【書評】本の虫 小川の本棚 「最後だとわかっていたなら」presented by Book cafe & bar Sen 075

作品名：最後だとわかっていたなら
著者：ノーマ コーネットマレック・作　佐川 睦・訳
出版社：サンクチュアリ出版

タイトルと帯のインパクトが大きい！定期的に読み返したくなる１冊

この本が初めて世に出たのは2007年6月のこと。当時、迷わず手に取り、その後も折に触れてページを開き、読み返している。

購入したきっかけは、何といってもタイトルと帯に書かれていたこの一文──「もし、明日が来ないとしたら、わたしは今日、どんなにあなたを愛しているか伝えたい。」──その言葉が心に突き刺さり、迷いもなくレジへ向かわせたのだ。

はい、まるでキャッツアイのごとく、鮮やかに心を奪われたのです。

読み進めるうちに、美しい写真と深いメッセージを秘めた短い文章に引き込まれる。ページをめくるたびに胸を打たれ、気づけば目頭が熱くなっている、そんな方も少なくないのではないでしょうか。

涙が頬を伝う瞬間、それはこの本が語りかける「今を大切に生きる」という思いが心に響いた証拠かもしれません。

「今日」という時間の尊さを静かに教えてくれるこの1冊は、明日をより良いものにするための小さな道しるべ。時を経ても色あせることなく、私の心にそっと寄り添い続けてくれる大切な本です。

 

短い文章だからこそ届くメッセージがそこにはあるのです

世の中には本当にたくさんの本があって、その中には数え切れないほどの文章や言葉が詰まっている。一つひとつの言葉が、まるで小さなピースのように繋がり、１冊の本を作り上げていると思うと感動しかない。

でも、ふと立ち止まって深く考えさせられるのって、意外とシンプルで短い文章だったりしませんか？この本を読んで、そんなことを改めて感じた気がする。

この本は、１ページにおよそ50文字程度の短い文章で構成されている。短いのに、ページをめくるたびに「そうだよな」と心の中で思わずつぶやいてしまう。読みながら、いつの間にか自分の生き方や気持ちをそっと見直している自分に気づく。いわば道徳の教科書のように。

「こんなに短い文章で、こんなに響くなんて！」と思う人もいるかもしれません。でも、それがこの本のすごいところ。言葉が短いからこそ余白が生まれ、その余白に自分の思いや考えが入り込む。

しかも、この本は全部読むのに5分もかからない。

だから、忙しい日々の中でもちょっとした時間に手に取れるし、何度でも読み返せる。そして、そのたびに「そうだった。大切なことってこういうことだよな」と気づかされる。まるで、そっと背中を押してくれる小さなメッセージのような本なのだ。

自分で読むにもよし、大切な人にプレゼントにもよし！

贈り物に本を選ぶって、ちょっと勇気がいるもの。たくさん本を読んでいる人でも、読書を始めたばかりの人でも、その気持ちは同じだと思う。でも、この本なら間違いありません！

この本は、もし明日が来ないとわかっていたら、今日をどう生きるかを問いかけてくれる一冊。つまり、それは「あなたをむちゃくちゃ愛してるよ」と心から伝えるための本でもあるのだ。贈る相手がパートナーであれば、深い愛情や感謝の気持ちを言葉にする代わりとしてぴったり。

もし、相手が自身の子どもだったらどうでしょう？この本はシンプルで読みやすいので、読書の入口としてもおすすめ。

そして何より、「後悔しない人生を送るんだよ」という大切なメッセージをやさしく伝えられる。そんな力を持っているとボクは思う。

だから、どんな相手にも心からおすすめできる贈り物。本を選ぶのに迷ったとき、この一冊は間違いなく素敵な選択になると思います。

 

大切な誰かを想いながら読むこの本は、読んで感動、満足！ではなく、すぐに行動に移したくなる実用的な１冊です。

Profile

小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen（せん）」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー！』（みらいパブリッシング）か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当

楽しく生きるためのヒントが詰まったこの１冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。