ウルヴァリンは見てコラムで紹介するんだろう? これを履修するがよい」と教材(アメコミ)を押し付…_貸与されました!
「おっさんずラブ」に興味がない人もご安心
奴らは本気です!!(圧とクセが強すぎて、まだ1ページも開けていません……!)
いい感じの雰囲気になったり、何かが仄めかされるのは男女間ばかりの作品は、もう見飽きたんです!!
久々に、私の待ち望んでいた映画がやってまいりました!!!
といっても、デッドプールとウルヴァリンが公式でどうこうなる映画ではありませんので、「おっさんずラブ」に興味がない人もご安心ください。
ただデッドプールはパンセクシャルのキャラクターで、その上で映画公式が、ウルヴァリンとの怪しいメタファーを意図的に入れてきています。
事実上の準公式設定と言って、過言ではないでしょう。(という過言)
そんな少しの燃料でも自家発電で萌えることのできる特殊能(脳)力者ではなくても、以下の要件を満たす方には、この映画推せます。
■「デッドプール好き!」
■「映画好き!」
刺さる人には、1回見たら終わりな作品ではなく、2回目、3回目と重ねて見たくなる中毒性すら感じる作品です。(「詳しい人&考察班がとても楽しそうに深掘りしているのを見る」→「そうだったのか!」と確認に行く」)
好きそうな人には「まずは見て!!」と言いたいところですが。
理由は、以下に述べていきます。
■「不謹慎&グロテスク好き!」
『デッドプール&ウルヴァリン』は、前作までの『デッドプール』がそうであったようにR15映画です。
今回は「銃器・刀剣や爪による刺激の強い殺傷流血の描写がみられ【R15+】区分に指定します。」とのこと。by 映倫
「爪」って!!!!>なかなかない殺傷道具
ウルヴァリンだけに本当に爪も、爪以外も使った刺激の強い殺傷流血シーンが含まれますので、お楽しみに。
(血飛沫の飛び散るシーンなどが苦手な人は回避ください)
『デッドプール』は過去2作までは「20世紀FOX」がメイン。
この作品は20世紀FOXの「ディズニー」による買収後、初めて「マーベル・スタジオ」主導で制作された作品です。
ディズニー傘下に入り「間口を広げた当たり障りのない作品になっているのでは?」といった心配ご無用!
■「デッドプール好き!」
ディズニー配給な以上、勿論メジャー作品と言えるんですが、デッドプールはいわゆる「正義のヒーロー」でも正統派でもありません。
(正面きった愛や大正義の作品は「むずかゆい」、斜めったマイナー嗜好の私は、好き!!)
「皮肉屋でよく喋り、セリフの情報量が多い」
「法律とか倫理観とかお構いなしで、躊躇なく人を手に掛ける」
そのため、主人公の喋りは軽妙だけれど、戦闘シーンはグロテスクというコントラストが特徴的でもあります。
また『TED』よりはゲスくないとはいえ、それでもメチャクチャで、ゲスいです。
グロテスクさに加え、下ネタを好まない人には不向きな作品でしょう。
逆に、フィクションだからこそ可能な「不謹慎さ」を求める人には最適です。
ちなみに私、『デッドプール』も『X-MEN』も2までしか追えてません。
それも大分昔のことなので記憶も朧げで、話が理解できるか心配していました。(マーベル・コミック作品を基にした「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」作品群、正直追い切れていなくて、途方に暮れています……)
MCU作品を熟知していた方がより楽しめるのは間違いないですが。(エンドロールで、若かりしウルヴァリンというかヒュー・ジャックマン達の映像が出てくるので、『X-MEN』等見ていればいる人ほど「懐かしい!」ともなるはず)
・エグゼビア(※スキンヘッド&車椅子)という男の人が超常能力を持つ「ミュータント」を保護・訓練し『X-MEN』という組織を率いていた
※あえてクローズアップしたこの特徴は、本作に関連してきます。
この辺が分かっていれば、あとは大体流れで追えることと思います。(デッドプール&ウルヴァリンはカナダ人の設定だとか、ウルヴァリンが「ローガン」と呼ばれることもあるとか)
むしろ『デッドプール&ウルヴァリン』が合うか合わないかは、マーベル映画世界の複雑さはそれほど問題ではありません。
デッドプールの感性と合うか否か、それが問題だ。
