作品名:「コーダ」のぼくが見る世界 聞こえない親のもとに生まれて
著者:五十嵐 大
出版社:紀伊國屋書店
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ここには私たちの知らない世界が詰まっている
この本の表紙を1ページ捲ったその瞬間、ボクの心のやわらかい場所を締め付けるコトバがそこにあった。
「聴こえない人になりたいと、夢見たことがある。」
カバーのそでに書かれたこの一文は、ハワイで食べるキムチ鍋くらい想定外。だからこそ、この一文を見た瞬間、自分の価値観が変わることが決まったのです。もう心は奪われているので、干からびたスポンジが水を吸うように、すべてを吸収するつもりで読み始めるしかなかった。
ちなみに、ボクの仕事柄、聴覚障がいの人と関わりが多く、著者の五十嵐大さんのような〝CODA(コーダ)〟と呼ばれる人たちとも繋がりがある。それは「Children Of Deaf Adults」の頭文字をとった言葉で、〝耳が聴こえない親のもとで育った、聴こえる子ども〟を意味する。
そんな五十嵐さんが見る世界、目から鱗がポロポロと落ち、読後には一皮も二皮も剥けたあなたがいるでしょう。
映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の原作者でもあるんですね!
そうなんです!2024年9月に公開されたその映画も気になりますね。
「衝撃」は序盤から花火大会のフィナーレのように押し寄せる
花火大会といえば、やっぱり最後のフィナーレが見どころ。夜空に次々と連続して大輪の花が咲く瞬間は、誰もが心を踊らせる。でも、この本は、序盤からそのフィナーレを見せつけてくるというか、心休まる暇がなく響いてくるような感じだ。
はい。正直に言います。
ボクは今までたくさん本を読んでいる。自分で言うのもなんですが、最近は「ふむ、なるほどね」「ああ、そうだよな」という、ちょっと大人ぶった感想を抱けるくらい読んできた自負はある。
しかし!この本は違った。
「そうだったんだ!」と衝撃を受ける内容が多く、気がついたらそこには付箋の山。
その中でも一番深く突き刺さったのが、「手話は福祉ツールなのか それとも〝言語〟なのか」という問い。
英語を勉強する人は「外国人と話がしたいから」が多いのに対し、手話を覚えたい人は「ボランティアをしたいから」が一定数いる。
まるで自分に向けて放たれたその文章は「痛いところをつかれた」という感じ。現実を突きつけられ、冷や汗が流れたことはここだけの秘密にしたい。
読んで終わりにしてはいけない
どの本にも言えることだが、「ああ、楽しかった」「すごく勉強になった」で満足するのは、まるで美味しいケーキを目の前にして「見た目が最高!」と言って帰るようなもの。
はい。まだ食べてません。
そう、本を読んだだけでは、ただ「情報」を手に入れただけ。情報は、まだあなたのものにはなっていない。
それを自分の心の奥底にストンと落とし込み、自分の言葉に変換できて初めて「知識」と呼べる。それができたとき、やっとその本はあなたにとって価値あるものになる。
でも、気をつけてほしいのは、どれだけ知識を詰め込んでも、それを使わなければ意味がないということ。知識は、頭の中でコレクションするだけじゃダメ。コレクションして満足していいのは妖艶な女性のフィギュアだけ。知らんけど。
知識は使ってこそ、それは生きたものになるのだと思う。
限られた時間の中でせっかく読んだ本だからこそ、それをどう未来に繋げるかが大切。「読みました!おしまい!」で本棚に戻してしまうのはもったいない。それをどうやって行動に活かしていくかを考えるべきだと思う。
この本を読んだ後、どうするかは自由。ただ、「よし、この本はもう読んだから次!」と前を向くのはもったいない。
だからこそ、読みだけで終わらせてはいけないのです。
ひとつでも行動を起こせば、その知識はあなたのものになる。小さな変化でも、積み重ねれば大きな変化に繋がる。まずは、一歩を踏み出してみることだ。
それが、あなたの人生にどんな影響を与えるか、ちょっとワクワクしない?
Profile
小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当
楽しく生きるためのヒントが詰まったこの1冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。
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