帯広で映画を観た!シネマ de 十勝は、帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女子が、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民として、十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格の実力を発揮しつつ、帯広・十勝の話をしつつ、映画を語るコラムです。今週の映画は『THE FIRST SLAM DUNK』です。
前回のコラム「帯広で映画を観た!」はコチラ
『THE FIRST SLAM DUNK』を観た
祝・復活上映!!
あの頃、湘北高校バスケ部と共に青春を過ごした人、必見の映画です!!!
このコラムが始まった時、取り上げたかった〜〜〜と思っていたけれど、その時は間に合わなかったんです。
復活上映のおかげで、念願が叶いました!!!!
原作マンガ『SLAM DUNK(スラムダンク)』最終回が1996年だから……今年は「あれから二十……」(「そんなに経ってるの!?」という衝撃から、みさきは 考えるのをやめた……)
といっても時間の経過により忘却の彼方だったから、結果を知っているはずの山王戦にドキドキして手に汗握ったわけではありません!!
復活上映前に一度ならず見ていても、このために再履修して臨んでも、やはり感動しました!!
歌や声優が昔のテレビアニメ版から一新されたのを、少しでも「え〜〜〜?」などと疑ってごめんなさい。
違和感なしでした!!
むしろ曲も、何もかもが良かったです!!!
「供給ありがとうございます!」「ありがとう、復活上映!」
流石は、原作の井上雄彦先生自らが監督・脚本として目を配られた作品でした。
(一方、この俗物は業が深いというか欲深というか、これだけの良作に接し「供給ありがとうございます!」「ありがとう、復活上映!」していても、「先生! 他のマンガの続きが見たいです!!」という気持ちと、「なにとぞ、また次の『SLAM DUNK』映画をよろしくお願いします!!」という気持ちが湧いてしまうのでありました……)
このコラムは、原作マンガやアニメを知っている前提で一般の間口を広げたいのか分からない映画は、「ファンは勝手に行くし」と普段放置気味でお届けしております。
なぜなら、それはそれで、熱心に追っている層に向けけた、ファンサービスイベントと解しているからです。
また、平素プロの評論家でもない一般人があえて感想を垂れ流しているのは、グルメサイトの「口コミ」みたいなものが映画分野であってもいいじゃないか、という試みでもあります。
それによって「興味はあるけれど迷っている人」の判断材料が増えて、地元の映画館に行く人が一人でも増えてくれたら嬉しいなぁ――
大体「山王とか湘北とか言われて分からない人が、前知識ゼロでこの映画を見て楽しめるのか?」とか、既にのめり込み過ぎている人間には、全く分かりかねます。ただでさえ登場人数が多いので、安請け合いもできないし、大丈夫とも言い難いです。
ただ逆は、言えるでしょう。
ふんわり記憶している人よりも、より分かっている人の方がこの作品は楽しめるはず――と。
また本稿も、この映画に興味があるということは「基本情報は知っているはず」前提で語り続けますので、ご了承ください。
山王戦に絡めて、宮城の過去の回想が展開していきます。
ここで懺悔しますと私、腐女子なものですから、アヤコさんが好きなリョーちんのことを完全にロックオンの『対象外』とし、湘北メンバーの中でも興味関心が薄いままに、齢40を超えるまでおめおめと生きてまいりました。
この映画が始まった頃「リョーちんが主役かぁ……だったら見に行くのどうしようかな〜(※この「どうしよう」は「勿論行くには行くけど、そんな早くに行かなくてもいいか〜」「1回で十分かな〜」の意)」などと侮り、軽く見てしまっていたことを、本当に申し訳なく思っています!!!
桜木や流川というクセの強い天才たちのいるチームを支え、ゲームを動かしていたポイントガードが、タダ者なわけがなかったのです!!
そういう悔悟の念もあるため、今回いつもより多めに推させていただいております。
「庶民シュート!」と言いながらレイアップシュート
かつて『SLAM DUNK』と共にあった人には、復活上映期間中にぜひとも行っていただきたい。
いや、ここで行かなかったら、いつ映画館に行くんですか!?
私のような隠キャのオタクですら、『SLAM DUNK』でバスケのルールを覚えたし「左手は添えるだけ」と言いながら3Pシュート練習を、「庶民シュート!」と言いながらレイアップシュートを試みたものです。
スラムダンク流行時に、学生・生徒だった(実際にバスケットゴールやボールが身近にあった)人には、特にしみこみやすい環境があったように思います。
おかげで私、大学に行ってもサークル仲間と「近くの運動公園に行ってバスケをする」などという、まるで「オタク(ナード)」とは思えないアクティブな記憶があります!