■「映画好き!」
本作品は「別アース」がキーになっていますが、元々映画『デッドプール』は、主人公が作品世界を飛び越え、現実世界の事象に言及する「メタ構造」の作品です。
なので(?)20世紀FOXがディズニーに買収された話がチョイチョイ触れられます。
あるシーンでは背景で20世紀FOXのロゴマークが崩壊していたり、分かっている人には「フフッ」となる要素が挿入されています。
別アースのウルヴァリン(ヘンリー・カヴィル)をスカウトしようとするデッドプールが、「他の映画会社よりいい待遇にする」と持ちかけるシーンも。
DCユニバースの『スーパーマン』役の解雇劇を知ってる人なら、辛辣な皮肉と取れることでしょう。
「これがフュリオサの◯だ!(違)」
作中で、ブレイド(ウェズリー・スナイプス)など、私でも知っている人物が続々登場するのも良いです。
同じ人(クリス・エヴァンス)が演じてきた別作品のヒーローを、そのために途中までデッドプールが別の方のキャラクターだと勘違いしているというエピソードも入ってきます。
他にも『マッドマックス:フュリオサ』の主人公の仇ディメンタスを意識しただろう容姿で、バイクの馬車に乗るキャラクターが登場したかと思ったら、デッドプールが「これがフュリオサの◯だ!(違)」というテキトーな発言をするシーンがあったり。
ラスト近くで、デッドプールとウルヴァリンがベンチで座っているシーンも「この感じ。どこかの映画で見たことある……」と思いましたが、思い出せません……。(ご存知の方、教えてください!)
上記はごく一部でしかないのですが、そうした感じなので「どの映画をどれだけ見ていれば予習になるのか?」は、「きりがない」とも言えます。
勿論、『デッドプール』前作までに登場してきたおなじみのキャラクター達も、登場。
同居している盲目の老婆アル(ヤク中)とデッドプールの話は「雪だるま作ろう!」とアナ雪になだれ込もうと、結局コカインの話しかしていないし。
ちなみに前作『デッドプール2』の、全身透明な能力者の役をブラッド・ピッドにお願いしに行くような無駄遣いも、私は大好き!(特殊メイクで顔を分からなくさせてまでマッド・デイモンを連れてくるのも、意味不明だけれど嫌いじゃない)
『デッドプール&ウルヴァリン』3選
映画好きなオタクが遊んでいる感じのする作品が、私は大好物です!!
なので『デッドプール&ウルヴァリン』は、どちらかというと「大勢の人が一度は足を運ぶ」というより、刺さった人が何回も見に行って興行収入を支えるタイプの「メジャーなんだけれど、マイナー向け映画」なんじゃないか、という気がしてなりません。
ここに注目してほしい!!『デッドプール&ウルヴァリン』3選
・歌って踊れるウルヴァリン
作中で歌ったり踊ったりはしませんが、ヒュー・ジャックマンが『グレイテスト・ショーマン』に出演していたことを、そんなふうにデッドプールにいじられます。ザッピングして音楽が流れるシーンで『グレイテスト・ショーマン』の曲が入ってくるのも注目です!
腐女子としては、アルコールに溺れ爪が出せなくなっていたウルヴァリンが(半立ちと揶揄される)、爪が出せるようになる点も注目してほしいポイントです。怒りにせよ、「中年の危機」を乗り越えたきっかけが「デッドプールと出会い」であるという点、ここが重要です!!!
・強いぞ! ホンダ・オデッセイ
日本車が登場したと思ったら、思い切り固有名詞を挙げてディスられています!その一方、CMのような映像と音楽で、森の中を走り抜けるホンダ・オデッセイ。
しかしデッドプールとウルヴァリンという超人同士が車内で喧嘩を始め、乱闘に巻き込まれフロントガラスから何から壊滅状態に――という酷い目に遭います。
しかし翌朝!(喧嘩で激しくギシギシと揺れる車という「車中で致している」暗喩から、朝チュンを迎える)車体もボコボコで酷い状態になっていも、それでも自走できるホンダ・オデッセイ!!
デッドプールとウルヴァリンに負けなかったという。もしかしたらこの映画で最強だったのは、ホンダ・オデッセイだったのかもしれません!!
・デッドプールはピーターが大好き!
デッドプールと一緒に自動車ディーラーに勤める友人のピーター。「引退した」と言っていたデッドプールのコスチュームも、自分のロッカーに取ってあるくらい、デットプールが大好き!
