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【書評】本の虫 小川の本棚 「見えなくても王手」presented by Book cafe & bar Sen 085

作品名:見えなくても王手
著者:佐川光晴
出版社:実業之日本社

装画に目を奪われて何気なく手に取った1冊

ふと時間ができたので、何気なく書店に立ち寄った時のこと。いつものルーティンで新刊コーナーに足を運んだ。ゆっくりと歩きながら流れるように視線を動かしていると、不思議と吸い寄せられるように目が留まった一冊があった。

その理由は明確で、表紙の温かなイラストが、心を奪ったのだ。

優しい色使い、穏やかで包み込むようなタッチ。それでいてどこか懐かしい。装画だけで「この本を読んでみたい」と思わせてくれた。それだけではなく、タイトルに「見えなくても」とおがわの心を鷲掴みにするワードもあったことで、購入することが決まった。

家に帰ってから、ふと気になって装画を担当した高杉千秋さんについて調べてみた。

すると、すぐに納得。

自分の本棚には、すでに彼女が手がけた本がいくつも並んでいたのだ。

『デフ・ヴォイス』(著:丸山正樹)、『自閉症の僕の七転び八起き』(著:東田直樹)。
どちらも障がいをテーマとした作品であり、どこか自分の関心と深く結びついている本ばかりだった。

そうなると、今後は高杉千秋さんのイラストが使われている本を、もっと意識して選ぶようになるかもしれない。

表紙のイラストをきっかけに本と出合うという、新しい本の選び方を教えてもらった気がする。

書店での何気ない一瞬が、思いがけず自分の読書の幅を広げてくれることがある。
この一冊は、まさにそんな「出合い」の本だった。

確かに表紙のイラストの雰囲気は、作品のイメージを膨らませますよね!
温かなストーリーなんだろうな。切ないストーリーなんだろうなと想像して選んでいます。

 

盲学校を舞台に将棋と出会い、成長を遂げていく小学生の物語

小学4年生の及川正彦は、盲学校に通う男の子。ある日、新任の先生に将棋を教わったことをきっかけに、その奥深さと面白さにすっかり魅了されてしまう。

目の見えない人でも楽しめる将棋盤と駒を使い、同級生との真剣勝負に挑む日々。寄宿舎の自室では、ひとり詰将棋の問題に頭を悩ませながら、次第にその腕を磨いていく。そんな正彦の変化を、家族はあたたかく見守りながらも、新たな成長を感じて嬉しく思う。

盲学校を舞台に、将棋を指す喜びを知り、それぞれが自分なりの挑戦を重ねていく小学生たち。彼らを支える家族や教員たちの想いが交差しながら、一人ひとりが成長していく姿を描いた、心にじんわりと響く物語。

読みながら、子どもの時に家族で将棋をしたこと、その時の将棋盤は薄いベニヤ板に油性ペンでマスを描いた手作りだったことを思い出した。それだけじゃなく、久しぶりに誰かと将棋を指したくなる、あたたかい読み心地の内容だった。

将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞を受賞、入試にも頻出している『駒音高く』の姉妹編なので合わせて読むことをオススメしたい。

将棋は対等に勝負ができる究極のスポーツ

まず、「将棋はスポーツなのか?」という疑問について考えてみたい。

結論から言うと、将棋は〝マインドスポーツ〟に分類される。これは、頭脳を使って競技を行うスポーツのことで、囲碁やチェスなども含まれる。つまり、一般的に体を動かすスポーツとは異なるが、競技性を持つものとして認識されているのだ。

その上で注目したいのは、目が見える人と、目が見えない人が、同じルールのもとで、特別な補助具や手助けなしに対等に勝負できるスポーツが、果たしてどれほどあるのか? という点だ。

この本を読んでいて気づいたのは、将棋こそがその代表例であるということ。数あるスポーツや競技の中でも、こうした特性を持つものは限られている。そして、それこそが将棋の大きな魅力の一つなのだと改めて実感した。

また、これは将棋に限らない話かもしれない。自分の興味のあるものについて、もう少し掘り下げてみると、思いもよらぬ発見がある。知識が増えることで、新たな視点が生まれ、「こんな世界があったのか!」と驚かされる瞬間が訪れるのだ。まるで、古いテレビ番組のキャラクター・為五郎のように「アッと驚く」気持ちを味わえるかもしれない。

そしてもちろん、単に将棋の面白さを知るだけではなく、物語の中で描かれる子どもたちの成長のストーリーや、それを支える家族のあたたかさにも心を動かされる。将棋の魅力と、人間ドラマの両方を味わえるだろう。

そう考えると将棋はユニバーサルスポーツなのかもしれませんね。
将棋を覚えていろんな人と対戦してみたいと思いました!

障害×将棋の異色のタッグ。
その2つが織りなす物語は、多くの人の心を温めること間違いない1冊です。

Profile

小川 洋輝 | ブックカフェ「Sen」オーナー
1985年、北海道幕別町出身。高校を卒業後、福祉施設にて勤務。知的障がい者の入所施設や就労支援施設、障がい児の通所施設の経験を経て一般社団法人青鳥舎を設立。 障がい者の親が安心して死ねる社会を創るために 障がい者雇用のコンサルテーションや障がい福祉サービス事業所のコンサルテーションを行う。2015年10月より自ら障がい児の通所施設を開設。障がい福祉や子育て関連の専門書などが並ぶブックカフェ「Sen(せん)」は2022年4月オープン。23年、絵本『やっちゃれ ほっちゃれ もっきっきー!』(みらいパブリッシング)か出版。毎週金にスマヒロで書評を担当

楽しく生きるためのヒントが詰まったこの1冊は、未来の自分に期待をさせてくれるかもしれません。




















































































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