「今はこのための時間を過ごす」
この作品は、そんな人々への『同窓会への招待状』でもあり、『山王戦パブリックビューイング』のようなものだと勝手に解釈しています。
なので、関係者は行ってください。
過去に興味がなくてリアル同窓会は流す人も、この映画は逃さないでいただきたいです。
とはいえ既に、配信サービスに登場していたり、レンタルも始まっている作品。
映画館に行くまでのお金をかけなくても、話を追うだけならいくらでも見ることができます。(「赤木が倒れる前までの間に、ハルコさんの前に魚住が来て座っている」だとか、観客席に誰がいるのか確認するにはそっちの方が向いていると思います)
それでも、この映画はぜひ映画館で見ていただきたいのです!
(「家でも映画館と遜色なく見れるよー」という人は除く)
家で見るのは、家族の声や生活音が入ってくるとか、ちょっとのつもりでスマホでの連絡に応答してしまうとか、「ながら見」前提で隙間で用事を済ませようとしてしまうとか、いつでも止められるという利点の反面、全集中ではいられないのが難点。
一人暮らしで無駄にテレビ画面大きかったときでも、ちょっと違っていました。
集中力・没入感の度合いを、映画館なら9〜10割とすると。(トイレや鼻汁の心配、空腹などの要因により時々下がります)
家で見る時は4〜5割くらいの感覚とでも言うんでしょうか。
話は分かったけれど、時々上澄みをすくっている感覚になるんですよね……。
あくまで個人の感覚ですが、どんなに好きな映画でも、家と映画館ではやっぱり何かが違う。
本作は、どっぷりとこの世界に浸ることを堪能するために雑事や情報は遮断し、「今はこのための時間を過ごす」と決めて時間を取ってきて、映画館で見てただきたい作品です。
「元取れた。映画館に来た価値があった」
特に、台詞なしに展開される試合終了までの約20秒間は、ぜひ全集中で味わっていただきたいシーンです!
重低音の響きでも映像美でも演出の妙でもいいんですが、当コラムで取り上げるには「映画館で見た甲斐があった〜〜」と思えるシーンがあるか。
そこも大事な基準になっています。
しかし『THE FIRST SLAM DUNK』は、終盤に至らなくてもオープニングが始まるだけでもう「元取れた。映画館に来た価値があった」と思いましたわよ!
懐かしさとエモさでもう、やられていました。
沖縄でのリョーちんの過去エピソードを一旦挟んでから始まる、オープニングがまた良かったです〜!
線描のキャラクターが動き出して登場し、山王戦が始まるところから、もう格好いい!!!(この時に登場する湘北メンバーは、今回の主役・宮城と出会った順だったと思われます)
ちなみに特定キャラクターを作中の愛称で呼ぶのは、どのキャラクターから見る角度を好んでいるかが伺い知れる、「オタク」の所業らしいですね……。
(若い時に、一般の人は「ゴリ」「メガネ君」「みっちゃん」とは呼ばず、赤木、木暮、三井かせいぜいフルネーム呼びと聞いて、カルチャーショックを受けました)
マンガだと、家族に不幸があったことが仄めかされていたのは桜木花道くらいでしたが、映画ではリョーちんの過去が掘り下げられます。
ネタバレも流出しきっただろう復活上映でも、作品をご覧いただきたいので多くは語りませんが。
「お母さん、よく海のある街に引っ越してきて、バスケ続けさせてくれたね!!!」という感想を抱いた、そんなお話です。
「三井は木暮とペアなのは譲れない」?
さて、ここからはただの一ファンというだけでなく、かつて腐った目で『SLAM DUNK』を見ていた腐女子としてのトークをさせていただきます!!!
プロフィールにも「腐女子」って載せてますしね!!!
連載もある程度進んできたし、ここでアクセル踏んで「飛ばし過ぎ」と文句を言われることがあれば、相手の「自己責任」を問いたい所存です。(興味のない人はここでブラウザバック、よろしくお願いします!!!)
それにつけても、リョーちんの主観の回想のはずなのに、中学時代の三井がキラキラしすぎじゃないですかね!!??
お兄さんとの「1on1」の記憶を思い出し懐かしさ補正がかかっているにしても、爽やか好青年すぎるぜ、みっちゃん!!!