※ピーター「誰だっけ?」と思ったら『デッドプール2』で、特殊能力もないのにX-Forceに応募してきた、普通のおじさんでした。
皆さんも最後に「ピーター、誰!?」とならないように、よく覚えておいてください。ピーターもデッドプールが好きだけれど、デッドプールもピーターが大好きというのは、テストに出ます!!
「なぜなら配給がディズニーだから」
またこの映画は、エンドロールの後も映像が流れるので「最後まで席を立たないでください」の注意喚起が冒頭に入ります。
デッドプールの言動をここまで見てきた観客には、言っていることは「本当か?」「嘘か?」信憑性の分かれる話が、挿入されています。(これもいろんな考察が出ています)
ポンコツ探偵の迷推理の根拠→「なぜなら配給がディズニーだから」
しかしこの映画、私には「何が本当で、何が嘘か?」どころか、デッドプールが覆面を被ってしまったら、どこまでがライアン・レイノルズで、どこまでがスタントなのかも分からない有り様です。(『スパイダーマン』トム・ホランドの弟、ハリー・ホランドがデッドプールのコスチュームを着てカメオ出演しているというけれど、それも分かっていない……)
唯一、私でも分かったことは、「ナイスプール」登場時のデッドプールはデッドプール(=ライアン・レイノルズ)ではない、ということくらい。
なぜなら愛想が良くお人好しなナイスプールは、ライアン・レイノルズがゴードン・レイノルズ名義で演じているから!
いや……でもブルーバック撮影で合成の可能性も……?(結局、何一つ分かっていませんでした)
そんな『デッドプール&ウルヴァリン』と十勝・帯広をこじつけるのも難しいですが……。今回は「昔ながらの変わらない部分と、変化した部分が同居する」観光地を紹介したいと思います。
「若い時に貧乏旅行で来た『幸福駅』が、今どうなっているのか見たい」
帯広市、とかち帯広空港近くに位置する「幸福駅」です。
帯広市郊外に、愛国と幸福という地名があり、両者が旧国鉄広尾線で繋がっていたため、愛国駅と幸福駅を結びつけた「愛国→幸福」「愛の国から幸福へ」というフレーズが受けて、1970年代に一大ブームが来たという……(伝聞形なのは、NHKの紀行番組で取り上げられブームが来たのは事実でも、何分私が生まれる前のことなので!)
昔、仕事の一環で道外から来たお客様をおもてなししていた際、その世代のおじさま方から「若い時に貧乏旅行で来た『幸福駅』が、今どうなっているのか見たい」というリクエストを受けたのは一度や二度ではありませんでした。
ある人曰く。「幸福駅は『北海道・三大がっかりスポット』の一つだったなぁ」と。「がっかり」と言いながらも、そこにはとても懐かしそうな響きがありました。(「三大の残りは?」と聞くと、「札幌の時計台と……あと何だろう?」と見切り発車でした)
その方を、古い駅舎を移築して再現したものの、交通公園として綺麗に整備され新しくなった幸福駅にお連れすると「すっかり、ソフィスティケートされて……」と、更に落胆されていましたが。
観光地化するなら見栄えがよくて、「映える」フォトスポットもあって、車掌の制服や制帽も借りられて、軽食も食べられて、綺麗な方がいい。
その意見も分かります。
ですが、電車を乗り継ぎかなりの時間をかけて北海道までやって来て、名前が先行してイメージが膨らんだ幸福駅の実物を見て、そのギャップに「北海道・三大がっかりスポット」と思うほど鮮烈な印象を受けた人が、「あの頃の幸福駅の姿のままであってほしかった」と思うのも、分からなくもないのです。
20世紀FOX→20世紀スタジオや、デッドプールやウルヴァリンが変化を余儀無くされる部分もあれば、変わらない部分もあるように。
「もっと派手にふザけてほしかった」とか「『ローガン』で綺麗に幕を閉じているものを掘り起こす必要はない」というふうに、思い入れがあればあるほど、『デッドプール&ウルヴァリン』に対して否定的な意見を抱く人もいるだろう思います。
「幸福駅には『北海道・三大がっかりスポット』としての独自路線を突き進んでほしかった」というのもそうで。(何なら今からでも目指せなくもないと思いますが……)
形や在り方が変わる際、その作品や場所等が有名であればあるほど、全ての人の思いや期待を受け止めることは難しいことでしょう。
ですが何が正解かというのは難しいし、受け止め方はみんな違ってみんないいと思うのです。
ちなみに私は、その歴史とか全く関係ないですが、「幸福駅といえば」暑い日に食べるいちごのソフトは最高だと思います。
PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。