とかちの講師ガイド事務局長の鈴木可奈(ひまわりとかち制作ラボ代表)です。2023年7月より「とかちの講師ガイドのソコヂカラ」と題して、講師48人を紹介しています。第29回目の講師は『コミュニケーション・マナー』『教育』のカテゴリーで講師登録をしている杉山 絵理さんです。親しみを込めて絵理さんとお呼びしています。
とかちの講師ガイドについては以下記事をご覧ください。
前回の講師紹介は以下記事です。
「やさしい日本語」とは
今回は、そんな絵理さんにインタビューしました。
PROFILE
杉山 絵理 | すぎやま えり
東京大田区出身。帯広南商業高等学校卒業、現在、放送大学「心理と教育コース」に在学中。勤務先で外国人材の受入を機に「やさしい日本語」に興味を持ち、アスク出版『入門・やさしい日本語』認定講師を取得。2020年に一般社団法人にほんごさぽーと北海道を設立、企業や市民向け講座を提供し、現在に至る。
以下一問一答
鈴木:絵理さんが講師になろうと思ったきっかけを教えてください。
絵理:もともと、中国語や韓流・華流ドラマに興味がありました。大きな転機は当時の勤務先で外国人技能実習生の生活指導員担当したことが大きなきっかけです。仕事上でのけが、生活上のトラブルを見聞きしたり、日本語学習について質問されることが増えました。日本人・外国人とも必要なことをお互いに伝えることができたらと感じ、現在は日本語講師(420時間修了)や『入門・やさしい日本語』認定講師として活動しています。
鈴木:絵理さんの講座はどんな事が学べるのでしょうか?
絵理:普段の日本語を伝わりやすい日本語に言い換えるコツをお伝えしています。このコツを覚えることで、仕事、日常生活だけではなく、あるゆる場面でコミュニケーションが取りやすくなるはずです。また、外国人に対してだけでなく、言葉の理解に難しさを感じる方に応用できるユニバーサル言語という新しい分野かもしれません。
◆やさしい日本語で、やさしい世界を!→外国人には英語で話さなきゃ!って思っていませんか。そんな時は「やさしい日本語」を知っていると役立ちます。やさしい日本語は、社会をやさしく繋ぐユニバーサルな日本語です。多様化するこの時代に必要なスキルです。
◆【企業向け】労災防止に役立つ! 必ず伝わるコミュニケーション術→外国籍社員とのコミュニケーションに困っていませんか。
「言葉の壁」が、現場の労働災害を引き起こしてしまうかもしれません。言葉も、気持ちも、相手に伝わりやすいコミュニケーションのコツを学びましょう!
◆【SDGs関連】子どもワークショップ ~多文化共生ってなあに?~ →違うって楽しい! 同じって嬉しい!という「多文化共生」「多文化社会」をテーマにワークショップを行います。
「思いやり」「コミュニケーション力」を育む
鈴木:講座を受けた方の感想をお聞かせください。
絵理:受講された皆さまから出るご感想で多いキーワードは「思いやり」「コミュニケーション力」です。日本人同士でも、この部分は難しいと思いますが、改めての気づきになったのなら非常に嬉しいです。言い換えのコツを継続していただくことで、その効果は外国人だけじゃなく、日本人にも有効であると感じていただけます。特に言葉の理解が難しくなった高齢者の方にもとても有効なんです。
鈴木:実は私も「やさしい日本語」の講座を受けました。「日本語って本当に難しい!!」そう感じました。ひらがなも漢字もカタカナがあり、尊敬語謙譲語、同意語、オノマトペなどがあり複雑です。もし災害時など、「高台に避難せよ」と言われてピンとくるのは日本人だけでしょう。そんな時に、この講座が役に立つと思いました。日本語の単語の意味を分かりやすく伝える初対面の方とのワークショップでは、例えば「マラソン」を分かりやすく伝えるチャレンジをしましたすが、当たり前に使っている日本語には和製英語が多く、それは外国人にはわからない事なんだな…と痛感しました。ワークショップは笑顔溢れる工夫がされている講座で老若男女多国籍の方との交流が楽しかったです。
十勝は登校時の服装がまさかの「ジャージ」!
鈴木:絵理さんのご出身はどちらですか?
絵理:出身は東京です。でも、小学校低学年でこちらに越してきたので、すっかり十勝在住歴の方が長くなりました。東京での記憶は、学校の校庭がコンクリートだったこと、柿の木やザクロの木が自宅やご近所の庭にあったこと、八百屋、肉屋などが並ぶ商店街での買い物が楽しかったことです。東京から十勝へ越してきてからは異文化体験の連続でした。バスから見えるものは畑ばかり、フキノトウなど山菜が身近な食であること、登校時の服装が「ジャージ」、体育の時間に体操着に着替えないこと、そして、皆が同じ保育所から高校まで一貫教育のようであると感じました。
鈴木:絵理さんの十勝のオススメスポットを教えてください。
絵理:景色が最高ですよね。十勝の青い空と白い雲、白樺並木、牛の群れ、小麦ロール。カレンダーにも使われるような画(写真)が自分で撮れること。移動時間の余裕を考えているのですが、つい撮りたい雲の形を見つけてしまうと撮らずにいられない・・・くらい、大好きです。北海道旅行に来た友人を案内するときも、つい、ほらここ!撮って!と言ってしまいます。
「外国人」「居場所」「やさしい」を軸に
鈴木:絵理さんが今後チャレンジしたい事をぜひお聞かせください。
絵理:いくつか「外国人」「居場所」「やさしい」を軸にチャレンジしたいことがありますが、まだぼんやりとしています。コロナ禍でできた国内外の繋がり、ご縁を活かしていきたいです。
鈴木:絵理さんは防災士としても積極的に活動していらっしゃったり、日本語のサポートの活動でいつも活動的ですよね!最後に、絵理さんから読者の方にメッセージをお願いします。
絵理:私は、気軽に外国人と交流できるツールとして「やさしい日本語」を紹介しています。いま、十勝には約3,000人の外国人がいます。同じ地域に住む生活者が多文化・異文化を超えて交流できるようお手伝いができたら嬉しいです。
鈴木:絵理さん、ありがとうございました!「健康・美容」のカテゴリで登録している高嶋 丈子さんのインタビューを予定しています。毎週お届けするこのコラム、どうぞお楽しみください。
◆講師情報
一般社団法人にほんごさぽーと北海道 代表理事 杉山プロデュース 代表
・講師名/杉山 絵理
・肩書き/入門・やさしい日本語認定講師 やさしいコミュニケーション講師
・プロフィールプロフィール/2019年3月より十勝や札幌などで、外国人材の受入企業向けコミュニケーション研修、外国人支援の日本語教室、プライベートレッスンを行うなど、多数の講演実績あり。
・とかちの講師ガイド掲載講座/「やさしい日本語で、やさしい世界を!」「【企業向け】労災防止に役立つ!必ず伝わるコミュニケーション術 「【SDGs関連】子どもワークショップ~多文化共生ってなあに?~」