「これ、宮城の回想だよね??」「恋愛物の少女漫画の男主人公みたいな登場の仕方だ……!!」としばし我が目を疑ったわけで……。
「三井は木暮とペアなのは譲れない」と思っていた私でも、腐れた血が騒いで冷静ではいられなかったわけで……。
また、そうなってくると、喧嘩弱いのにイキって友人達にカバーに入られるとか、後にその仲間達から熱烈応援されるとか、王子というより姫っぽさもあるので、右か左か予断を許さないわけで……。
いやー、まさか二十年以上経ってから、「宮城と三井」あるいは「三井と宮城」の新たな可能性を供給されるとは思いませんでしたよ!!!!(何を言っているのか分からない人は、そのまま分からなくていい話です。ぜひ今のままでいてください)
特殊なフィルターがかかった色眼鏡を持った人間でなければ、邪な妄想が入る余地がないくらい、リョーちんとアヤコさんはいい感じだったことは申し添えておきます。
天才・藤真を愛で続けていた羽海野チカさん
さて、本作品と十勝とこじつけようにも、リョーちんは沖縄出身、インターハイは広島、高校は鎌倉……何が関係するだろうと、迷いました。
ざっくりと当地出身の男子プロバスケ選手に触れたいと思います。
男子だと中学まで帯広で過ごし、高校から管外の強豪校に進学して、現在もプロバスケットボールB1で活躍するプロ選手が2名います。
注1:「小学校まで帯広」 or 「B3で活躍中」など、他にもプロ選手はいらっしゃいます。
注2:チェック不足で、他にも同条件の選手がおられましたら、すみません。
一人は、宮城リョータと同じポイントガードの多嶋朝飛選手!!
※2013年〜2021年までレバンガ北海道に所属し、2024年〜仙台89ERS所属。
もう一人は、同じくポイントガードの柏木真介選手!!
※シーホース三河から、2024-25シーズン終了まで三遠ネオフェニックスに期限付き移籍。
ここで特に読者の皆様に訴えたいのが、柏木選手が1981年生まれということなのであります!!
私が中学生でのんべんだらりと『SLAM DUNK』の原作本を読んでいた頃から、映画が復活上映するに至るまで、たゆまずバスケを続け地元の新聞に活躍が掲載され続けてきたという……!!!!(直接存じ上げてはいないのですが「生きててすみません!」「ほんと、ごめんなさい!」という言葉しか思いが浮かびません……)
ちなみに『SLAM DUNK』の同人活動で、かつて天才・藤真を愛で続けていた羽海野チカさんは、その後も『ハチミツとクローバー』や、『3月のライオン』で「天才」を描き続けています。
同様に、三井に情熱を注いでいたよしながふみさんは、『西洋骨董洋菓子店』や『大奥』『フラワー・オブ・ライフ』『きのう何食べた?』などの作品群で、挫折したり病を得たり、傷つけられた人々が回復したり(あるいは回復しなかったり、救いを得られなかったり)「傷負い人」を描き続けているのも、また別種の凄みを感じているところです。
『THE FIRST SLAM DUNK』を見た後、私より少し年上くらいの男性は「明日から仕事頑張れるー」と語っていました。
(そこで実際グイグイ入っていったら怪しい人だ)
その男性のお連れ様は「え、そこまで!?」と戸惑い気味でしたが。(特段思い入れもなかったら、そんな反応だろうなというのも、分かる……)
一つのことが続いたことがない私は、作中のキャラクターにせよ、バスケという分野に限らない各方面のプロフェッショナルの方々にせよ、そこまで打ち込めることに出会えるというのは、とてもとても幸いなことだと思うのでした。
それのために日々努力し続けることや、好きであり続けることができる人を少し羨ましく思いつつ、「自分には何ができるだろう?」「とりあえず、明日から目の前のできることを頑張ろう」と、身の引き締まる思いがしました。
すぐに忘れて「仕事行くのダル重〜」と思ってしまったり、コラムがギリギリ進行になってしまうのは、映画のせいではありません。
鳥頭な自分のせいです。
この映画が……オレを蘇らせる。(見直しさえすれば)何度でもよ。>ダメ人間
PROFILE
三崎 裕美子 | 腐女子 / 総統
1980年生まれ。北海道帯広市出身|釧路→新橋のサラリーマン(港区女子)→などを経て基本帯広で働く腐女子。「総統」と呼ばれた女。しかしてその実体は、身の回りの幸せ(美味しいご飯・趣味・脳内妄想など)で足るを知る小市民。十勝の観光文化検定(とかち検定)上級合格。同年生まれのハリー・ポッター氏が通うホグワーツ・スリザリン寮に組み分けされたかったゲラート・グリンデルバルド信奉者。